公衆Wi-Fiは使い方を知っていれば便利なサービスですが、「無料だからこそ心配」という声もよく聞かれます。
まずはどういう場面で、どうやって提供されているものなのかを知ることが、安心して使うための第一歩になります。
1. インターネットは伝言ゲーム
インターネット通信は、いわば巨大な伝言ゲームです。
遠くにある情報を、近くにあるコンピュータから順番に中継してもらって取得します。
そのため、誰に伝言を依頼するか、という選択が大切です。
スマートフォンの場合は、モバイルデータ通信とWi-Fiがあります。
モバイルデータ通信は、携帯通信会社に、家庭のWi-Fiの場合は光回線事業者やインターネットプロバイダーに料金を支払って、通信を取り持ってもらっています。
1.1. 公衆Wi-Fiというサービス
そのもう一つの選択肢に、「公衆Wi-Fi」があります。
「公衆Wi-Fi(Public Wi-Fi Service)」とは、駅や病院、役所、商業施設、飲食店などで、誰でも利用できる無線のインターネット接続サービスのことです。
スマートフォンやタブレット、パソコンを公衆Wi-Fiに接続すると、携帯電話会社の回線を使わずにインターネットが使えるようになります。
そのため、通信量を節約したいときや、電波の入りにくい場所、あるいは災害時での代替通信手段として役立ちます。
たとえば、災害時には「00000JAPAN」という公衆Wi-Fiが提供されます。
ふだんから使える施設内の公衆Wi-Fiの場合は、その主な目的は利用者に便利な環境を提供するためで、そういう意味では、公衆トイレなどと同じです。
施設を利用する人であれば、簡単な登録で使えます。
1.2. 利用の前に登録画面がある
駅や飲食店、公共施設などで提供される公衆Wi-Fiでは、最近ではWi-Fiパスワードが設定されていることが増えました。
パスワードを入力して無線LANに接続すると、Webブラウザが自動的に認証画面へ転送されることが一般的です。
この方式は「キャプティブポータル」と呼ばれ、利用前に認証や同意を求める仕組みです。
通常は、メールアドレスを登録し、利用ルールに同意します1。
これが何か問題があったときの連絡先になるわけです。
ちなみに、この認証画面が表示される際、ブラウザで一時的にセキュリティ警告が表示されることがありますが、これは仕組み上避けられないものです。
認証後は、通常のHTTPS接続でウェブサイトを閲覧できます。
2. HTTPSが普及して公衆Wi-Fiも安全になった
「公衆Wi-Fiは危険なのか」という問いについては、少し冷静に考える必要があります。
そんなに危険なものではなくなりましたが、自宅のWi-Fiと同じ感覚で使えるわけでもありません。
かつてはHTTPという暗号化されていない通信方式が主流で、通信内容が第三者に盗み見られやすい状況がありました。
この時代の経験が、「公衆Wi-Fiは危険だ」という印象の背景にあります。
現在は、多くのWebサービスがHTTPSを採用しています。
HTTPSは通信内容を暗号化する仕組みで、第三者が内容そのものを読むことはできません2。
ウェブサイトにアクセスすると、自動的に通信内容が暗号化され「保護」されます。
このため、過去と同じ前提でリスクを語るのは正確ではありません。
2.1. 大事な操作はいったんWi-Fiをオフにするのが無難
もちろん、何をしても安全という意味ではなく、個人情報を入力したり、大切な手続きをしたりするのは避けたほうが無難です。
そういう作業は、いったんWi-Fiをオフにして、モバイルデータ通信に戻せばよいです。
モバイルデータ通信は、通信会社による暗号化があるからです3。
公衆Wi-Fiは、「外出先で情報収集に使うための一時的な通信手段」であることを理解して使うことが大切なのです。
3. 偽のアクセスポイントの現実的なリスク
というのも、偽のアクセスポイントの存在があるからです。
「偽のアクセスポイント(Evil Twin)」とは、施設内に設置された攻撃者が細工したWi-Fiルーターのこと。
ただし、Wi-Fiの電波の有効範囲は、広く見積もっても 50m〜100mほど4。
たまたま偽のアクセスポイントに遭遇するかどうかですが、やはり「外出中」という意識は大事。
公衆Wi-Fiそのものが危険というよりも、偽のアクセスポイントと区別しにくい、というのがリスクなのです5。
ちなみに、偽のアクセスポイントにつながったからといって、すぐにスマホ内部のデータが盗まれるわけではありません。
ただし、偽サイトに誘導されて、そこで入力した情報(パスワードなど)は攻撃者に渡ってしまう可能性があります。
知らずに銀行や証券会社の偽サイトに誘導されてしまう、というケースは用心しておくにこしたことはありません6。
逆に言えば、公衆Wi-Fiはニュースを読んだり、お店を検索したりする程度の情報閲覧に限定すれば、実用上は安全に使えます7。
ただし、ブラウザで「接続が安全ではありません」などの証明書エラーが表示された場合は、すぐにいったん利用を中止してください8。
3.1. VPN
ちなみに、公衆Wi-Fiでも暗号化してインターネット接続する仕組みとしては、「VPN」というサービスもあります9。
ただし、VPNサービスでプライバシーを確保しようと思うと、基本的には有料のものを選ぶ必要があります。
個人利用のインターネット閲覧程度なら、モバイルデータ通信を利用するほうがシンプルです。
モバイルデータ通信の無線区間は、AESという暗号化で保護されており、SIM認証による厳格な端末認証も行われているからです10。
外出時に業務などで大量のデータをやり取りする必要があれば、VPNの利用も検討してみてください。
- 公衆Wi-Fiに接続する際は、Wi-Fi自体の暗号化方式も確認することが重要です。WEPは容易に解読されるため避けるべきで、WPA2またはWPA3が推奨されます。接続可能なWi-Fi一覧で鍵マークの有無を確認しましょう。 – フリーWi-Fi(公衆無線Wi-Fi)に危険性はある?安全な接続方法やセキュリティ対策を紹介!
- ただし、公衆Wi-Fiで暗号化キー(パスワード)が公開されている場合、同じネットワークに接続している第三者が暗号化を解読できる可能性があります。HTTPSによるWebサイトとの通信暗号化は有効ですが、Wi-Fi自体の暗号化には限界があることに注意が必要です。 – パスワードが公開された公衆無線LAN、暗号化されていても盗聴できる?
- 4G(LTE)や5Gなどのモバイルデータ通信は、無線区間の通信が暗号化され、SIMカードによる認証も行われます。このため、公衆Wi-Fiと比較して盗聴や偽基地局への接続のリスクが低く、重要な情報を扱う際はモバイルデータ通信への切り替えが推奨されます。
- この距離は障害物がない理想的な環境での理論値です。実際には壁や家具などの障害物により電波は減衰します。総務省のガイドラインでも「周囲の見通しがよければ半径約50~100メートル程度」と条件付きで記載されています。 – 総務省 無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用について
- スマートフォンやPCのWi-Fi自動接続機能は、過去に接続したSSIDと同じ名前のネットワークに自動的に接続してしまうため、偽のアクセスポイントに気づかず接続するリスクがあります。外出先では自動接続設定をオフにすることが推奨されます。 – 悪魔の双子攻撃とは?Wi-Fiに潜む悪魔の双子の説明
- Webブラウザの場合は証明書エラーが表示されますが、スマートフォンアプリの中には証明書検証が不十分なものがあり、中間者攻撃を受けるリスクがあります。公衆Wi-Fi利用時は、重要な情報を扱うアプリの使用は避けることが望ましいです。 – フリーWi-Fiを使ったら秘密情報を抜かれる経路にはどのようなものがあるか
- 災害時に提供される「00000JAPAN」という無料Wi-Fiは、緊急時の通信手段として有用ですが、認証や暗号化が行われていないため、情報収集などの最低限の利用にとどめ、ログイン情報やクレジットカード情報の入力は絶対に行わないでください。 – フリーWi-Fiの危険性とは?安全に利用するための対策と注意点を解説
- 一部の重要なWebサイトでは、HSTS(HTTP Strict Transport Security)という技術により、証明書エラーを無視できないようにしています。これは中間者攻撃を防ぐための重要な仕組みです。証明書エラーが表示された場合は、偽サイトへの誘導の可能性があるため、絶対に先に進まないでください。 – フリーWi-Fiを使ったら秘密情報を抜かれる経路にはどのようなものがあるか
- VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用も推奨されます。VPNは通信内容を暗号化するため、公衆Wi-Fi利用時のリスクを大幅に軽減できます。総務省や警察庁も公衆Wi-Fi利用時のVPN使用を推奨しています。 – 公衆無線LAN(フリーWi-Fi)にもしっかりセキュリティ対策を!!
- 4G(LTE)や5Gなどのモバイルデータ通信は、無線区間の通信がAES暗号化され、SIMカードによる認証も行われます。このため、公衆Wi-Fiと比較して盗聴や偽基地局への接続のリスクが低く、重要な情報を扱う際はモバイルデータ通信への切り替えが推奨されます。