- Windows 10個人向けESUの提供期間が2027年10月12日まで延びました。
- 登録条件や無料枠の中身はそのままです。
- 法人向けESUは対象外で、Entra ID経由の有償プログラムは、従来通り2028年までの予定のままになっています。
- ユーザーを完全に置き去りにできない背景には、不評という以上に、古いOSがセキュリティホールや攻撃の踏み台になるリスクがあります。
1. 「更新情報:Windows 10 拡張セキュリティ・アップデート(ESU)」メール
先日、マイクロソフトから「更新情報:Windows 10 拡張セキュリティ・アップデート(ESU)」という件名のメールが届きました。


7月16日のことです。 開いてみると、Windows 10 拡張セキュリティ更新(Extended Security Updates、以下ESU)の提供期間を、2027年10月12日まで延ばすという案内でした1。
調べてみると、マイクロソフト自身のサポートページはすでに6月25日の時点で書き換わっていて、海外メディアのWindows Latestが最初に見つけたのだそうです2。
ページの更新が6月25日、利用者への一斉メールが7月16日。 三週間ほどの時差があったことになります。
2. 延びたもの、延びなかったもの
延長といっても、何もかもが変わったわけではありません。 中身を見ていくと、延びたところと変わらないところがはっきり分かれています。
2.1. 個人向けの条件
対象はWindows 10バージョン22H2のHome、Pro、Pro Education、Workstationsの各エディションで、子ども用でないマイクロソフトアカウントでのサインインが必須です3。 この条件自体は、2025年の登録開始時から変わっていません。
無料で使える方法は二つあります。 Windowsのバックアップ設定を有効にしてPC設定を同期しておくか、マイクロソフトリワードの1000ポイントを充てるか。 それ以外だと30ドルの買い切りで、1ライセンスは10台まで使えます4。 条件を並べだすとキリがないのですが、要は既に登録済みなら何もしなくていい、というのが今回の一番の要点です。
実際、既にESUに登録している端末は、追加の操作なしで2027年10月12日まで保護が自動的に続きます。 今回届いたメールも、まさにその通知でした。
2.2. 法人向けとの違い
一方、法人向けはこの延長の対象外です。 Entra IDでサインインするWindows 10 Pro/Enterpriseなどは、従来通り最大3年間、年単位の有償契約でESUを申し込む仕組みのままです。
価格は1台あたり年額61ドルから始まり、年を追うごとに上がっていく段階制5。 個人向けが無料で1年延びた一方、法人は2028年10月までという当初の予定に変更がありません。 同じESUという名前でも、個人と法人ではまったく別の時間軸で進んでいます。
3. なぜこのタイミングでの延長なのか
延長の理由について、マイクロソフトは公式な説明を出していません。 あれこれ調べてみました。
3.1. 地域ごとのシェア
延長の背景として、EU圏でWindows10の稼働率が高いからではないか、という見方をどこかで聞いた覚えがあります。 実際に統計を確かめてみることにしました。
Statcounterの2026年6月のデスクトップ版OSシェアによると、世界全体のWindows10比率は28.1パーセント6。 ヨーロッパ全体では26.35パーセントで、むしろ世界平均よりやや低いくらいです7。 ドイツは21.7パーセント、イギリスは17.4パーセントとかなり低く、イタリアの31.09パーセントやスペインの31.37パーセントが平均を押し上げている形でした8。
本当に高いのはアジアです。 34.5パーセントあり、インドは40.09パーセント、中国は38.58パーセントに達しています9。
3.2. EU固有の法的な経緯
ただ、EUには稼働率とは別の事情がありました。 2025年9月、スペインの消費者団体OCUとEuroconsumersが、マイクロソフトのESU提供方針はEUのデジタル市場法(Digital Markets Act)に抵触すると訴え、二年以上の働きかけの末に譲歩を引き出しています10。
その結果、EEA域内に限ってバックアップ設定やリワードポイントの条件なしで無料ESUを受けられる措置が、2026年10月13日までという期限に対して先に実現していました11。 今回の世界共通の延長より、半年以上前の出来事です。
EUはすでに一段階先んじて、無条件の無料化という譲歩を勝ち取っていたことになります。 今回の2027年までの延長は、それとは別の、世界規模の判断として発表されたものでした。
4. 半導体価格の高騰とPC買い替えの鈍り
延長の理由をマイクロソフトは語っていませんが、Windows Latestなどの海外メディアは、メモリやSSDなど部材価格の高騰で新しいPCへの買い替えが難しくなっている状況を挙げていました12。 ドイツなど一部市場でWindows11への移行が鈍いという指摘もあります13。
企業としては、開発リソースをWindows11に集中させたいはずです。 それでも、旧OSのユーザーを完全に切り捨てるのは腰が引ける、というのが本音でしょう。
切り捨てが不評だから、というだけの話でもありません。 パッチの当たらない端末が大量に残ると、そこが攻撃の踏み台になり、ボットネットや別の攻撃への足がかりに使われてしまいます。 ユーザー一人の被害では済まず、ネットワーク全体のセキュリティホールとして機能してしまいます。
サポート終了という言葉は毎年のように聞きますが、実際にはこうして猶予が重ねられていくことも多いのだと知りました。 締め切りは動く。 動いた締め切りの裏側に、法律の話や部材価格の話が転がっているんですね。
- マイクロソフト公式サポートページには「2027年10月12日にプログラムが終了するまで、いつでもESUに登録できます」との記載がある。 – Windows 10 拡張セキュリティ更新プログラム | Microsoft Windows
- Windows Latestは2026年6月25日、サポートページの記載変更をいち早く報じ、マイクロソフトへの確認により誤記ではないことを確認したと伝えている。 – Windows 10 support quietly extended until Oct 2027, as users reject Windows 11
- ITmediaの記事は、個人向けESUの利用要件としてバージョン22H2であることと、子ども用でないマイクロソフトアカウントを持つことの2点を挙げている。 – Windows 10の個人向け「拡張セキュリティ更新(ESU)」提供期間延長 2027年10月12日まで利用可能
- GIGAZINEの記事でも、1つのESUライセンスは最大10台の端末で利用できると説明されている。 – MicrosoftがWindows 10の拡張セキュリティアップデートをさらに1年間延長
- PC Watchの記事は、法人向けESUが現時点で1台あたり年額61ドルからの段階的な価格設定であり、今回の延長の影響を受けないと解説している。 – まだ終わらんよ!Windows 10のサポートが1年延長。来年10月まで実質無料に
- Statcounterの2026年6月時点のデスクトップ版Windowsバージョン別シェアで、世界全体のWindows10は28.1パーセントとなっている。 – Desktop Windows Version Market Share Worldwide
- 同じくStatcounterによると、2026年6月のヨーロッパ全体のWindows10シェアは26.35パーセントで世界平均を下回る。 – Desktop Windows Version Market Share in Europe
- 国別ではドイツが21.7パーセントと低く、Statcounterの国別データで欧州域内のばらつきが確認できる。 – Desktop Windows Version Market Share in Germany
- Statcounterのアジア地域データでは、2026年6月のWindows10シェアが34.5パーセントとヨーロッパより高い水準になっている。 – Desktop Windows Version Market Share in Asia
- 消費者団体Euroconsumersは2025年9月22日付の声明で、2年以上の働きかけの末にマイクロソフトからEEA域内の無料ESU提供を引き出したと発表している。 – Euroconsumers Secures Free 1-Year Windows 10 Security Update Extension in the EEA
- Windows Latestは2025年9月、EU圏に限りバックアップ同期やリワードポイントなしで無料ESUを利用できるようになったと報じている。 – No, you’ll still need a Microsoft account for Windows 10 ESU in Europe
- PC Watchの記事は、メモリやSSDなど部材価格の上昇によるPC値上げが、今回の延長の背景にあるのではないかと推測している。 – まだ終わらんよ!Windows 10のサポートが1年延長。来年10月まで実質無料に
- Windows Latestは、ドイツをはじめとする一部市場でWindows11への移行が遅いことも延長の一因ではないかと指摘している。 – Windows 10 support quietly extended until Oct 2027, as users reject Windows 11