iPhoneを使っていたら、アップデートの通知が来ていました。



2025年5月13日、AppleがiOS 18.5を正式にリリースしました1。このアップデートでは、iPhone 13シリーズでの衛星通信対応という大きな機能拡張に加え、33件のセキュリティ問題の修正が行われています2。今回は大きな新機能というより、既存機能の改良とセキュリティ強化に重点を置いた安定性重視のアップデートです。
1. アップデート時間と手順
iPhone XS以降のすべてのモデルが対象です。iPad向けにもiPadOS 18.5が同時にリリースされています。
- 事前準備:Wi-Fi接続とバッテリー残量の確認
- 設定アプリ → 一般 → ソフトウェアアップデート
- 今すぐアップデートをタップ
- パスコード入力後、自動的に再起動
アップデート中は画面に「アップデートを検証中…」「インストール中…」と表示され、完了すると通知が届きます。
実際にアップデートを行った結果、インストールには約7分程度かかりました。


2. 主要な新機能

2.1. 子どものスクリーンタイム解除の通知機能
子どもがスクリーンタイムのパスコードを使用して制限を解除した際、親・保護者に自動的に通知が届く機能が追加されました3。これにより、家族でのデジタル機器利用をより適切に管理できるようになります。
これまで、保護者が子どものiPhone利用時間を制限していても、いつの間にかパスコードを解除してしまっている、ということがありました。今後は、通知によってすぐに保護者が気づけるようになります。
2.2. iPhone 13シリーズが衛星通信に対応
最も注目すべき変更は、iPhone 13シリーズ(全モデル)で通信キャリア提供の衛星通信機能が利用可能になったことです4。これまでiPhone 14以降でしか使えなかった機能が、古いモデルにも拡張されました。
衛星通信機能とは、山間部や離島、災害時など携帯電話の電波が届かない場所でも、宇宙にある通信衛星を経由してメッセージの送受信ができる機能です5。通常の携帯電話ネットワークやWi-Fiが使えない状況でも、空の見える場所であれば衛星とiPhoneが直接通信を行います。
具体的には、以下のような場面で威力を発揮します:
- 登山やキャンプ中の緊急連絡:遭難時にSOSメッセージを送信
- 自然災害時の安否確認:地震や台風で基地局が停止した際の連絡手段
- 離島や山間部での日常利用:携帯電話圏外エリアでの家族との連絡
この機能により、iPhone 13ユーザーも緊急時の安全確保において、新しい機種と同等の保護を受けられるようになりました。機種による格差を解消する重要な改善といえます。
2.3. 新しい「プライドハーモニー」壁紙
LGBTQ+プライド月間を記念した動的壁紙「プライドハーモニー」が追加されました。デバイスをロック解除するたびに異なる虹色のストライプが表示される特別なデザインです。
2.4. その他の改善された不具合
- 他社製デバイスのApple TVアプリで「iPhoneで購入」機能が利用可能に
- Apple Vision Proアプリの黒画面表示問題を修正
- FaceTimeミュート機能:ミュートしても音声が消音にならない場合がある問題6
- メール通知音:iOS 18.4で多数報告されていた通知音が鳴らない問題が解決7
- iPhone起動時の重い動作:iOS 18.4で報告されていた起動時のパフォーマンス問題が改善
3. 重要だが定期的なセキュリティメンテナンス
iOS 18.5では、CVE番号ベースで33件の脆弱性が修正されました8。修正された主な問題を分析すると:
ただし、今回のiOS 18.5は件数は多いものの、大部分が「悪用の可能性がある」レベルで、実際の攻撃での悪用報告はほとんどありません。例えば、4月のiOS 18.4.1では、わずか2件の脆弱性修正でしたが、既に実際の攻撃で悪用されていた極めて深刻なゼロデイ脆弱性でした9。
つまり、iOS 18.5は定期的なセキュリティメンテナンスの範疇で、緊急性の高いものではないと評価できます。
3.1. iCloudフォルダの認証チェック漏れの修正
- iCloud Document Sharing:攻撃者が認証なしでiCloudフォルダ共有を有効にできる問題
システムの「認証チェック機能」そのものに穴があったため、正規の手続きを踏まずに共有設定を操作できてしまいました。この攻撃では、ユーザーのパスワードを盗む必要がありません。
犯行手口の詳細: この脆弱性は「認証チェックの不備」が原因で発生していました10。本来は本人だけがアクセスできるはずのiCloudフォルダ(書類、写真、動画など)を、悪意のある第三者が勝手に「共有オン」の状態にして、中身を盗み見ることができてしまう問題でした。
通常のiCloud共有の仕組みは以下の通りです:
- 正常な共有手順:
- ユーザーがフォルダを選択
- パスワードやFace IDで本人確認
- 共有相手を指定してリンクを送信
- 脆弱性を悪用した攻撃手順:
- 攻撃者が何らかの方法でユーザーのApple IDを特定
- 特別に細工したプログラムやアプリを使用
- 本人確認を飛び越えて直接iCloudの共有設定を変更
- ユーザーに気づかれることなく共有リンクを取得
特に危険だったのは、攻撃を受けてもユーザーに全く気づかれない可能性が高いことです。通知も来ず、設定画面を詳しく確認しない限り、共有状態になっていることがわからないケースが多かったと考えられます。
想定されるリスク:
- 個人の写真や動画が知らない間に他人に見られる
- 仕事の重要書類が外部に漏洩する
- 家族の個人情報が第三者の手に渡る
- 本人は共有した覚えがないのに、ファイルが流出
3.2. iPhone 16eの通信傍受の修正
iPhone 16e特有の問題で、悪意のある技術者がネットワーク設備を悪用して、iPhone 16eユーザーの通信内容を盗聴できてしまう脆弱性でした。11
例えば、iPhone 16eのみに影響する限定的な問題でしたが、カフェや空港の公衆Wi-Fi、企業ネットワークなどで、ネットワーク管理者が悪意を持った場合に特に危険でした。
この脆弱性の具体的リスク:
- メッセージのやり取りが第三者に読まれる
- 通話内容が盗聴される可能性
- インターネット閲覧履歴が筒抜けになる
- アプリの利用状況が監視される
3.3. Safari/WebKit関連(10件)
悪意のあるWebサイトを開くだけで攻撃される可能性があった複数の脆弱性が修正されています12。
3.4. メディアファイル処理の改善
画像や動画ファイルを開くだけでアプリがクラッシュしたり、メモリが破損したりする問題が解決されました13。
4. 報告されている不具合と注意点
4.1. 一部で報告されている問題
- クイックペイが使用できない:ID決済は正常だが、クイックペイのみ不具合
- アップデート直後のバッテリー消費増加:システム最適化のため一時的な現象
- 端末の発熱:バックグラウンド処理による一時的なもの
4.2. 対処方法
バッテリー消費や発熱は、通常24〜48時間で正常化します14。アップデート後は新しいOSがバックグラウンドで様々な処理を行うため、この期間は様子を見ることをお勧めします。
5. iOS 18シリーズ全体での位置づけ
iOS 18は段階的に大きな変化を遂げてきました:
5.1. iOS 18.0〜18.1:カスタマイズ革命
- ホーム画面の自由配置15
- アプリアイコンの色変更
- コントロールセンターの大幅カスタマイズ
5.2. iOS 18.2〜18.4:AI統合の時代
- Apple Intelligence(日本語対応)16
- 作文ツールや要約機能
- ChatGPT統合
5.3. iOS 18.5:安定性と普及の重視
- 既存機能の改良と拡張
- セキュリティ強化
- 古い機種への機能提供
iOS 18シリーズは、個人化とAI統合という大きなテーマから、安定性と安全性の確保にフェーズが移行しています。年内に発表予定のiOS 19に向けた最終調整段階と位置づけられます。
6. まとめ:通常の定期アップデートとして推奨
iOS 18.5は、iPhone 13の衛星通信対応という注目機能がある一方で、全体としては通常の定期アップデートの範疇です。緊急性の高いセキュリティ問題はなく、安心してアップデートできる内容となっています。
特にiPhone 13ユーザーにとっては、安全機能の向上という大きなメリットがあります。また、家族でiPhoneを使用している場合は、スクリーンタイム機能の改善も便利でしょう。
- 2025年5月13日リリース – iOS 18.5およびiPadOS 18.5のセキュリティコンテンツについて
- CVE番号ベースで33件の脆弱性を修正 – Apple、iOS 18.5とiPadOS 18.5で多数の深刻な脆弱性を修正
- スクリーンタイム機能の改善について – iPhoneに「iOS 18.5」登場 スクリーンタイム機能の通知やバグ修正など
- iPhone 13シリーズで衛星通信機能に対応 – 新壁紙やバグ修正、iPhone 13の衛星通信機能に対応したiOS 18.5が配信開始
- 衛星通信の仕組みと利用場面について – iOS 18.5は iPhone 13シリーズ(すべてのモデル)でキャリアが提供する衛星サービスをサポートする機能を追加
- FaceTime通話中のマイクミュート機能の不具合 – iOS 18.5およびiPadOS 18.5のセキュリティコンテンツについて
- iOS 18.4からのメール通知音問題が解決 – 【iOS18.5】アップデート内容と変更点の詳細、不具合や評判について | SBAPP
- 33件の脆弱性を修正 – 【セキュリティ ニュース】Apple、「iOS/iPadOS 18.5」で30件以上の脆弱性へ対応
- iOS 18.4.1では2件のゼロデイ脆弱性を修正、実際の攻撃で悪用済み – 「iOS 18.4.1」「iPadOS 18.4.1」が公開 ~2件のゼロデイ脆弱性に対処、すぐに更新を
- 追加のエンタイトルメントチェックを設けることで解決 – iOS 18.5およびiPadOS 18.5のセキュリティコンテンツについて
- iPhone 16eの通信傍受脆弱性(CVE-2025-31214)を修正 – 「iPhone 16e」に通信傍受の脆弱性、iOS 18.5で解消
- WebKit関連で10件の脆弱性を修正 – Apple、iOS 18.5とiPadOS 18.5で多数の深刻な脆弱性を修正
- AppleJPEG、CoreMedia、ImageIOなどメディア処理関連の脆弱性を修正 – iOS 18.5およびiPadOS 18.5のセキュリティコンテンツについて
- アップデート後のバッテリー最適化について – 注意喚起!iOS 18.5に深刻な不具合か?ユーザー報告と対策
- iOS 18のカスタマイズ機能について – iOS18がきた!「iPhoneの印象を変えられる新機能5選
- iOS 18.4でApple Intelligenceが日本語対応 – iOS 18.4で追加された機能まとめ。本日、iPhoneがもっと賢くなりました