【スケアウェア】
スマホの「更新」の警告の次に
「インストール」が出てきたら、それは広告

  • 動画の途中に出てくる「今すぐ更新を」という警告は、たいてい広告枠に出ている広告です。スマホの中身を調べて出しているわけではありません。
  • 見分ける手がかりは、文面ではなく順番。更新をうながされて押した先に青い「インストール」が出てきたら、それは更新ではなくアプリの追加です。
  • 広告を一回押しただけでは何も入りません。インストールを押さずに戻れば、それで終わりです。
  • だから、書いてある内容が読み取れなくても判断できます。

スマホに警告が出て、それから触るのが怖くなってしまった、という相談があります。
画面には赤や青で大きく字が並んでいて、たしかに何かしないといけない雰囲気がある。
ただ、その手のものはたいてい広告です1。

困るのは、文面を読んでも本物かどうか分からないことです。
本物そっくりに作ってあるのだから、読み比べても勝てません。
そこで、文面ではなく画面の出てくる順番で見分ける方法を書きます。

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1. 「更新してください」はスポンサー枠に出ている広告

こういう画面が出てきます。

動画の途中に出てきた偽の更新警告

「これまで何度も、今すぐ更新するようお知らせしてきました」。
「下のボタンをクリックすれば、この問題は数秒で解決します」。
更新すればファイルを開く速度が200%向上し、広告も一切表示されなくなる、とまで書いてあります。

読むところは、この大きな文字ではありません。
画面のいちばん下に、小さく「スポンサー」と書いてあります。
スポンサーは広告のことで、この枠に出ているものは、広告主がお金を払って場所を借りて出しているものです2。

広告なので、あなたのスマホの中身は見ていません。
ニキビのクリームの広告が、見ている人にニキビがあるかどうかと関係なく流れるのと同じで、この「今すぐ更新を」も、誰の画面にも同じ文面で出ています。
その端末を調べた結果ではない。

動画サイトの広告枠は二か所あります。
動画が始まる前に流れるものと、動画の下にずっと出ているものです。
前に流れるほうには、途中で飛ばせないものと、5秒たつと右下にスキップのボタンが出るものがあります3。
飛ばせないほうは6秒や15秒といった短いもので、待っていれば終わります4。
はじめの5秒だけ見てもらって、興味がなければ飛ばしてください、という設計です。

動画の下に出ているほうは消えません。
これは道端の看板と同じで、そこが広告の場所として空けてあるだけです。
消せないから何かおかしい、ということではないので、無視して構いません。

2. 「更新」の次の「インストール」は、更新ではなく追加

さきほどの広告のボタンを押すと、こうなります。

押した先に出てきたGoogle Playのインストール画面

Google Playの画面が開いて、青い「インストール」のボタンが出てきました。
更新の話だったはずが、PDFを開くためのアプリを入れる話に変わっています5。

インストールは、据え付ける、入れる、という意味の言葉です。
更新は、今あるものを新しくすること。
入れると新しくするでは、やっていることがまるで違います。

ここが判断の分かれ目です。
警告や更新をうながされて押した先に「インストール」が出てきたら、それは更新ではなく追加。
話がすり替わっているので、その時点で広告だと決めていい。

英語やアプリ名が読めなくても、この順番だけで分かります。
文面を読み解く必要がないというのが、この見分け方のいいところです。

2.1. 押してしまっても、インストールの手前なら戻れる

広告を一回押した時点では、まだ何も入っていません6。
押すとお店の画面が開くだけです。
だから、間違って更新のボタンを押してしまっても、そこで慌てなくて大丈夫です。

インストールは、後から入れるという意味なので、入れないという選択ができます。
義務ではない。
×で閉じるか、戻るを押せば、それで終わりです。

目印は青いボタンです。
Google Playの画面では、インストールのボタンははっきりした青で、画面の真ん中に横長に置かれています。
これが出てきたら押さない。
そう決めておくと、迷う場面が減ります。

2.2. アプリの更新は、Playストアの中だけで終わる

そもそも、スマホのアプリは自動で更新する仕組みがあります7。
更新が必要なときは、そのアプリ自身が「更新してください」と言うか、Playストアの中に出てくるかのどちらかです。
動画を見ている最中に、関係のない画面が割り込んできて更新をうながす、という出方はしません。

写真の広告はPDFを見るアプリを勧めていますが、PDFはもともとスマホで開けます。
わざわざ足す必要がない。
メールのゴミが溜まっています、ファイルが破損しています、ウイルスに感染しました。
このあたりも同じで、スマホの側から警告が出ること自体、ほとんどありません。

3. スケアウェアは、恐怖と「今すぐ」で判断を急がせる

こういう、嘘の警告で不安にさせて何かを入れさせる手口を、スケアウェア(scareware:脅かすソフト)と呼びます8。
インターネットで人に何かを押しつけようとするとき、使われるのはだいたい二つです。
怖がらせるか、今すぐしないと損をすると急がせるか。

写真の広告は、その両方を重ねてきています。
データが消えるかもしれません、と怖がらせておいて、あと10秒、と時間を切る。
残り時間が減っていく表示や、いま押さないと損をするという書き方も、同じ役割です。

ただ、スマホの中に時限爆弾はありません。
その10秒のあいだにトイレに行っていたら手遅れになる、というような作りになっているものはない。
そもそもスマホの操作で本当に急がないといけない場面は、ほとんどありません。
急ぐ必要がないか、急いだところですでに手遅れかのどちらかです。

焦らされていると気づいたら、それが広告の側のねらいだと思って構いません。

4. 入れてしまうと、アドウェアが常時広告を出すようになる

広告からアプリを入れてしまうと、何が起きるか。
広告を出すためのアプリが増えます9。
こういう、広告を出すことを目的にしたアプリをアドウェア(adware:広告のソフト)と呼びます10。

やっかいなのは、本人が入れたことになっている点です。
入れた覚えがなくても、画面の上では同意して入れた形になっているので、勝手に止まってはくれません。
これまで動画を見るときだけ出ていた広告が、電話をかけている最中にも出るようになります11。
消そうとして押したところにまた広告が出て、という状態になると、外すのにかなり手間がかかる。

五個も十個も入ってしまって、動作が重くなってから相談に来られることもあります。
一つひとつは小さなアプリでも、それぞれが広告を出そうとするので、そのぶん動きが鈍くなる。

4.1. 分からない画面はスクリーンショットを撮って人に見せる

この手の画面は、毎回違うものが出ます。
後から「変な画面が出た」と説明しようとしても再現できないことが多い。
近づくと逃げていくようなところがあります。

そこで、その場で画面を撮っておきます。
Androidのスマホなら、音量の下のボタンと電源のボタンを同時に、短く押す12。
強く長く押すのではなく、軽く同時に押すのがこつです。

撮った画面は、カメラで撮った写真と同じ場所に入ります。
あとはLINEで送るだけ。
身近な詳しい人に見てもらえば、これは広告ですよ、と言ってもらえます。
その一言があるだけで、次に同じ画面が出たときの怖さがかなり減ります。

怖い画面が出たときにいちばん困るのは、判断の材料が何もないことです。
文面を読んでも本物かどうか分からないし、読み込むほど不安になる。
更新の次にインストール、という順番だけ覚えておけば、書いてあることを読まずに済ませられます。
読まなくていい、というのは、けっこう強い。

  1. IPAは、スマホでウェブサイトを見ている最中に出る「ウイルスを検出しました」といった警告を根拠のない広告と説明し、指示に従わずにブラウザのタブを閉じるよう案内しています。 – スマートフォンで偽のセキュリティ警告からアプリのインストールへ誘導する手口に注意
  2. Googleは、広告であることを示すラベルに「広告」または「スポンサーリンク」以外の語を使わないよう定めています。広告主が自由に書ける場所ではないので、表示が毎回同じになります。 – 広告のプレースメントに関するポリシー
  3. スキップ可能なインストリーム広告は、再生が始まって5秒たつと視聴者がスキップできるようになる形式です。 – スキップ可能なインストリーム広告
  4. スキップ不可のインストリーム広告は6秒・15秒・30秒の長さで作られ、6秒までのものはバンパー広告とも呼ばれます。 – スキップ不可のインストリーム広告
  5. この画面のアプリ名の下に出ている「広告を含む」は、アプリ自体が広告を表示することをデベロッパーが申告したという意味のラベルです。 – 審査のためにアプリを準備する
  6. IPAも、偽の警告そのものへの対処は画面を閉じることだと案内しています。慌てて先へ進まなければ、そこで終わります。 – 偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ
  7. Google Playの設定の「アプリの自動更新」で、Wi-Fi接続時にのみ更新する、モバイルデータでも更新する、自動更新しない、から選べます。ヘルプには、Google Playは常にまずWi-Fi接続時に更新を試みるとあります。 – Android でアプリを更新する方法
  8. IPAは、偽の警告画面を実際に表示して閉じる操作を練習できる体験サイトを公開しています。落ち着いているときに一度触っておくと、本番で慌てにくくなります。 – サポート詐欺の「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」を公開
  9. 入るのが無料のアプリとは限りません。IPAには、iPhoneやiPadで自動継続課金の有料アプリを入れさせられたという相談が増えていると報告されています。 – スマートフォンの偽セキュリティ警告から自動継続課金アプリのインストールへ誘導する手口にあらためて注意!
  10. もとは無料ソフトの対価として広告を出すプログラムを指す言葉でしたが、利用者の意図に反して入り込み、不要な広告を繰り返し出すものが増えて、マルウェア扱いされるようになりました。 – アドウェア|サイバーセキュリティ情報局
  11. Google Playのポリシーでは、配信元のアプリの外に表示される広告や、操作の途中で突然出る全画面の広告は認められていません。それでも出るのなら、ポリシーに反したアプリが入っているということです。 – 広告 – Play Console ヘルプ
  12. うまくいかないときは、電源ボタンを数秒間長押ししてから「スクリーンショット」をタップする方法もあります。 – Android デバイスで画面の画像(スクリーンショット)または動画を撮影する