1 2 Windows 11初期設定を2日に分けるようにしている

なぜ2日に分けるのか

パソコンの初期設定を依頼されたとき、作業を2日に分けるようにしています。それは、Windows 11の初期設定では、ネットワークに接続すると自動的にアップデートが始まり、完了までに長いと30分から1時間ほど待ち時間があるからです1。また、長時間まとめて作業すると、本人も疲れてしまい作業内容がわかりにくいからです。

そこで、1日目は教室でアップデートなど時間のかかる処理を完了させ、2日目にご自宅で最終的な設定を行うようにしています。

せっかくパソコンを購入したタイミングなので、自分のパソコンの初期設定は、基本的な設定の組み合わせであることを理解できるとよいです。これまでの使い方が人それぞれなので、設定項目は多いですが、一つ一つは複雑ではないのです。

1日目の作業の流れ

初期設定

  • 電源を入れると、まず国や地域の選択画面が表示されます。日本を選び、キーボードレイアウトはMicrosoft IMEを選択します。2つ目のキーボードレイアウトの追加はスキップして構いません。
  • 次にネットワーク接続の画面になります。ここで作業場所のWi-Fiに接続すると、Windows Updateが自動的に開始されます2

アップデート完了後の設定

  • アップデートが完了すると、ライセンス契約への同意を求められます。内容を確認して同意します。デバイス名の設定画面では「今はスキップ」を選びます。後から変更できるからです。
  • 場合によっては、ここで追加のアップデートが始まることがあります。表示に従って待つしかありません。
  • 次にMicrosoftアカウントの設定です3。メールアドレスとパスワード、そして二段階認証が設定されていればスマートフォンに届くコードを入力します。この作業は本人にしかできません。
  • 顔認証や指紋認証の設定画面が表示されることがありますが、後から設定できるためここではスキップしても構いません。

PINの設定が重要なポイント

PIN(ピン)とは、パソコンにサインインするときに使う暗証番号のことです4。Microsoftアカウントのパスワードより短く、そのパソコン専用の認証方法として機能します。

1日目には作業用の簡単なPIN(例えば、設定日の日付など)を設定します。これは、預かり時に作業を続けるためです。
2日目に自宅で、本番用のPINに変更します。

この2段階方式により、セキュリティを保ちながらスムーズに作業を進められます。

プライバシー設定とデスクトップ表示

  • プライバシー設定の画面では、複数の項目が表示されます。基本的には「次へ」を押していき、最後に「同意」を選びます。
  • バックアップからの復元を提案する画面が出る場合があります。新しいパソコンとして設定する場合は「新しいPCとしてセットアップする」を選びます。
  • その後、ウイルス対策ソフトの案内や、様々な追加サービスの提案が表示されます。
  • エクスペリエンスのカスタマイズ、スマートフォン連携、Microsoft 365、PC Game Passなど、すべて「スキップ」「今はしない」「辞退する」を選んで進みます。必要なものは後から設定できるためです。

更新プログラムの確認が再度行われ、パソコンが再起動する場合があります。

メーカーサポートとChrome

ロック画面が表示されたらEnterキーを押し、作業用PINを入力すると、ついにデスクトップ画面が表示されます。

  • デスクトップが表示されたら、メーカーサポートのユーザー登録をしておきます。
  • 必要があれば、Google Chromeをインストールします。標準で入っているMicrosoft Edgeで「chrome ダウンロード」と検索し、公式サイトからダウンロードします。
  • インストール後、Chromeを起動してGoogleアカウントでログインします。これによりブックマークが自動的に同期を始めます。

ここまで完了したら、いったん終了です。

追加の事前作業

  • 追加のWindows Updateがないか確認します。設定画面を開き、Windows Updateの項目で「更新プログラムのチェック」を実行します。更新があればインストールし、必要に応じて再起動します。
  • Windows Defenderが有効になっているか、ウイルス定義が最新かも確認します。
  • 本人の要望に応じて、Zoomなどその他必要なソフトウェアをインストールしておきます。よく使うアプリケーションのショートカットをデスクトップに作成したり、タスクバーにピン留めしたりすると便利です。

2日目の自宅での作業

本番用PINへの変更

お客様の自宅に訪問したら、まずパソコンを起動します。作業用PINでサインインし、すぐにPINを変更します。

設定画面を開き、アカウント項目の「サインインオプション」から「PIN (Windows Hello)」を選びます。「PINを変更」をクリックし、作業用PINを入力した後、お客様と相談して決めた新しいPINを2回入力します。お客様には必ず控えてもらいます。

自宅のWi-Fi接続

設定画面のネットワークとインターネット項目でWi-Fiを選び、「利用できるネットワークを表示」をクリックします。自宅のWi-Fi名(SSID)を選択し、「自動的に接続」にチェックを入れて接続します。パスワードを入力し、接続済みになったことを確認します。プライベートネットワークとして接続します。

プリンター設定とその他の調整

プリンターの電源を入れ、対応するプリンタードライバーをダウンロードしてインストールします。テスト印刷で動作を確認します。

最終確認

すべての設定が完了したら、動作確認を行います。Wi-Fi接続、Chrome、OneDrive、プリンター、そして本番用PINが正常に機能することを確認します。

あとは、1週間から1か月ほど使う中で、以前の操作と異なる部分を確認してもらいます。

この方法の利点

2日に分ける方法には明確な利点があります。1日目は立ち会いが必要な設定と二段階認証を完了させ、時間のかかるアップデートも終わらせます。その後、追加の作業を落ち着いて進められます。

2日目は自宅環境で実際に使用する設定を行うため、Wi-Fi接続やプリンター設定がその場で確認できます。問題があればすぐに対処できます。

  1. dynabookの公式サポートによれば、Windows 11の初期セットアップ時の更新作業は約30分〜1時間程度かかるとされています。ただし、パソコンの性能やインターネット環境によって大きく変動します。 – Windows 11 初期セットアップ手順|dynabook公式サポート
  2. Windows Updateの途中でアップグレードを中断したり電源を切ったりすると、システムファイルが破損し、起動できない不具合が発生する可能性があります。特にアップグレード中のフリーズや電源切断は、PCホスピタルなどでもトラブル解決の依頼が多い事例とされています。 – Windows 11で発生する不具合と対策のまとめ|PCホスピタルWindows Update後に起動しないときの具体的な対処法|PCホスピタル
  3. 2025年3月28日にリリースされたWindows 11 Insider Previewビルドで、ローカルアカウントでのセットアップに用いられていた「BypassNRO.cmd」スクリプトが削除されました。Microsoftは「セキュリティとユーザー体験を向上させるため」としています。ただし、レジストリを手動で編集する代替方法は存在します。 – ローカルアカウントでWindows 11をセットアップする手段がまた一つふさがれてしまう|窓の杜Windows 11のセットアップでMicrosoftアカウントの作成を省略できる裏技が対策される|GIGAZINE
  4. PINは設定したパソコン本体に紐づいているため、PIN情報が流出しても他のパソコンからサインインされることはありません。ただし、パソコンの紛失や盗難の場合は第三者にサインインされる危険性があります。 – Windows 11でPINを設定する方法|NEC LAVIEPIN(Windows Hello)暗証番号を登録する方法|dynabook