【YouTube/Adsense】
広告は遅く、動画は早く数えるよ
うになった
(インプレッション計測)

  • AdSenseから、2027年2月17日にインプレッションの数え方を変えるというメールが届いた。ダウンロードが始まった時点から、レンダリングが始まった時点へ。
  • YouTubeは2026年8月24日に逆向きの変更をしている。一定時間見られてはじめて1回だった再生回数を、最初の1フレームで1回と数えるようにした。
  • どちらの説明にも業界標準という言葉が出てくる。それでも、線が動いた向きは反対。
  • 公開される数字が変わっても、収益の計算に使われる数字はそのまま残っている。

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1. 広告と動画で、数え方が逆に動いた

夜、Google AdSenseから「広告インプレッションのカウント方法に予定される変更について」という件名が届いていました1
開いてみると、太字で「お客様側でのご対応は不要です」。
対応が要らないなら黙っていてもよさそうなものですが、読み進めると数字が変わる話でした。

1. 広告と動画で、数え方が逆に動いた

今のAdSenseは、ユーザーのデバイスに広告のダウンロードが開始された時点でインプレッションを1回と数えています2
2027年2月17日から、これがレンダリング開始時方式に変わる。
移行後は合計インプレッション数が変化する可能性がある、とも書いてあります3

1. 広告と動画で、数え方が逆に動いた

思い出したのが、この夏のYouTubeです。
2026年8月17日に発表があり、8月24日から、公開される再生回数を動画の最初の1フレームでカウントする方式に切り替わりました4
それまでは、ある程度の時間見られてはじめて1回。
長尺もライブ配信もポッドキャストも、全フォーマット全世界に適用されています5

AdSenseは数える瞬間を後ろへずらし、YouTubeは前へずらした。
そして両方とも、業界の標準的な数え方に合わせるためだと説明しています6
同じ理由で逆方向に動くのは妙な感じですが、どちらも本当です。
そもそも「1回表示された」という出来事に、はっきりした境目がないからだと思います。

2. レンダリング開始とは何が起きた瞬間か

2.1. ダウンロードの開始と描画の開始のあいだ

ダウンロードが開始された時点で数える、とはどういうことか。
広告のファイルを取りに行き始めた瞬間、ということです。
そのファイルが端末に届いたかどうかは問われません7
読み込みの途中で読者がページを離れれば、その広告は誰の画面にも出ていない。
それでも1インプレッションとして記録されていました8

2.1. ダウンロードの開始と描画の開始のあいだ

レンダリング開始時方式は、英語ではbegin-to-render(ビギン・トゥ・レンダー:描画の開始)と呼ばれます。
広告のファイルが端末に届き、ブラウザがそれを描き始めた時点で数える。
仕様の上では、クリエイティブを描画するか、ページの構造の中に組み込んだ時点と定義されています9
ここまで来れば、少なくとも「出た」とは言える。

AdSenseがこの引っ越しをするのは、実は二度目です。
もともとは広告サーバーが広告を送り出した時点で数えていて、ダウンロード開始時に移したのが2018年10
そのときもGoogleは、インプレッションは減るが収益には影響しないと説明していました。

この線引きを決めているのは、IABテクノロジーラボとMRCが2017年に出したガイドラインです11
Googleは広告を買う側のツールから先に動いていて、ディスプレイ&ビデオ360が2025年9月、キャンペーンマネージャー360が同年11月に、レポート上の数え方を移しました12
ただし、広告主に請求するぶんのインプレッションは、この2つもまだ移していません。
そちらの移行予定は2027年2月13
AdSenseの2月17日と、ほぼ足並みが揃っています。

2.2. 描き始めたことと、見えたことは違う

ここで気をつけたいのは、レンダリングが始まったからといって、読者の目に入ったとは限らないことです。
ページのずっと下にある広告でも、裏のタブで開かれたページの広告でも、描画さえ始まれば1回14
スクロールで一瞬にして通り過ぎた広告も同じです。

見えたかどうかを測る指標は、別にあります。
AdSenseやGoogleの管理画面に出てくるアクティブビューがそれで、広告の面積の50%以上が1秒以上表示されて、はじめてビューアブルと判定されます15
基準としてはこちらのほうがずっと厳しい16

配信された、ダウンロードが始まった、描画が始まった、画面に見えた。
たった1回の広告表示に、線を引ける場所が4か所もあります。
AdSenseはこれまで2本目に線を引いていて、2027年2月に3本目へ移す。
今回の変更は、それだけの話です。

3. 公開する数字と、お金になる数字が分かれた

YouTubeの発表で面白いのは、数え方を緩めたのに収益への影響はないと言い切っているところです。
公開される再生回数は最初の1フレームで数える。
一方で、広告収入の算定とパートナープログラムの参加資格の判定には、エンゲージビューという別の指標を使い続ける17
こちらは、最初の数秒を超えて見られた回数です。

同じことは、先にショート動画で起きていました。
2025年3月31日に、ショートの再生回数が再生またはループ再生の開始時点でカウントされるようになりました18
表示上の数字はぐっと増え、エンゲージビューとのあいだに3倍近い差が出るケースもあると言われています19
増えたのは表示のほうで、視聴者の行動が変わったわけではありません。

3. 公開する数字と、お金になる数字が分かれた

AdSense側にも似た構図があります。
インプレッションが減れば、それを分母に置くページRPMやクリック率は上がって見える20
収益額がまったく同じでも、比率だけが動きます。
Googleは影響の大きさを数字で示していないので、どれくらい動くかは開けてみるまで分かりません。

どちらのサービスも、見せる数字と払う数字を別々の定義に分けている。
管理画面で一番大きく出ている数字が、収入からは一番遠い。

4. 断層をまたいで比べない

そうなると、覚えておくべきは日付になります。
YouTubeの長尺動画は2026年8月24日、ショートは2025年3月31日。
AdSenseのインプレッションは2027年2月17日。
この線をまたいで前後を比べると、数え方の段差を伸びや落ち込みと読み違えます。

比較したいときは、定義が変わっていない指標を選ぶ。
YouTubeならエンゲージビューで、これは変更の前後で同じ基準のまま残されています21
AdSenseなら、インプレッションではなく収益額そのものを見るのが確実です。

2027年2月にインプレッションが減っても、クリック率が上がっても、それは施策の結果ではありません。
数え方が変わっただけで喜んだり落ち込んだりするのは、さすがにもったいない。
メールに「ご対応は不要です」と書いてあるのは、手を動かす必要がないという意味であって、何も起きないという意味ではないのだと思います。

数字は測るための道具のはずなのに、どこで線を引くかで簡単に姿を変えます。
1年半も先の日付がわざわざ指定されているのは、それだけ多くのレポートと契約が、この1本の線にぶら下がっているからでしょう。
メールは消してしまってかまわないので、日付だけメモしておくことにしました。

  1. 配信は2026年9月1日。メール通知の設定に関わらず全員に送られる、サービスの重要な更新の知らせという扱いになっている。 – AdSense drops unrendered ads from impression counts on February 17, 2027
  2. ヘルプには配信インプレッションとダウンロードインプレッションの2つが並べてあり、AdSenseはすべてのインプレッションにダウンロードの定義を使うと書かれている。 – インプレッション – Google AdSense ヘルプ
  3. 対象はウェブとモバイルウェブ、コネクテッドテレビのディスプレイ広告。Google アド マネージャーも同じタイミングで移行する。 – AdSense drops unrendered ads from impression counts on February 17, 2027
  4. YouTubeのヘルプでは、2026年8月24日より動画の再生開始回数がカウントされるようになる、と説明されている。 – エンゲージメント指標のカウント方法 – YouTube ヘルプ
  5. 従来は30秒以上の視聴でカウントされると一般に理解されていた。 – YouTube、再生回数のカウント基準をショート動画と同じに 収益算定への影響はなし
  6. AdSenseのメールでは、業界標準としてIABとMRCの名前が挙げられている。 – Explaining begin-to-render
  7. count-on-downloadは、計測用のアセットを求めるHTTPリクエストをカウンタが受け取って応答した時点で1回と数える方式。 – Explaining count-on-download
  8. 2016年当時、モバイルのディスプレイインプレッションの2割以上がダウンロードの段階にすら到達していなかった、という指摘がある。 – Explaining count-on-download
  9. クリエイティブのファイルがクライアント側で受信され、描画されるか、DOMのいずれかの部分に追加されること、という書き方になっている。 – Explaining begin-to-render
  10. Google アド マネージャーが2017年10月2日、AdSenseがその翌年に移行した。このときもインプレッションの減少を予告しつつ、収益には影響しないと案内されている。 – Explaining count-on-download
  11. MRCがIAB Tech Lab、MMAと共同で改訂版を公開したのが2017年10月31日。ここで Count on Begin to Render が有効なインプレッションの要件になった。 – MRC, Joined by IAB Tech Lab and MMA, Announces Releases of Revised Ad Measurement Guidelines
  12. キャンペーンマネージャー360の移行日は2025年11月6日。MRCの認定を維持するための対応と位置づけられている。 – Explaining begin-to-render
  13. キャンペーンマネージャー360とディスプレイ&ビデオ360の請求対象ディスプレイインプレッションを on-download から begin-to-render へ移す、と書かれている。実施は2027年2月見込み。 – Updates to Google Marketing Platform capabilities – Campaign Manager 360 Help
  14. 画面に映っている必要はない、というのがこの方式の要点。スクロールで一瞬にして通り過ぎた位置でも有効なインプレッションになる。 – Explaining begin-to-render
  15. AdSenseのレポートには、アクティブビューの測定可能率、視認可能率、平均視認可能時間という3つの指標が出る。 – アクティブ ビュー データのレポート表示 – Google AdSense ヘルプ
  16. 242,500ピクセル以上の大きなディスプレイ広告は30%以上が1秒以上、動画広告は50%以上が表示された状態で2秒以上再生された場合に視認可能とされる。 – 視認性とアクティブ ビューの概要 – Google アド マネージャー ヘルプ
  17. YouTubeパートナープログラムの収益は、引き続きエンゲージビューとエンゲージ総再生時間に基づいて計算される、と明記されている。 – エンゲージメント指標のカウント方法 – YouTube ヘルプ
  18. 告知は2025年3月26日。ネイティブ側の定義が3月31日に変わり、YouTube APIへの反映は4月30日だった。 – YouTube changes how Shorts views are counted from March 31
  19. 視聴回数だけを見て評価すると実態とずれる、という注意が出ている。 – 【要注意】YouTubeショート動画の再生回数カウント方法が変更!エンゲージメントビューとの違いを解説
  20. 収益が変わらなければ、分母が小さくなるぶん比率は改善して見える。Googleは変化の幅を数字で示していない。 – AdSense drops unrendered ads from impression counts on February 17, 2027
  21. 変更前のショート動画と比べたいときは、エンゲージメントビューを基準にすればよい。 – YouTubeショートの視聴回数のカウント方法が変更された!変更内容を解説!