1. 出納帳から決算内訳書まで
サークルや自治会の会計では、日々のお金の出入りを記録し、年度末に決算書類を作成します。
この帳簿付けには、主に2つの作業があります。
- 普段から行う作業は「出納帳への記録」です。
- 年度末になったら、その出納帳をもとに科目別内訳書と決算書を作ります。
1.1. 日頃つけるのは「出納帳」
「出納帳」とは、日々のお金の出入りを記録する帳簿です。
1行に1件ずつ、日付・摘要・相手先・科目・収入・支出・残高を記録します。
年度末の決算書は、この出納帳をもとに作ります。


手書きの帳簿はその場ですぐ書き留めるために使い、Excelへの転記は集計と提出書類の作成をまとめて行うためです。

忘れずに記録するため、入出金があればメモやレシートから、まずは手書きの帳簿に書き留めておくのがおすすめです。
ほかの人から受け取るレシートは、支払いの日付と受け取った日付にはタイムラグがあり、前後することも多いです。
受け取った順に記録していきます。
お金が入ったときは収入欄、お金を使ったときは支出欄に記入し、そのたびに残高を計算します。
1.2. 毎月くり返す仕事
| 時期 | やること |
|---|---|
| 収入・支出があった日 | 日付、摘要、相手先、科目、金額を出納帳に記入する |
| 買い物・支払いのあと | 領収書を月ごとの封筒やファイルに入れる |
| 月の途中 | 財布の残高と出納帳の残高が合っているか確認する |
| 月末 | 記入漏れ・領収書の不足・科目の表記ミスを確認する |
| 月末〜翌月初め | 領収書を日付順に並べ、帳簿と同じ番号をつける |
1.3. 1年間の流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4月 | 前年度からの繰越金を確認し、新しい出納帳を用意する |
| 4月〜5月 | 会費を集め、人数・金額・日付を出納帳に記入する |
| 4月〜翌年3月 | 収入・支出があるたびに出納帳へ記入する |
| 行事のあと | 総会・親睦会などの支出を科目ごとに記入する |
| 1月〜3月 | 記入漏れや領収書の不足がないか確認する |
| 3月31日 | 会計を締め、最後の残高を確認する |
| 4月上旬 | 出納帳をもとに科目別内訳書を作成する |
| 4月上旬〜中旬 | 前年度繰越金・収入合計・支出合計・翌年度繰越金をまとめた決算書を作る |
| 4月中旬〜下旬 | 会長や監査担当に確認してもらい、市役所などへの提出書類を整える |
2. Excelで出納帳の基本の形を作る
手書きの帳簿を元に、Excelに入力していきます。
Excelのメリットは、集計機能があり計算ミスを防げる、活字で印刷できる、ということで、提出書類の作成に向いています。
2.1. 帳簿の見出し行を入力する
まず、1・2行目はタイトル用に空けておきます。
3行目から、帳簿の見出し行を入力します。
A3〜I3のマス目に順番に項目を入力します。
| 年 | 月 | 日 | 摘要 | 相手先 | 科目 | 収入 | 支出 | 残高 |

2.2. 枠線を付ける(罫線)
必要な範囲に枠を付けます。

範囲を選択して、罫線の「格子」を選択します。
後から表が必要なときは、同じように追加します。
2.3. 列幅を整える
見出しごとに列の幅を調整します。

A列とB列の間など、画面上の列番号の境界をマウスで引っ張ります(ドラッグ)。
3. 2行分、項目と計算式を入れる
3.1. 摘要と科目
摘要欄は、何に使ったか・どのような収入かを書くところです。
「会費」「お茶代」「コピー代」などと記入します。
相手先には購入したお店や支払先を書きます。
「スーパー〇〇」「100円ショップ〇〇」「市役所」といった具合で、レシートの発行元を書きます。
科目は年度末に集計するための分類です。
昨年の決算書の項目をもとに「会議費」「サークル活動費」「事務諸経費」「総会」「イベント開催費」などを使います。
科目名は、年間を通じて表記をそろえておいてください。
たとえば、「会議費」と「会ぎ費」が混在すると、年度末の集計でミスが起きます。
3.2. 最初の残高の計算式
Excelでは、残高を手計算する必要はありません。
数値の代わりに計算式を入れると、自動で計算してくれます。
まず一行目は、収入を計算式として入れます。
最初の残高 = 最初の収入

I4のセルに、数式「=G4」を入力して確定すると、金額が表示されます。
数式は、「A(半角英数)」モードで入力します。
3.3. 2行目以降の残高の計算式
2行目以降の残高は、計算式で求めることができます。
今回の残高 = 前の行の残高 + 今回の収入 - 今回の支出
たとえば、I2セルに前の残高、G3に収入、H3に支出が入っている場合、
残高 I3 には、
=I2+G3-F3

「残高の関係式」は、中身が空でも足し算・引き算に入れます。
これは、以下の行で使うときに計算が反映されるようにするためです。
3.4. 計算式を下の行にコピーする(オートフィル)
2行目だけ式を入力したら、セルの右下にある小さな四角(オートフィル・ハンドル)をドラッグするだけで、同じ式が下の行へ自動的にコピーされます。


これを「オートフィル」といいます。
あとで収入や支出のマス目に金額を入力すると、残高が自動的に再計算されます。
帳簿の項目が増えて行が必要になったら、そのつどオートフィルで下にコピーします。
4. 帳簿の見た目を整えていく
4.1. 【応用】列の見た目を整える(表示形式)
また、適用・相手先・科目は「縮小して全体を表示」にしておくと、長い文字の場合に自動で小さく収まります。
D, E, Fの列見出しを選択肢、「配置」グループの右にあるボタンを押し、「縮小して全体を表示」にチェックを入れて「OK」を押します。


収入・支出・残高(F, G, H列)は、3桁ごとにカンマを付ける「桁区切り」の表示形式にします。

4.2. タイトル行を入力する
はじめに空けていた2行に、帳簿のタイトル行を追加します。
タイトル行は、必要なマスを選択して「セルの結合」をします。
たとえば、E1からG1を選択肢、「セルを結合して中央揃え」にしました。

また、フォントサイズや中央揃え、行の高さを変更して見やすく整えます。
4.3. 見出し行を見やすくする
見出し行は「中央揃え」に設定しておくと見やすいです。
3行目を選択して、「中央揃え」をクリックします。
また、二文字以上の項目は、途中にスペースキーで1つ・2つ空白文字を入れると、バランスがよくなります。


セルをダブルクリックすると、入力欄にカーソル位置が表示され、途中に文字を挿入できます。
5. 行の挿入・削除・順序変更
入力のあとで記入漏れに気づくことがあります。
そのときには、「行を挿入」します。


追加したい場所のすぐ下の「行番号」を右クリックして「挿入」を選ぶと、空の行が1行追加されます。
5.1. 数式のコピーし直し
挿入された行には、残高の計算式が入っていません。
上にある残高の計算式をオートフィルでコピーしてきます。


オートフィルのときには、もう一つしたのマスまでコピーしておきます。
そのままだと、一行スキップした計算式になってしまっているからです。
反対に、余分な行が余ったときには、行番号を右クリックして「削除」を選びます。
5.2. 並べ替え
帳簿は日付順に並べておくと、あとから見返したときにお金の流れを追いやすくなります。
順番を変えたいときは、移動したい行全体を選択して「切り取り」し、移動先の行を右クリックして「切り取ったセルの挿入」を選びます。
また、「フィルター」機能に並べ替えがあります。
年、月、日がすべて埋めていれば、機械的に並べることもできます。
ただし、空欄があるとおかしくなってしまうこともあります。
6. 手書き帳簿からExcelへ転記する
手書きの帳簿があれば、それを1行ずつExcelへ転記します。
見た目をきれいにすることよりも、内容を正確に入力することを優先してください。
転記が終わったら、次の点を確認します。
- 収入と支出の欄を間違えていないか
- 科目名が同じ表記になっているか
- 領収書の枚数と帳簿の支出件数が合っているか
- 最後の残高が、実際の現金残高や通帳残高と一致しているか
7. 年度末に科目別内訳書を作る
決算書では、1年間の収支をまとめます。
構成は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前年度からの繰越金 | 昨年度末の残高 |
| 今年度の収入合計 | 会費・補助金などの合計 |
| 今年度の支出合計 | すべての支出の合計 |
| 翌年度への繰越金 | 繰越金 + 収入合計 - 支出合計 |
この翌年度繰越金が、出納帳の最後の残高と一致していれば決算書は完成です。
まずは、3月31日で会計を締めたら、出納帳をもとに科目別内訳書を作ります。
「科目別内訳書」とは、「会議費にいくら使ったか」「事務諸経費にいくら入ったか」などを科目ごとにまとめた表です。
Excelで集計する方法には、フィルターを使う方法があります。
- まず、「科目別内訳書」のシートを作ります。
- 次に、「出納帳」シートの見出し行を選択し、「データ」タブの「フィルター」をクリックします。
科目列の▼をクリックして集計したい科目だけを表示し、この部分の行をコピーします。 - 「科目別内訳書」シートに切り替えて、貼り付けます。
- このとき残高の列は不要なので消去します。
- 最後に合計行を追加して、金額の欄を選択して「SUM関数」で集計します。
7.1. 決算書を作る
決算書は、科目別内訳書の合計金額を前年の表を参考に記載していきます。
収入の部には、収入の項目の金額を入力し、合計します。
前年度繰越金を加えて、合計になります。
支出の部には、今年度の支出項目の金額を入力し、合計します。
収入の合計から、支出の部の小計を引いた金額が「次年度繰越金」です。
これが、実際に年度末の残高と等しいことが確認でき、保存された帳簿や領収書に問題がなければ、決算は完了です。
8. 現金と領収書の管理
会計用のお金は、専用の財布や小銭入れを用意して私費と分けます。
会計のお金を分けておけば、残高の確認が楽になります。
立て替えたときには、領収書をもとに精算してから出納帳に記録します。
現金の動きと帳簿の記録がつねに一致するように管理してください。
領収書は、支出を記録したら必ず保管します。
月ごとに封筒やクリアファイルを分けて整理すると、照合のときに探しやすくなります。
8.1. 複数の科目が混ざったレシート
1枚のレシートに別々の科目の品物が混ざることがあります。
たとえば、お茶代と事務用品を同じ店で買った場合です。
できればレジで会計を分けると、「会議費」と「事務諸経費」でそれぞれ別のレシートが取れます。
ただ、すでに1枚にまとまっているときは、科目ごとに金額を分けて出納帳に2行で記録します。
レシートの余白にも内訳をメモしておくと、あとで確認できます。