【Outlook】
新しいパソコンでも同じメール環境にする
(POP設定と配信先PST)

  • Outlook の「アカウント設定」と、メールの中身が入った「PSTファイル」は別で、PSTファイルを持っていっても、アカウントの設定はついてきません。
  • メール・連絡先・予定表はパスワードが分からなくてもPSTファイルごと移せますが、新しいパソコンで送受信を続けるには、プロバイダーでパスワードを再設定する必要があります。
  • POPなら、旧パソコンで使っていたPSTファイルをインポートではなく、そのまま新しい Outlook の「新しいメッセージの配信先」にする設定が有効です。フォルダーの表示や宛先の候補も、PSTファイルの中にあるものは一緒についてきます。
  • ただし、署名や仕分けルールを使っている場合は、PSTファイルには含まれないので、別に設定する必要があります。

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1. Outlook の「アカウント設定」と「PSTファイル」は、別々に移る

「長年使ってきたパソコンで、Outlook 2013 にプロバイダーのメールを設定していました。Windows 11 のパソコンに買い替えたので、そちらの「Outlook (classic)」でも同じようにメールを使いたい」という相談がありました。

Outlook 2013 は、すでにサポートが終わっていて1、パソコンの買い替えをきっかけに、Outlook も新しい版へ移る人は多いと思います。
そのとき重要になるのは、メールアカウントのパスワードです。

1.1. パスワードが分からなくても、メールの中身は移せる

アカウント設定とPSTファイルは別々に移る。送受信を続けるにはパスワードの再設定が要る

Outlook が持っている情報は、大きく2つに分かれます。

  • 一つは、メールサーバーの名前やユーザー名、パスワードといった「アカウント設定」。
  • もう一つは、受信したメールや送信済みのメール、連絡先、予定表といった中身です。

従来のプロバイダメールを利用している場合は、「POP」の設定であることが多く、この場合、中身のほうは「Outlook データファイル」にまとめて入っています。
拡張子が .pst なので、PSTファイル(Personal Storage Table:個人用ストレージテーブル)とも呼ばれます2。
PSTファイルは、パソコンの中にある普通のファイルで、旧パソコンからコピーして新しいパソコンに置けば、パスワードを知らなくても開けます(特に、エクスポート時にパスワード保護をしていなければ)。

一方、アカウント設定はPSTファイルには入っていません。
Microsoft のサポートにも、PSTファイルを別のパソコンに移動してもメールアカウントの設定は転送されない、と書かれています3。
新しいパソコンで送受信を続けるには、どうしてもパスワードが要ります。

1.2. POP と IMAP で、メールのありかが違う

ここで重要なのが、Outlookに登録してあるメールアカウントの種類です。

  • POP(Post Office Protocol:ポスト・オフィス・プロトコル)は、サーバーに届いたメールをパソコンに取り込み、手元で保存する方式です。
    サーバーからは一定期間で消えていく設定が多いので、古いメールの本体は旧パソコンのPSTファイルにしか残っていません。
    PSTファイルをなくすと、もう戻らないわけです。
  • IMAP(Internet Message Access Protocol:インターネット・メッセージ・アクセス・プロトコル)は、メールをサーバーに置いたまま見る方式。
    こちらは新しいパソコンでアカウントを設定すれば、サーバーから同じメールが同期されてきます。

つまり、IMAPの場合は、データ移行を気にする必要はなく、メールアカウントの設定(ID・パスワードなど)をするだけで、同じ環境で利用できます。
ただし、従来からのプロバイダーのメールは、POPで設定されていることが多いと思います。
ここからは、POPの場合の話です。

2. 旧パソコンで、アカウントの種類とPSTファイルの場所を控える

旧パソコンの Outlook が動くうちに、確かめておくことが2つあります。
アカウントの設定の中身と、PSTファイルの置き場所です。

旧パソコンで確かめるのは、アカウントの種類とPSTファイルの場所の2つ

2.1. 「アカウント設定」の「電子メール」と「データファイル」

Outlook 2013 で「ファイル」から「情報」、「アカウント設定」、もう一度「アカウント設定」と進みます。
「電子メール」タブの一覧で、「種類」の欄に「POP/SMTP」と出ていればPOPです。

アカウントをダブルクリックすると、設定の中身が見られます。
「名前」「電子メールアドレス」「受信メールサーバー」「送信メールサーバー」「アカウント名」を書き写しておきます。
パスワードの欄は伏せ字なので、ここからは読めません。
「詳細設定」を押すと、ポート番号や暗号化の種類、「サーバーにメッセージのコピーを置く」の設定も見られるので、これも控えます。

隣の「データファイル」タブには、Outlook が使っているPSTファイルの一覧が出ます。
ファイルを選んで「ファイルの場所を開く」を押すと、エクスプローラーでその場所が開きます。
Outlook 2013 のPOPでは、「ドキュメント」の中の「Outlook ファイル」フォルダーに、メールアドレスの名前で置かれていることが多いです。
「既定」の印が付いているファイルがどれかも、見ておきます。

2.2. パスワードの再設定は、PSTファイルを取り出してから

メールのパスワードは、プロバイダーの会員ページで再発行や変更ができることがほとんどです。
ただ、ここで順番を間違えると困ったことになります。
パスワードを変えた時点で、旧パソコンの Outlook はサーバーにつながらなくなるからです。

先に、旧パソコンで最後の送受信を済ませます。
次に Outlook を閉じて、PSTファイルをUSBメモリーなどにコピーします。
Outlook が開いたままだとファイルが使用中になるので、完全に終了していることを確かめてからにします。
パスワードの再設定は、そのあとです。

新しいパソコンに切り替えたら、旧パソコンの Outlook は起動しないようにしておきます。
POPでは、先に受信したほうのパソコンにメールが入ります。
2台で受信を続けると、メールが両方に散らばってしまうことがあります。

3. 新しい Outlook で、旧PSTファイルを「新しいメッセージの配信先」にする

新しいパソコンでは、「Outlook (classic)」を使います4。
Windows 11 に最初から入っている「新しい Outlook」は、PSTファイルへの対応が一部にとどまっているからです5。

3.1. インポートではなく、PSTファイルそのものを使う

PSTファイルを移すには、通常 Outlookの「インポート」機能を使うことが多いです。
これは、まず新しい Outlook で空のPSTファイルを作り、それから旧PSTファイルの中身をそこへ読み込む、という手順を踏みます。

ただし、このインポートでは中身のコピーで、メール、連絡先、予定表が移りますが、フォルダーの表示の設定、古いアイテムの整理の設定、仕分けルール、受信拒否リストは移りません6。たとえば、宛先を打つと候補が出てくる「オートコンプリート」も、そのひとつです。
Outlook 2010 以降は、この候補の一覧を、メールを保存しているデータファイルの中に隠しアイテムとして持っています7。

そこで、「前と同じ環境」を目指すなら、インポートではなく、旧パソコンで実際に使っていたPSTファイルをそのまま使う方法もあります。

POPで追加し、旧PSTファイルを追加し、「フォルダーの変更」で受信トレイを指定する

3.2. 旧PSTファイルは、OneDrive の外に置く

コピーしてきたPSTファイルを、どこに置くか。
これが、新しいパソコンでは意外な落とし穴になります。

というのも、Windows 11 のパソコンは、「ドキュメント」フォルダーが OneDrive にバックアップされる設定になっていることがよくあるからです。
Outlook の既定の置き場所である「ドキュメント」の中の「Outlook ファイル」も、そのまま OneDrive の中に入ってしまいます。
ただ、PSTファイルは大きく、Outlook が開いているあいだはずっと書き換わるので、同期が詰まる原因になります8。

Cドライブの直下にフォルダーを作り、旧PSTファイルをそこへ置いておくのが無難です。Microsoft のサポートでは、例として C:\My Outlook Files のような、OneDrive の外のフォルダーが挙げられています。

3.3. 「フォルダーの変更」で、配信先を旧PSTファイルに切り替える

Outlook (classic) でアカウントを追加すると、そのアカウント用の新しいPSTファイルが自動で作られます9。
このままだと、新しいメールは空のPSTファイルに届き、旧PSTファイルは「過去のメールの倉庫」になってしまいます。
そこで、届け先を旧PSTファイルに付け替える設定が必要になります。

まず、アカウントを追加します。
メールアドレスを入れたあと、自動の設定に任せるとIMAPで設定されることがあるので、「詳細オプション」の「自分で自分のアカウントを手動で設定」にチェックを入れ、「POP」を選びます。
サーバー名やポート番号は、旧パソコンで控えたとおりに入れます。
パスワードは、プロバイダーで再設定したものです。
ここまでは、インポートの手順でも共通です。

次に、旧PSTファイルを追加します。
「ファイル」から「情報」、「アカウント設定」、「アカウント設定」と進み、「データファイル」タブの「追加」で、コピーしてきた旧PSTファイルを選びます。
旧パソコンでそのファイルに「既定」の印が付いていたなら、選んで「既定に設定」を押します。

最後に、配信先を切り替えます。
同じ画面の「電子メール」タブでPOPのアカウントを選ぶと、下のほうに新しいメッセージの配信先が表示されています。
「フォルダーの変更」を押して、旧PSTファイルの「受信トレイ」を選びます10。
Outlook を再起動すると、旧パソコンと同じフォルダーの並びに、新しいメールが届くようになります。

アカウントの追加で自動で作られた空のPSTファイルは、「データファイル」タブで選んで「削除」を押すと、Outlook の一覧から外せます。
ちなみに、ここでの「削除」は一覧から外すだけで、ファイルそのものは残っています。

旧パソコンで「サーバーにメッセージのコピーを置く」を使っていた場合は、新しいパソコンでも同じ設定にします。
サーバーに残っていたメールが、新しいパソコンでもう一度届くことがあります。

4. 署名や仕分けルールは、PSTファイルの外にある

ここまでで、メールと連絡先、予定表、フォルダーの並びは旧パソコンと同じになります。
ただ、Outlook の設定の中には、PSTファイルに入っていないものもあります。

署名と仕分けルールはPSTファイルの外にあるので、旧パソコンが動くうちに回収する

Microsoft のサポートが、別のパソコンに移せるものとして挙げているのは、次のファイルです11。

署名                    %APPDATA%\Microsoft\Signatures
ナビゲーションウィンドウ  %APPDATA%\Microsoft\Outlook\(プロファイル名).xml
送受信の設定            %APPDATA%\Microsoft\Outlook\(名前).srs
テンプレート            %APPDATA%\Microsoft\Templates\(名前).oft
ユーザー辞書            %APPDATA%\Microsoft\UProof
印刷スタイル            %APPDATA%\Microsoft\Outlook\OutlprntCode language: CSS (css)

%APPDATA% は、エクスプローラーのアドレス欄にそのまま打ち込むと開けます。
多くの人にとって、いちばん困るのは署名だと思います。
「Signatures」フォルダーを丸ごと新しいパソコンの同じ場所へコピーすれば、「署名とひな形」の画面で選べるようになります。

4.1. 仕分けルールは、エクスポートして持っていく

仕分けルールは、ファイルとして置かれているわけではありません。
旧パソコンの Outlook で「ファイル」から「仕分けルールと通知の管理」を開き、「オプション」の「仕分けルールのエクスポート」で書き出します。
拡張子が .rwz のファイルになるので、新しいパソコンの同じ画面の「仕分けルールのインポート」で読み込みます12。

どれも、旧パソコンの Outlook が起動できるうちでないと取り出しにくいものです。
PSTファイルと一緒に、同じUSBメモリーへまとめておくと、新しいパソコンで迷いません。

新しいパソコンで何日か使ってみて、メールがちゃんと届き、過去のメールも開けることを確かめるまでは、旧パソコンのPSTファイルは消さずに残しておきます。
コピーを1つ残しておけば、設定をやり直すことになっても、もう一度同じ手順から始められます。

  1. Office 2013 のサポートは2023年4月11日に終了し、それ以降はセキュリティ更新プログラムが提供されていません。 – Office 2013 の 1 年以内のサポート終了 | Microsoft Learn
  2. POP または IMAP のアカウントでは、Outlook の情報はすべて Outlook データファイル(.pst)に保存され、メールのほか連絡先、予定、仕事、メモなども入る、と説明されています。 – Outlook データ ファイル (.pst) でアイテムを開いて見つける | Microsoft サポート
  3. POP アカウントのメール、予定表、連絡先、タスクは .pst ファイルに保存されていて、新しいコンピューターに移動できます。ただし、メールアカウントの設定は転送されないので、新しいコンピューターでセットアップし直す必要があります。 – Outlook データ ファイルを見つけて別のコンピューターに転送する | Microsoft サポート
  4. 2026年1月13日の Windows の更新のあと、POP アカウントや PST ファイルを含む Outlook (classic) のプロファイルで、Outlook が応答しなくなる不具合が報告されていました。すでに修正されていて、Windows Update を最後まで当てれば解消します。 – POP アカウントと PST を含む従来の Outlook プロファイルは、2026 年 1 月 13 日の Windows 更新プログラムの後にハングします | Microsoft サポート
  5. 新しい Outlook の .pst ファイルへの対応は「部分的に利用可能」で、インポートやエクスポートはできるものの、従来の Outlook の機能の一部は使えない、とされています。POP アカウントはどちらでも使えます。 – 新しい Outlook と従来の Outlook の機能の比較 | Microsoft サポート
  6. フォルダーのプロパティ(ビュー、アクセス許可、古いアイテムの整理設定)、メッセージルール、受信拒否リストなどのメタデータはエクスポートされず、インポートもされない、と明記されています。 – Outlook .pst ファイルからメール、連絡先、予定表をインポートする | Microsoft サポート
  7. Outlook 2007 までは候補の一覧を .nk2 ファイルに保存していましたが、Outlook 2010 以降は既定のデータファイルの中に隠しメッセージとして保存しています。旧PSTファイルを配信先にしたときに候補がそのまま出てくるかは、実機では確かめていません。 – The Outlook AutoComplete list | Microsoft Learn
  8. PSTファイルが大きくなると OneDrive の同期が遅くなり、「変更を処理しています」や「ファイルは使用中です」と表示されることがある、として、OneDrive の外(たとえば C:\My Outlook Files)へ移す手順が案内されています。 – How to remove an Outlook .pst data file from OneDrive | Microsoft Support
  9. Outlook 2010 から、POP3 アカウントを追加すると、既定で新しい Outlook データファイルが作られるようになりました。 – New PST is created by default when adding new POP3 account | Microsoft Learn
  10. 既存のアカウントが使う Outlook データファイルを変えるには、「アカウント設定」の「電子メール」タブでアカウントを選び、「フォルダーの変更」から、新しいメールを配信したい .pst ファイルを選ぶ、という手順が案内されています。 – New PST is created by default when adding new POP3 account | Microsoft Learn
  11. 署名、ナビゲーションウィンドウの設定、送受信の設定、テンプレート、ユーザー辞書、印刷スタイルについて、それぞれの保存場所が一覧になっています。 – Outlook データ ファイルを見つけて別のコンピューターに転送する | Microsoft サポート
  12. 仕分けルールをエクスポートすると .rwz 拡張子のファイルに保存され、このファイルは従来の Outlook の中でだけ開いて使えます。インポートしたルールは既存のルールに追加されます。 – クラシック Outlook で一連のルールをインポートまたはエクスポートする | Microsoft サポート