【Kindle】
ファームウェアの更新・修復にパソコンが
必要なとき

  • 電子書籍の端末が「重大な端末エラーE3」を出したまま止まった。ところが設定を開くと「ソフトウェアは最新です」と答える
  • E3はディスクのエラーを指す符号で、案内されている手順も、パソコンにつないでドライブを修復するというもの
  • ファームウェアを手で入れるときは、機種ごとに用意された配布ファイルを使う。別の機種のものは受け付けない
  • 読む機械なのに、直すには別の機械が要る。端末の中だけでは完結していない

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1. 「重大な端末エラーE3」と出るのに、ソフトウェアは「最新です」と答える

電子書籍の端末が動かなくなった、という相談がありました。
鞄に入れて持ち歩いていたら、いつのまにか反応しなくなっていたそうです。

1.1. 端末は動いている。動いていないのは更新のほう

電源を入れると、黒い枠の中に「重大な端末エラーE3」と出ます1。
閉じるを押すとホーム画面には戻るので、何もできないわけではありません。

順に触っていくと、どれも生きていました。
再起動は通ります。
Wi-Fiのアンテナは四本立って、自宅のネットワークにつながります。
充電もどんどん進んで、電池は98%。
画面のQRコードを読み取ってサポートセンターに電話までできています。
壊れた機械の顔をしていない。

そのサポートセンターの答えが「パソコンにつながないと復活しないですよ」でした2。
ただ、相談者はパソコンを持っていません。
それで話がそこで止まってしまった、というのが相談の入口です。

重大な端末エラーE3

では本体の中身が古いのかと思って、設定の端末オプションからソフトウェアのアップデートを開きました。
返ってきたのが「このKindleのソフトウェアは最新です(バージョン5.19.2)」。
更新して直すという道が、入口で閉じたことになります。

ソフトウェアは最新です

1.2. E3はディスクのエラーを指す符号だった

エラーの画面には案内先のURLが書いてあります。
kindlediskerror、つまりディスクのエラーです。
このとき私は読み流していて、あとから開いて意味がつながりました。

書いてある手順はこうです。
2024年より前に出た機種なら、パソコンにつないでドライブを修復する。
Windowsなら「ドライブを修復しますか」と聞かれるので「はい」を押す3。
Macならディスクユーティリティを開いてFirst Aidをかける4。
それで直らなければ工場出荷時にリセットする5。

サポートの「パソコンにつながないと」は、おそらくこの話だったのだと思います。
電話ではそこまで説明されず、パソコンをご用意くださいで終わっていました。
私のほうも、その場ではファームウェアを入れ直せという意味だと受け取っていました。

2. ファームウェアは端末の中身で、ふだんはネット越しに入れ替わる

ファームウェア(firmware)は、その機械の中で動いているソフト一式のことです。
電源を入れた瞬間から画面を描いているのがこれで、アプリのように後から選んで入れるものではありません。

2.1. 入れ替えの途中で止まると、端末だけでは戻れない

いまはこれが、ネット越しに定期的に降ってきます。
プリンターもWi-Fiルーターもテレビも同じで、つないでおけば勝手に新しくなる。
利用者は何もしません。

何もしない代わりに、途中で転ぶと何もできません。
受け取っている最中に電波が切れる、あるいは電池が落ちる。
入れ替え作業が半端なところで止まって、次に進めない状態が残ります6。

厄介なのは、その状態を直す手立ても同じ仕組みの中にあることです。
新しいものを取りに行く係がつまずいているので、自分で自分を起こせない。
階段の途中に石が置いてあって、そこから先に足が出ない。

2.2. 「最新」は機種の系列ごとに違う

その場でネットを調べて、5.19.6というもっと先の版があることを見つけました。
実際、これは2026年8月4日に出ています7。
最新があるのに端末が取りに行けていない、という筋で考えていたわけです。

ところが、これは現行の機種に向けて配られたものでした。
ひとつ前の世代のPaperwhiteと無印のKindleは、5.19.2のまま据え置かれています8。

端末情報を開くと、端末のタイプはKindle Paperwhite Signature Edition(第11世代)、ファームウェアはKindle 5.19.2。
端末の表示は正しかったことになります。
間違っていたのは、機種を見ずに版番号だけを見比べた私のほうでした。

端末情報とファームウェアバージョン

3. パソコンにつなぐと、KindleはUSBドライブになる

USBケーブルでパソコンにつなぐと、この端末は一台の機械ではなく、ひとつのドライブとして見えます。
USBメモリを挿したときと同じです。
端末側の画面も、読書の画面からUSBドライブモードという表示に切り替わります。

USBドライブモード

3.1. 更新ファイルはドライブの直下に置く

手で入れる手順そのものは、拍子抜けするほど単純です。
Amazonのソフトウェア更新のページから、自分の機種を選んでファイルを落とす9。
今回は388メガバイトありました。

それをKindleのドライブの直下に置きます。
documentsのようなフォルダの中ではなく、開いてすぐのところ10。
安全に取り外してケーブルを抜いてから、設定のメニューにある「Kindleをアップデート」を押します。

この「Kindleをアップデート」が灰色で押せないことがあります11。
そのときはファイルの置き場所が違うか、機種が合っていないか、転送が途中で終わっているかのどれかです。
押せるかどうかが、ファイルが受け付けられたかどうかの返事になっている。

3.2. つないだだけで、普通に起動した

ところが、ファイルを置く前に妙なことが起きました。
ケーブルを挿して、外して、電源を入れ直したら、普通にホーム画面が出たのです。
ライブラリから新しい本も取れました。

E3がディスクのエラーだったことを思うと、つないだ時点でパソコン側がドライブを点検して直した、という筋は通ります。
ただ、そのとき修復のメッセージが出たかどうかを私は見ていません。
つないだから直ったのか、たまたま直ったのかは、確かめられていないままです12。

それで済ませておけばよかったのですが、念のため最新にしておきましょう、と先に進みました。
ここからが回り道です。

4. 同じ「第11世代」でも、KindleとKindle Paperwhiteは別のファイル

落としたファイルをドライブに置いて、アップデートを実行しました。
出てきたのは、また別のエラーです。

4.1. 無効なアップデートファイルが読み込まれています

画面にはこう出ました。
「お客様の端末には無効なアップデートファイルが読み込まれています」。

無効なアップデートファイル

更新ファイルは機種に紐づいていて、別の機種のものは中身を見る前に弾かれます13。
端末の側に選ぶ余地はありません。
だから、押せたのに弾かれたということは、ファイルの取り違えです。

取り違えたのは「第11世代」という言葉でした。
Kindle Paperwhiteの第11世代は2021年のPaperwhiteで、Paperwhiteとしては5代目にあたります。
無印のKindleの第11世代は2022年のほうで、画面は6.8インチと6インチ、重さも大きさも別物です14。
配布されるファイルも、当然そこで分かれます。

4.2. 使われなかったファイルは、あとで見ると消えていた

弾かれたファイルはドライブに残っているものだと思っていました。
入れたのはこちらなので、要らないなら自分で消すつもりでいたわけです。

あとでストレージを覗いたら、ありませんでした。
更新を試したあとに端末の側が片付けているように見えますが、そう書かれた説明は見つけられていません15。
388メガバイトが居座らずに済んだのは助かりました。

電子書籍の端末は、買った本が中に入っているように見えて、実際は読む権利を借りている窓口です16。
だから工場出荷時に戻しても本は戻ってきますし、それはこの機械の弱点ではなく作りのほうです。
その代わり、窓口が壊れたときに窓口だけでは直せない。
パソコンを持たない人がこの手順にたどり着けるのかは、まだ考えています。

  1. E3は2024年より前に出たKindle(Kindle Scribeを除く)に出る符号で、ディスクのエラーを指します。2024年以降の機種とScribeでは同じ症状がE2になり、そちらにはドライブ修復の道がなく、いきなり工場出荷時リセットの案内になります。 – How to Fix Kindle Disk Error Code E3 and Code E2
  2. Amazonはディスクエラー専用のトラブルシューティングのページを設けていて、案内の先頭がパソコンにつないでのドライブ修復になっています。 – Kindle Disk Error Troubleshooting
  3. Windowsでドライブを直しているのはchkdskで、パラメーターを付けずに実行すると状態を表示するだけ、/fを付けたときにはじめて論理的な誤りを修正します。 – chkdsk | Microsoft Learn
  4. First Aidが直すのは、フォーマットとディレクトリ構造にまつわる誤りです。装置の中のボリュームとコンテナに一つずつかけてから、装置そのものにかけます。 – How to repair a Mac storage device with Disk Utility
  5. リセットは設定の端末オプションから行い、端末に入っているものは消えます。同期済みでないメモやハイライトは戻りません。 – How to Fix Kindle Disk Error Code E3 and Code E2
  6. 中断した更新を端末がどう扱うのかについて、Amazonは説明を公開していません。案内されているのは、パソコンから手で入れ直す手順のほうだけです。 – How to Update Your Kindle’s Software to the Latest Version
  7. 5.19.6は2026年8月4日の公開で、現行のKindleとKindle Colorsoft、すべてのKindle Scribeに配られました。リリースノートが出ていないため、何が変わったのかは公表されていません。 – Kindle Update 5.19.6 Released – What Changes Does it Contain?
  8. 5.19.6の配布対象から、前世代のKindle Paperwhiteと無印のKindleは外れていて、5.19.2のままだと報じられています。 – Kindle Update 5.19.6 Released – What Changes Does it Contain?
  9. 配布先は機種ごとに分かれていて、たとえば第11世代のKindleと第12世代のKindle Paperwhiteでは別のファイルになります。初期の世代には、同じ機種でもシリアル番号によってファイルが分かれるものがあります。 – KindleModding – Manually Downloading Firmware Update Files
  10. 手順は、ケーブルでつないでKindleのドライブ本体にファイルをドラッグし、安全に取り外してから、設定の右上の三点メニューで「Kindleをアップデート」を押す、という流れです。 – How to Update Your Kindle’s Software to the Latest Version
  11. 灰色のままなら、ファイルが機種に合っていないか、転送が最後まで終わっていないかのどちらかだと説明されています。 – How to Update Your Kindle’s Software to the Latest Version
  12. Amazonの案内はWindowsで修復の確認が出る前提で書かれていて、確認なしに修復が走る場合があるかどうかは、公開されている資料では確かめられませんでした。 – Kindle Disk Error Troubleshooting
  13. 更新ファイルは機種に固定されていて、ある機種向けのファイルを別の機種に置くと、このエラーで止まります。 – Firmware Upgrade Error – MobileRead Forums
  14. Paperwhiteの第11世代は2021年、無印のKindleの第11世代は2022年。名前が重なるせいで同じものだと思われやすく、画面の大きさが違うので保護ケースも互換しません。 – Kindle Paperwhite 11th vs Kindle 11th Gen
  15. 更新を試したあとに.binが端末側で消えるという記載は、Amazonの案内にも有志がまとめた手引きにも見つけられませんでした。 – KindleModding – Manually Downloading Firmware Update Files
  16. Kindleのコンテンツは販売ではなく利用許諾で、カリフォルニア州のAB 2426を受けて、購入ボタンのそばの文言も「ライセンスを購入する」という言い方に変わりました。 – Amazon makes it clear that Kindle Books are Licensed and not Owned