LINE公式アカウントを開設すると、管理画面にはたくさんのメニューが並んでいます。初めて見たとき、どこから手をつければよいのか戸惑った経験はないでしょうか。
ここでは、LINE公式アカウントのコミュニケーション機能を大きく3つに分けてみます。
「個別メッセージのやり取り」「配信メッセージ」「自動応答メッセージの設定」です。この3つを理解すると、管理画面の見方がすっきりします。
LINE公式アカウントのメッセージ機能
管理画面を開くと、左側のメニューには「チャット」「メッセージ配信」「ステップ配信」「応答メッセージ」「リッチメニュー」など、似たような項目が並んでいます。どれもメッセージに関わる機能です。しかし、それぞれの役割は異なります。
| 分類 | 該当する管理画面の項目 | 説明 | 課金 |
|---|---|---|---|
| 個別 | チャット | 友だちと1対1でメッセージをやり取りする機能。予約受付や問い合わせ対応に使う。 | 無料 |
| 配信 | メッセージ配信 | 友だち全員や特定のグループに一斉にメッセージを送る機能。お知らせやキャンペーン情報の配信に使う(月200通までは無料)。 | 有料 |
| 配信 | メッセージアイテム (リッチメッセージ、カードタイプメッセージ、クーポンなど) | 配信するメッセージの素材を作成する機能。画像やテキストを組み合わせた見栄えのよいメッセージを作れる。 | - |
| 配信 | VOOM投稿 | フォローしてくれているユーザーに投稿を配信する機能。 | |
| 自動 | あいさつメッセージ | 友だち追加時に自動で送られるメッセージ。挨拶やアカウントの使い方を案内する。 | 無料 |
| 自動 | 応答メッセージ (一律応答) | どんなメッセージが来ても同じ返信を自動で送る機能。営業時間外の対応などに使う。 | 無料 |
| 自動 | 応答メッセージ (キーワード応答) | 特定のキーワードに反応して自動返信する機能。完全一致した場合のみ反応する。 | 無料 |
| 自動 | ステップ配信 | 友だち追加を起点に、設定したスケジュールで自動的にメッセージを送る機能。段階的な情報提供ができる。 | 有料 |
| 自動 | リッチメニュー | トーク画面下部に表示される固定メニュー。タップすると設定したアクションが自動で実行される。 | 無料 |
この混乱を解消するには、まず3つの基本機能を押さえることが大切です。
1対1で会話する「チャット」
「チャット」は、友だちになっているユーザーと個別にメッセージをやり取りする機能です。

チャットは予約の受付や問い合わせ対応など、きめ細かな対応が必要な場面で活躍します。課金対象ではないため、無料で使えます1。普段LINEで友人と会話するときと同じように、1対1のコミュニケーションができます。
管理画面では、左メニューの「チャット」がこれに該当し、メッセージを送ってきたユーザーの一覧が表示され、それぞれのユーザーと個別にやり取りできます。
ただし、通常、店舗や企業側から勝手に送ることはできません。「認証済アカウント」の場合は、友だち追加したユーザーの連絡先から先にメッセージを送れる機能もありますが、基本的には、ユーザーからメッセージをもらって初めてチャットができるのです2。
一斉に届ける「配信メッセージ」
「配信メッセージ」は、友だち全員や特定のグループに向けて、一度にメッセージを送る機能です。

お知らせやキャンペーン情報を広く伝えたいときに使いますが、配信メッセージは課金対象です3。月額プランに応じて無料で送れる通数が決まっており、それを超えると追加料金が発生します。
管理画面では、左メニューの「メッセージ配信」と「メッセージアイテム」がこれに該当します。
「メッセージアイテム」は、配信するメッセージの素材を作る場所です。これらの素材は、メッセージ配信で使うのが主な用途ですが、後述する自動応答でも利用できます。
- リッチメッセージは画像とテキストを組み合わせた見栄えのよいメッセージで、タップすると特定のURLに飛ばすなどのアクションを実行できます。
- カードタイプメッセージは、複数の情報をカード形式で並べて表示できます。
- クーポンやアンケートもここで作成します。
「メッセージ配信」は、好きなタイミングで一斉送信する機能です。新商品の案内やセール情報など、今すぐ伝えたい内容を配信します。配信先は全員に送ることもできますし、性別や年齢などで絞り込むこともできます。
また、リッチメッセージなどを利用すると、ボタンのタップで特定のメッセージを送信させることができるため、後述するキーワード応答と組み合わせることも多いです。
VOOM投稿
LINE VOOMは、配信メッセージの補助的な役割を果たす投稿機能です。動画や写真、テキストをタイムライン形式で投稿できます。

管理画面では、左メニューの「LINE VOOM」から投稿を作成します。また、メッセージ配信と同時にLINE VOOMへ投稿する選択肢もあります。
LINE VOOMへの投稿は、課金対象ではありません4。無料で何度でも投稿できるため、配信通数を気にせず情報発信できます。
LINE VOOMの大きな特徴は、友だち以外のユーザーにもリーチできる点です5。「フォロワー」に対してはLINE VOOMで投稿を表示するだけでなく、LINE VOOMの投稿は「おすすめ」タブなどを通じて、アカウントをフォローしていないユーザーの目にも触れる可能性があります(ここでいう「フォロー」は「友だち」とは微妙に異なる仕組み)。
ただし、LINE VOOMはユーザーにプッシュ通知が届かないことも多く、メッセージ配信に比べて閲覧率が低い傾向にあります。確実に情報を届けたい重要な案内はメッセージ配信を使い、日常的な情報発信や拡散を狙いたい内容はLINE VOOMを使うといった使い分けが効果的です。
自動で動く仕組み「自動応答の設定」
自動応答メッセージは、ユーザーのアクションに対して自動で反応する仕組みです。スタッフが手を動かさなくても、決められたタイミングや条件でメッセージが送られます。
この分類には、複数の機能が含まれます。
あいさつメッセージ
友だち追加されたときに自動で送られるメッセージです。「友だち追加ありがとうございます」といった挨拶や、アカウントの使い方の案内を送ります。最初の接点として重要な役割を果たします。
応答メッセージとキーワード応答
「応答メッセージ」は、ユーザーからメッセージが届いたとき、あらかじめ設定した内容を自動で返信する機能で、2つのタイプがあります。
- 一律応答は、どんなメッセージが来ても同じ返信をするタイプです。
「お問い合わせありがとうございます。営業時間内に担当者が確認いたします」といった定型文を設定しておきます。 - キーワード応答は、特定の言葉に反応して返信するタイプです。
たとえば「営業時間」というキーワードには営業時間の案内を、「予約」というキーワードには予約方法の案内を返すよう設定できます。
自動応答は、チャットと同様、課金対象ではなく、無料で使えます6。
チャットと自動応答は、時間帯によって切り替えられます。営業時間内はスタッフがチャットで対応し、営業時間外は自動応答に切り替えるといった運用が可能です。この設定は「応答設定」から「応答時間」をオンにすると行えます。
注意点として、キーワード応答は完全一致でないと反応しません。部分一致や類似したキーワードでは反応しないため、ユーザーが送りそうな様々なキーワードパターンを登録しておく必要があります7。
リッチメニュー
リッチメニューは、トーク画面の下部に表示される固定メニューです。
ボタンをタップすると、あらかじめ設定したアクションが自動で実行されます。常に表示されているため、ユーザーが迷わず必要な情報にアクセスできます。たとえば「予約はこちら」というボタンをタップすると予約フォームが開くことができます。
アクションには、URLへの移動、クーポンの表示だけでなく、特定のメッセージの送信があります。そのため、キーワード応答と組み合わせて使われることも多いです。「営業時間」をタップすると営業時間の情報が自動で返信される、といった使い方ができます。
ステップ配信
「ステップ配信」は、友だち追加した日を起点として、あらかじめ設定したスケジュールでメッセージを自動送信する機能です。
一斉配信と違い、新規の友だちに対して、効率的に情報を届けられる仕組みです。ユーザーごとに友だち追加した日が異なるため、それぞれのタイミングで自動的に送られます。たとえば、友だち追加の翌日にお礼のメッセージ、3日後にクーポン、1週間後にアンケートといった具合に、段階的な情報提供ができます。
ただし、ステップ配信は課金対象です8。自動で送られるとはいえ、配信メッセージと同じように通数にカウントされます。
まとめ
LINE公式アカウントの機能は、次の3つに整理できます。
チャットは1対1の個別対応で無料、配信メッセージは一斉送信で課金対象、自動応答はユーザーのアクションに自動で反応する仕組みです。自動応答には、あいさつメッセージ、応答メッセージ、キーワード応答、ステップ配信、リッチメニューが含まれます。応答メッセージとリッチメニューは無料、ステップ配信は課金対象です。
管理画面の項目は多く見えますが、これら3つの基本機能を軸に考えると、どの項目がどの役割を担っているかが明確になります。
- チャット機能の基本機能は無料で利用できます。ただし、2025年3月から「チャットProオプション」(月額3,000円)が提供され、チャット履歴の長期保存やタグ機能の拡張など高度な機能が有料オプションとして利用可能になりました。 – LINE公式アカウントのLINEチャット|機能や活用ポイントを紹介 – LINE公式アカウント チャットProオプション
- 2024年7月より、認証済アカウントではユーザーがLINE公式アカウントを友だち追加すると、「チャット開始機能」により先にチャット送信が可能になりました。ただし、この機能は広告用途ではなく、スムーズなコミュニケーションのためのものであり、広告や宣伝目的での使用は避けるべきとされています。 – LINE公式アカウントのチャット(1:1トーク)の使い方と注意点 – 公式LINEのチャット(1:1トーク)の使い方と注意点
- LINE公式アカウントには3つの料金プラン(コミュニケーションプラン:月0円・200通、ライトプラン:月5,000円・5,000通、スタンダードプラン:月15,000円・30,000通+従量課金)があります。メッセージ配信と絞り込み配信、ステップ配信が課金対象としてカウントされます。 – LINE公式アカウントの料金プラン – LINE公式アカウントのメッセージ数のカウント方法と課金対象
- LINE VOOMへの投稿は無料で、投稿数の制限もありません。メッセージ配信と異なり、ユーザーへの通知も行われないため、頻繁に投稿してもユーザーの負担になりにくい特徴があります。また、投稿後の削除も可能です。 – LINE公式アカウントのタイムライン(LINE VOOM)の料金 – LINE VOOMとは?
- LINE VOOMは2021年11月にタイムラインから名称変更された機能で、主に動画コンテンツを投稿・閲覧できるプラットフォームです。友だち追加していないユーザーにも投稿が表示される可能性があり、認知拡大が期待できます。投稿には「いいね」や「コメント」、「シェア」機能があり、拡散も期待できます。 – LINE公式アカウント LINE VOOMマニュアル – LINE VOOMとは?
- 応答メッセージ(一律応答・キーワード応答)、あいさつメッセージ、LINEチャットの送受信、リッチメニュー、LINE VOOMへの投稿は、メッセージ通数としてカウントされず無料で利用できます。 – LINE公式アカウントの料金プラン – LINE公式アカウントの配信コストを抑える方法
- キーワード応答は、ユーザーから届いたメッセージと設定したキーワードが「完全一致」した場合のみ自動返信されます。 – [LINE公式アカウントの応答メッセージ](https://mico-inc.com/blog/line-auto-response-messages/) – [LINE公式アカウントの応答メッセージ【自動応答・返信方法】](https://line-sm.com/blog/lineofficial_autoreplay/)
- ステップ配信は「メッセージ配信」の一種として課金対象にカウントされます。友だち追加を起点として自動配信される仕組みですが、配信された通数は月額プランの無料メッセージ通数に含まれ、超過すると追加料金が発生します。 – [LINE公式アカウントの料金プラン](https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan/) – [LINE公式アカウントのステップ配信とは?](https://line-sm.com/blog/line_official_step/) – [公式LINEステップ配信に料金はかかる?](https://line-step.jp/media/line-step-delivery-fee/)