ノートPCで作業を画面録画していたら、突然シャットダウン・再起動してしまいました。
これまでも録画ソフトの起動中は、パソコンが熱を持ち、動作が不安定になるのが気になっていました。

夏場は室温が上がるだけで、ぎりぎり安定していた設定が崩れることがあります。
この記事ではB’s動画レコーダー12を例に取りますが、考え方は他の録画・編集ソフトやビデオ会議ツールにも通じます。
試す順番に沿って整理します。
1. なぜ長時間作業でシャットダウンが起きるか

ノートPCの熱シャットダウンは、瞬間的な高負荷よりも「熱の蓄積」が原因になることのほうが多いです。
CPUが安全温度を超えると、まず動作クロックを自動で落とすスロットリングが働き、それでも温度が下がらなければ保護のために電源を切ります1。
30分を超える連続作業でシャットダウンが起きる場合は、処理の重さより熱の逃げ道が追いついていない可能性が高いです。
夏場に新たに問題が出た場合は、室温の上昇で余裕がなくなったと見るのが自然です。
1.1. まず温度を確認する(HWiNFO)
対策の前に、何が熱くなっているかを数値で把握します。
「HWiNFO」というフリーソフトが適しています2。

HWiNFOでは、CPUパッケージ全体の温度「CPU Package」、各コアの最高値「Core Max」、パフォーマンスが自動抑制されたことを示す「Thermal Throttling」、内蔵グラフィックの「GPU温度」、ストレージの「SSD温度」、ファン回転数をまとめて確認できます。
HWiNFO公式サイトからインストーラー版またはポータブル版を入手できます。
まず現状の設定のまま10〜30分作業し、温度を記録してください。
この数値が後の比較基準になります。
CPUが90℃台後半に張り付いている、Thermal Throttlingが頻発している、といった状況が確認できれば、熱対策の優先度が高いと判断できます。
2. 録画ソフトの録画設定を軽くする

最初に手を付けるのは録画ソフトの設定です。
OS側でCPUを強く制限すると、録画のコマ落ちや音ズレが先に出てしまいます。
B’s動画レコーダー12では次の設定を確認してください。



2.1. 録画ソフトの負荷の計算
録画ソフトの負荷は、大きくは3つの掛け算で決まります。
(解像度) × (フレームレート) × (コーデックの重さ × 画質) ÷ (ハードウェア加速)
まず生データ量は「横ピクセル数 × 縦ピクセル数 × フレームレート」です。
1920×1080・30fpsなら1秒に約6,200万ピクセル分の画像を処理することになります。
これが録画解像度やfpsを変えたときに効いてくる部分です。
次に、その生データをどれだけ圧縮するかという「エンコードの重さ」が掛かります。
H.264とH.265では同じ映像を圧縮するのにかかる計算量が大きく違い、H.265は圧縮率が高い分、CPUへの要求がH.264の2〜5倍程度になります。
画質設定(ビットレート)もここに影響し、高品質にするほど1フレームあたりに費やす計算が増えます。
最後に「誰がエンコードするか」という係数が掛かります。
CPUソフトウェアエンコードとIntel QSVのようなハードウェアエンコードでは、CPU側への負荷が数倍変わります。
2.2. ハードウェアエンコードをONにする
CPUだけで処理する代わりに、「Intel QSV(Quick Sync Video)」というIntel CPU内蔵グラフィックの動画エンコード支援機能に処理を分散させます3。
対応CPUでは負荷軽減が期待できます。
ただし、ノートPCではCPUとGPUが同じ冷却系を共有していることが多く、CPU温度は下がってもGPU温度が上がる場合があります。
HWiNFOで両方の温度を確認してください。
2.3. 「H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)」は使わない
圧縮率の高い動画形式ですが、録画時のPC負荷が高くなります4。
作業記録やセミナー受講記録なら、H.264(AVC)で十分な品質です。
2.4. フレーム数と画質を下げる。
60fpsや高画質は映像として滑らかですが、文字や操作を記録する用途には過剰です。
フレーム数を30から24または15程度に、画質を「高」から「中」に変えると発熱が変わります5。
文字が読めて音声が安定していれば目的は果たせます。
2.5. リアルタイム出力がある場合はOFFにする
録画と同時に別画面へ出力する設定があれば、切るだけで負荷が下がります6。
2.6. 【補足】ビデオ会議や動画編集アプリの場合
ほかのアプリでも、ビデオ会議(ZoomやTeams)なら、バーチャル背景をOFF、ビデオ解像度を下げる、不要なプラグインや同時起動アプリを減らす、といった対応が同じ方向に働きます7。
動画編集では、プレビュー品質を下げる、プロキシ編集を使うことが発熱を抑えます。
3. 発熱と排熱のバランス

3.1. Windowsの電源設定を調整する(省電力の設定)
OS側で電源モードを「最適なパフォーマンス」から「バランス」に変えるだけでも、発熱が落ち着くことがあります8。
さらに踏み込む場合は、コントロールパネルの詳細な電源設定から「最大のプロセッサの状態」を100%から99%に下げてみてください。
機種によってはTurbo Boost(一時的な高クロック動作)を抑えられます9。
90〜95%まで下げると効果が出やすくなりますが、録画中にコマ落ちが出るようなら少し戻します。
3.2. 排熱ファンの性能を上げる
メーカーのユーティリティソフトに「静音」「バランス」「パフォーマンス」などのモードがある機種では、長時間作業中だけ冷却重視のモードに切り替えます。
静音モードはファンの回転を抑えるため、長時間作業では熱がこもりやすくなります。
3.3. 物理的な排熱を改善する
設定変更と並行して、熱の逃げ道を確保します。
ノートPCは底面や側面から吸気して排気するため、設置環境で温度が大きく変わります。
ソファや布団の上での使用は底面をふさぐため避けてください。
机の上でも、背面を数センチ持ち上げるだけで変わることがあります。
冷却台を使う場合は、ファンの位置がPCの吸気口に合っているかを確認します。
吸排気口のホコリは綿棒や圧縮空気で定期的に取り除いてください。
室温を下げることも直接効果があります。
4. 試す順番
- 現状設定のまま録画し、HWiNFOで温度を記録する
- B’s動画レコーダー12(または使用ソフト)の設定を変えて再計測する
- 物理的な排熱改善を加えて再計測する
- まだ高温ならWindowsの電源設定を調整する
一度に全部変えると、どれが効いたかわからなくなります。
温度ログを残しながら段階的に進めてください。
- IntelはCPUが熱保護のためにスロットリングを行い、それでも安全温度を保てない場合は自動シャットダウンすると説明している。 – Information about Temperature for Intel® Processors
- Windows 7以降の64bit環境向けにインストーラー版とポータブル版が提供されている。 – HWiNFO公式サイト
- B’s動画レコーダー12のマニュアルでは、ハードウェアエンコードを有効にすることで対応CPUでの負荷軽減やエンコード速度向上が期待できると案内している。 – 各設定方法 | B’s 動画レコーダー 12 オンラインマニュアル
- B’s動画レコーダー12のマニュアルでは、H.265/HEVCはファイルサイズを小さくできる一方で録画・再生時のPC負荷が高くなるとされており、不安定な場合はOFFが推奨されている。 – 各設定方法 | B’s 動画レコーダー 12 オンラインマニュアル
- B’s動画レコーダー12のマニュアルによると、フレーム数の選択肢は10・24・30・60で、値が大きいほど滑らかだが負荷が高くなる。コマ落ちや再生不安定時はフレーム数を小さくするよう案内されている。 – 各設定方法 | B’s 動画レコーダー 12 オンラインマニュアル
- B’s動画レコーダー12のマニュアルでは、リアルタイム出力は負荷が高く、問題が出る場合はOFFが推奨されている。 – 各設定方法 | B’s 動画レコーダー 12 オンラインマニュアル
- ASCII.jpの検証では、Zoomでバーチャル背景をONにした場合のCPU使用率が25%前後だったのに対し、OFFにすると15%前後に落ち着いた。 – ZoomやSkypeなどビデオ会議サービスのCPU使用率を調べてみた | ASCII.jp
- Microsoftは、Windowsの電源モードとして「トップクラスの電力効率」「バランス」「最適なパフォーマンス」「最大のパフォーマンス」の選択肢を提供している。 – Change the power mode for your Windows PC – Microsoft Support
- 「最大のプロセッサの状態」を99%に変更することでCPU温度が10度程度下がる場合があるという実測報告がある。SSDのランダムアクセス性能がわずかに低下することがあるが、体感しにくい程度とされている。 – ノートパソコンが熱い!「最大のプロセッサの状態」を「99%」にするのが良さそうです!