WordPressからHTMLサイトへの移行: サーバー内の「見えない情報」を理解する

レンタルサーバーでWordPressサイトからHTMLサイトに移行する作業をしていたところ、気になる疑問にぶつかりました。「サイトを丸ごと削除しても本当に大丈夫なの?」「データベースはファイルとして見えないけど、どこにあるの?」このような疑問を解決するため、サーバー内の「見えない情報」について調べてみました。

WordPressサイトを削除する正しい手順

WordPressサイトをHTMLサイトに変更する際、単にファイルを削除するだけでは不十分です。WordPress特有の「見えない情報」も適切に処理する必要があります。

WordPressからHTMLサイトへの移行 見えるファイル public_html ディレクトリ WordPressファイル 見えない情報 データベース /var/lib/mysql/ SSL証明書 /etc/ssl/ WordPress削除の正しい手順 1 バックアップ 2 データベース削除 3 ファイル削除 FTP経由 4 HTMLファイル アップロード ※サーバー設定(SSL証明書/DNS設定)は削除しないでください

データベースの削除が必要な理由

WordPressは記事やユーザー情報などをデータベースに保存しています。このデータベースはFTPで見えるファイルではなく、サーバーの別の場所に保存されています。

データベースを削除しないとどうなるでしょう? 家を引っ越した後も、古い家に荷物を置きっぱなしにするようなものです。使われていないデータベースがサーバーに残り、容量を無駄に使うだけでなく、セキュリティ上のリスクも生じます。

具体的な削除手順

  1. まず大切なデータのバックアップを取ります
  2. レンタルサーバーの管理画面からデータベースを削除します
    • 「phpMyAdmin」などのツールを使います
    • データベース名は通常「wp_」から始まることが多いです
  3. FTPソフトを使って、サイトのファイルをすべて削除します
  4. 新しいHTMLファイルをアップロードします

この順番で作業すると、安全にWordPressサイトからHTMLサイトへ移行できます。

Linuxサーバー内の「見えない情報」はどこにある?

レンタルサーバーのLinuxシステムでは、さまざまな情報が「見えない場所」に保存されています。これらの場所を知ることで、サーバーの仕組みがより理解しやすくなります。

データベースの保存場所

データベースは /var/lib/mysql/ というディレクトリ内に保存されています。冷蔵庫の中の引き出しのように、データベースごとに専用の場所があります。例えば「wordpress_db」というデータベースなら、/var/lib/mysql/wordpress_db/ に保存されています。

しかし、一般ユーザーはこれらのファイルに直接アクセスできません。金庫の中身のように、特別な鍵(root権限)がないと開けないのです。そのため、データベースの管理は「phpMyAdmin」などの管理ツールを通じて行います。

SSL証明書の保存場所

SSL証明書(WebサイトをHTTPS化するための電子証明書)も、直接見ることができません。これらは通常、/etc/ssl/ ディレクトリ内に保存されています。

パスポートや免許証のように、厳重に管理されており、一般ユーザーは直接アクセスできません。証明書の管理は、レンタルサーバーの管理画面から行います。

その他の「見えない情報」

他にも以下のような「見えない情報」があります:

  • Webサーバーの設定(Apache/Nginxの設定):/etc/apache2//etc/nginx/
  • 定期実行タスク(Cron設定):/etc/crontab
  • DNS設定:外部で管理されるか、内部DNSの場合は /etc/bind/

public_htmlと「見えない情報」の関係

public_htmlの役割

public_html ディレクトリは、Webサーバーが一般公開するファイルを置く場所です。ショーウィンドウのように、インターネットから見える部分です。

通常、ユーザーのホームディレクトリ内(/home/ユーザー名/public_html/)にあり、FTPでアクセスできる場所です。

システム設定との関係

「見えない情報」と public_html の関係は、舞台と舞台裏の関係に似ています。

  • public_html:観客(インターネットユーザー)に見える舞台
  • システム設定(データベースなど):観客には見えない舞台裏

舞台裏の設定(/etc/apache2/ などの設定ファイル)で、どのドメインがどの舞台(public_html ディレクトリ)を使うかを指定しています。

サブドメイン(例:sub.example.com)の場合、通常は public_html 内の専用ディレクトリ(/home/user/public_html/sub/)か、別のディレクトリ(/home/user/sub.example.com/)に設定されます。

レンタルサーバーでのアクセス制限

共用レンタルサーバーでは、セキュリティのため、システム設定ディレクトリ(/etc//var/lib/ など)には通常アクセスできません。マンションの共有部分や機械室に入れないのと同じです。

管理はすべてコントロールパネル(cPanel, Plesk, DirectAdminなど)を通じて行います。FTPやSSHでアクセスできるのは通常、public_html とその中のファイルのみです。

まとめ

WordPressサイトからHTMLサイトへ移行する際は、「見えるファイル」だけでなく「見えない情報」も適切に処理する必要があります。特にデータベースは明示的に削除しなければなりません。

一方、SSL証明書やDNS設定などのサーバー設定は、通常そのまま使えるので削除する必要はありません。これらの「見えない情報」は、サーバーのシステムディレクトリに保存されており、管理画面を通じて設定します。

サーバー内の「見える情報」と「見えない情報」の関係を理解することで、サイト移行をより安全に行うことができます。