「CapCutでショート動画を作成するのに、『クレジット』が必要だと聞きました。どういうことですか」という相談がありました。
クレジットが必要なのは一部のAI機能だけです。カットして、文字を入れて、書き出す、という普通の動画編集はクレジットを一切消費しません1。ただ、この「一部だけ」という構造がやや分かりにくい。CapCutが何を無料にして、何を有料にしているのかを整理してみます。
1. クレジットを消費しないエクスポート設定
エクスポート画面で確認すべき項目は5つです。
どれか1つでもオンになっていると、クレジット消費やPro要求が発生する可能性があります。
まず確認するのはAIウルトラHDのスイッチです。
オフなら「1回使用」と表示されていても消費しません。
スイッチをオンにした瞬間に、サーバー側でのAI処理が走り始めます。
解像度は設定画面の表示に従って選びます。
1080P・2K・4Kに「無料」バッジが出ている場合は、端末やアプリのバージョンによって、その解像度を追加課金なしで選択できる状態です。
フレームレートとビットレートは推奨値を目安にします。
30fps・5Mbps前後はCapCutが「この動画におすすめ」として表示する値で、端末内での書き出しになります。
スマートHDRはオフにします。
HDRはHigh Dynamic Rangeの略で、明暗差を広く表現する処理です。
この機能がオンになっていると、通常の書き出しとは別の処理が加わります。
透かしの項目が「なし」と表示されていれば、Pro案内なしで透かしなし書き出しができる状態です。
この5項目がすべて整った状態でエクスポートを押すと、書き出し中の画面に「透かしなしでのエクスポート」と表示されます。
完了後は「デバイスに保存済み」となり、動画はスマホのカメラロールに書き込まれます。
ここまでの操作でクレジットは消費されず、Pro契約も不要です。
2. CapCutは4つの層でできている
CapCutは「無料の動画編集アプリ」として紹介されることが多いですが、実態はもう少し複合的です。
| 層 | 何ができるか | 制限・課金の軸 |
|---|---|---|
| 通常の動画編集 | カット、分割、結合、テキスト、音声調整、通常書き出し | 基本無料 |
| AI機能 | 画像・動画生成、背景削除、AI音声、AI高画質化など | クレジット(使用量ごと) |
| クラウド・共同編集 | プロジェクト保存、端末間同期、チーム作業 | 容量・人数・プラン |
| Pro素材・Pro権限 | Proテンプレート、Proエフェクト、4K・60fps書き出しなど | サブスク課金 |
「無料で使えるのに途中で止まった」という体験のほとんどは、この4層の境界線を無意識に越えたときに起きます。
2.1. 第1層:通常の動画編集は本当に無料
素材を並べる、不要部分を切る、テキストを重ねる、BGMを乗せる、720pや1080pで書き出す。これらは端末内で完結する処理で、サーバーやAIを使いません。無料アカウントでも回数制限なく使えます2。
透かしについては誤解が多い部分です。エクスポート設定に「透かし:なし」と表示されていてPro案内が出ない状態なら、その書き出しは無料枠に収まっています3。ただし、テンプレートの末尾にCapCutロゴ付きのクリップが残っていると透かしのように表示されることがあります。タイムラインの最後を確認して、不要なクリップを削除しておくと安心です4。
2.2. 第2層:クレジットとはAI機能用のポイント
「クレジット」はAI機能を使うためのポイントです。電子マネーに近い仕組みで、操作を確定した時点で自動的に差し引かれます5。
クレジットを消費する主な機能は次のとおりです。
- AI画像生成・AI動画生成
- テキストから動画を生成するAI Script-to-Video
- 人物のポートレート加工を行うAI Portrait
- AIが人物や物体を自動認識して背景から切り分けるSmart Cutout(スマート切り抜き)
- Premium Voiceovers(プレミアム音声読み上げ)
- サーバー側でAIが動画を高画質化するAI Ultra HD
同じ「AI」と名の付く機能でも、スイッチをオフにしていれば消費しません。エクスポート画面でAIウルトラHDがオフと表示されているなら、その機能は動いていないので安心して書き出せます6。
機能によって無料回数の上限が異なるのは、処理の重さとサーバーのコスト差を反映しています。軽い機能は多めに使えて、重いAI処理は2〜3回など少なめに設定されることがあります7。
2.3. 第3層:クラウドはスマホのストレージとは別物
動画ファイルを端末に保存することと、CapCutのクラウドに保存することは別の話です。端末保存はスマホ本体の空き容量だけの問題で、CapCutの制限とは関係ありません。
CapCutのクラウドに保存・同期する場合はプランの容量上限が影響します。以前は無料枠として1GBが提供されていましたが、公式の説明では無料クラウド容量が調整されており、オンライン保存やバックアップには有料または追加枠が必要になります8。
個人使用でショート動画を作るだけなら、端末保存だけで運用することも現実的な選択肢です。
2.4. 第4層:Proマーク付きは有料確定
CapCut Proは月額または年額の定期課金サービスです9。Proでないと使えない機能は、編集画面では試せても書き出し時に止まる設計になっています10。
Proが必要になる代表的なケースは次のとおりです。
- ProマークやSubscribeアイコン付きのテンプレート・エフェクト・フォントを使った
- 4K解像度や60fpsでの書き出しを選んだ11
- Proプラン専用の音楽・エフェクト素材を使った
これらをプロジェクトに含めていなければ、書き出し時にProを求められることはありません。
3. 画面で判断する実用チェック
アプリ内に表示されるラベルを見れば、今どの層にいるかが分かります。
- 何も表示がない場合は、無料の通常機能です。
- 「1回使用」「無料◯回」「◯クレジット」が表示される場合は、AI機能の使用量制限です。
- 「容量上限」が表示される場合は、クラウドストレージの制限です。
- 「Pro」「Subscribe」「Upgrade」が表示される場合は、有料サブスク機能です。
たとえばエクスポート前に「AIウルトラHD:オフ」「スマートHDR:オフ」「透かし:なし」「720p・30fps・5Mbps」と確認できていて、Pro素材を使っていなければ、その書き出しは無料枠で完結します。
4. まとめ
CapCutが「無料」と言えるのは、第1層の通常動画編集が実際に無料だからです。ただしその上に、AI機能のクレジット課金、クラウドの容量課金、Pro素材のサブスク課金が重なっています。
「クレジットが必要」という話を聞いて身構えた方も、普通の編集だけに絞れば、クレジットの残量を気にする場面は来ません。AI機能のスイッチをオンにした瞬間だけ、別の層に足を踏み入れることになります。
- CapCut公式ヘルプでは、クレジットはAI機能にアクセスするための仮想通貨と定義されています。カット・分割・テキスト追加などの通常編集はクレジット消費の対象外です。 – What Are Credits in CapCut?
- App Storeの公式説明では、カット・トリミング・結合・分割・フィルター・テキスト追加・ステッカー・基本音声編集が無料機能として列挙されています。 – CapCut:写真&動画エディターアプリ
- CapCut公式ヘルプでは、エクスポート設定で透かしなしを選択することで通常は透かしなしの書き出しが可能と案内されています。Pro素材を含む場合は対象外です。 – How Can I export a Video from CapCut without a Watermark?
- テンプレートから作成した動画では、末尾にCapCutのブランドロゴ入りクリップが含まれる場合があります。タイムラインの最後を確認し、不要なクリップを削除することで回避できます。 – How Can I export a Video from CapCut without a Watermark?
- CapCut公式では、クレジットはAI画像生成・AI Script-to-Video・AI Portrait・Smart Cutout・Premium Voiceoversなどの機能に使われ、操作を確定した時点で差し引かれると説明されています。 – How Can I Use the Credits?
- AI Ultra HDはクラウドサーバーでのAI処理のため、通常のHD書き出しより時間とリソースを要します。CapCut公式では、AI Ultra HDエクスポート中に処理が止まる原因と対策も説明されています。 – Why Is My Video Stuck During AI Ultra HD Export?
- CapCut公式では、機能によって無料使用回数が異なる理由として、ベータ段階にあること・処理の複雑さ・必要な計算資源の差を挙げています。端末・地域・バージョンによっても変動する場合があると説明されています。 – Why Do Different Features Have Different Free Usage Limits
- CapCut公式の発表によると、新規に作成されるクラウドスペースの無料容量は0GBに変更されました。以前は容量が自動付与されていましたが、この変更以降は含まれなくなっています。 – Adjustment of Free Quota for Cloud Storage
- 2025年の料金体系再編により、個人向けプランはStandardとProに分かれました。日本向けのモバイルプランはおよそ月額1,350円または年額10,800円、デスクトップ版は年額19,800円が目安です。価格は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトで確認してください。 – What Is the Price of CapCut for New Subscribers
- CapCut公式ヘルプでは、エクスポート時にPro加入を求められる理由として、Proマーク付きの素材や機能を含むプロジェクトを書き出そうとした際に加入画面が表示される仕組みと説明されています。 – Why Am I Prompted to Join CapCut Pro When Exporting?
- CapCut公式では、2K/4K書き出しの対応は端末・OS・CapCutのバージョンに依存すると説明されています。無料アカウントでは解像度やビットレートに制限がかかる場合もあります。 – How Do I Export 2K/4K Videos in CapCut?