iPhoneの「+メッセージ」は、
Android版と同じ名前で異なる設計

  • iPhoneとAndroidの「+メッセージ」は同名でも設計が異なり、AndroidではSMSとRCSを統合するアプリとして動くが、iPhoneではRCS専用アプリとして動く。
  • AndroidはSMS受信APIをサードパーティに開放しており、+メッセージをデフォルトSMSアプリに設定すればSMSとRCSを一元管理できる。
  • iOSはSMS処理をシステム内部で完結させていたため、+メッセージはSMSを扱えず、SMSは標準の「メッセージ」アプリが担う。
  • AppleはiOS 26でSMS/MMS/RCSに使うアプリを選択可能にしたため、将来的にiPhoneの+メッセージがSMSに対応する可能性がある。

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1. iPhoneの「+メッセージ」はSMSが使えない

iPhoneの中に「+メッセージ」アプリが入っているとき、SMSはどのアプリに届くのでしょうか?
Androidスマートフォンのように「+メッセージ」アプリなのか、それとも標準の「メッセージ」アプリなのでしょうか?

ドコモ・au・ソフトバンクが共同提供する「+メッセージ」は、AndroidスマートフォンとiPhoneの両方向けに公開されているアプリです。
ただし、同じアプリ名ですが、iOSとAndroidでは内部の設計が異なります。

iPhoneの「+メッセージ」はSMSが使えない Android SMS + RCS 同一アプリで統合 設計が 異なる iPhone RCSのみ SMSは「メッセージ」へ iOSはSMS APIを外部アプリに非公開 → +メッセージはRCS専用 iOS 26以降、デフォルトアプリ選択が可能になる予定
  • 「+メッセージ」は、Androidスマートフォンでは、基本はSMSアプリです。
    その上で、RCS機能を有効にするか選択できます。
  • 一方、iPhoneの「+メッセージ」はSMS機能を持たないアプリです。
    RCS通信に特化したアプリなのです。

この違いは、AndroidとiOSの設計思想から来ています1

1.1. +メッセージの「サービス」とは?

+メッセージ」は、RCSに準拠して作られたサービスです。

「RCS(Rich Communication Services)」は、「SMSの後継」にあたるメッセージ規格で、携帯電話事業者の業界団体GSMAが標準化しました2
このRCSを、日本では3キャリアが共同実装したのが+メッセージで、それを理由できるようにするアプリが「+メッセージ」アプリということになります。

従来のSMSでは、他キャリア宛では、テキストは70文字までで、画像や動画も扱えませんでした。
RCSなら、携帯回線ではなくパケット通信を使うことで、長文テキスト・高解像度の画像や動画・グループチャット・既読確認・タイピングインジケータなどが使えるようになります。

ただし、相手も+メッセージに登録している必要があります。
そのため、非対応の相手には、RCSは送信できず、SMSを併用する仕組みになっています。

1.2. 【前提】Androidでの+メッセージ——SMSとRCSを統合するアプリ

Androidスマートフォンでは、相手が+メッセージを使っていればRCSで通信し、非対応なら自動的にSMSへ切り替わります。
ユーザーは、このRCSとSMSの切り替えを意識することなく使えるのが、Androidの+メッセージアプリの設計の特徴です。

AndroidのSMSとRCS統合の仕組み キャリア網 Android Telephony フレームワーク broadcast +メッセージ デフォルトSMSアプリ 相手が+メッセージ RCS送受信 長文・画像・既読OK 相手が非対応 自動でSMS 切替をユーザーが意識不要 SMS機能のみ利用も可 選択式で設定 規約同意を「SMSのみ」に

これは、Androidには「デフォルトSMSアプリ」という概念があるからです。
スマートフォンに届いたSMS受信イベントは、システムのTelephonyフレームワークからブロードキャストとして配信され、デフォルトに指定されたアプリだけがその受信を処理します3

+メッセージは、SMS機能に対応しているので、「デフォルトSMSアプリ」に設定できます。
そうすれば、SMSとRCSが同じアプリで受け取れます。

また、RCSを使いたくない場合は、+メッセージの利用規約の同意を「SMSのみ」にして、SMSアプリとして運用することも可能です。

Androidでは、SMS処理APIをサードパーティアプリに開放しているのです

2. iPhoneでの+メッセージ——RCS通信だけを担うアプリ

一方、iPhoneの「+メッセージ」アプリはSMSを受信できません。

iPhoneでの+メッセージ——RCS専用アプリとして動く iPhone CoreTelephony (Apple内部API) 外部非公開 (セキュリティ上の理由) 標準「メッセージ」 SMS/MMS受信 +メッセージ RCSのみ送受信 iOS 26以降 デフォルトアプリ選択可 SMS対応の可能性が開く

ドコモ公式のiPhone向け使い方ガイドには、「+メッセージでSMSの送受信は対応していません。端末の『メッセージ』アプリをご利用ください」と案内されています4

2. iPhoneでの+メッセージ——RCS通信だけを担うアプリ

受信できるのは、+メッセージのRCSサービスを通じたメッセージだけです。

2.1. メッセージアプリを選べるのは iOS 26から

これは長らくiOSのSMSは、、CoreTelephonyという内部フレームワークが処理し、そのAPIは外部アプリに公開されていなかったためです。
これは、主にセキュリティのためで、SMSは銀行や各種サービスの認証コードを受け取る経路として広く使われているため、その内容へのアクセスをサードパーティに許すことはリスクを高める、と考えられたからです。

ただし、今後は+メッセージでもSMSに対応するかもしれません。
というのも、Appleは2025年に、iOS 26でSMS/MMS/RCSに使うアプリを選べるようになったからです5

2.2. 整理すると

同じ「+メッセージ」でも、Androidではキャリアが意図したSMSとRCSの統合アプリとして機能し、iPhoneではAppleのアーキテクチャの制約の中でRCS専用アプリとして動いています。

AndroidiOS
SMS受信APIサードパーティに開放(デフォルトアプリのみ)iOS26から公開
+メッセージでSMS受信可能(デフォルト設定時)今のところ不可
+メッセージでSMS送信可能今のところ不可
RCSの送受信規約の同意で可能基本機能

iPhoneで+メッセージを使う場合は、SMSは引き続き「メッセージ」アプリで管理し、+メッセージは+メッセージ対応ユーザーとのやり取りに絞って使うのが現実的な運用です。

3. 【補足】AndroidのSMSの審査の仕組み

一方、AndroidはオープンプラットフォームとしてAPIを公開しつつ、デフォルトSMSアプリにだけフルアクセスを許す段階的な権限モデルを採用しています。

ただし、完全に自由なわけではありません。
2019年以降は、SMS機能を使うアプリは、Googleも審査を強化しています6

  1. +メッセージは2018年5月9日にAndroid向けが先行リリースされ、iOS向けは同年6月21日に提供開始されました。 – SMSの機能を進化させた新サービス「+メッセージ」を提供開始(NTTドコモ)
  2. RCSはGSMAによって標準化されたメッセージ規格で、220カ国・地域の1,000社以上が加盟しています。 – 「+メッセージ」が携帯3社すべてのブランドとMVNOで利用可能に(ソフトバンク)
  3. デフォルトSMSアプリの仕組みはAndroid 4.4(KitKat)で導入されました。それ以前はSMS受信が複数のアプリに分散して届く問題がありました。 – デフォルトのハンドラでのみ使用される権限(Android Developers)
  4. 使い方 iPhone/iPad(+メッセージ公式/ドコモ系)
  5. AppleはiOS 26でSMS・MMS・RCSに使うアプリを選べると案内しており、TelephonyMessagingKit という既定メッセージアプリ向けAPI群も文書化しています。 – iPhoneでRCSメッセージをオンにする(Apple サポート)
  6. GoogleはSMSや通話履歴にアクセスするアプリに権限申告フォームの提出を義務付け、2019年3月9日を期限として対応しないアプリをGoogle Playから削除しました。 – リマインド:SMS や通話履歴に関するポリシー変更について(Google Developers Japan)