はじめに
動画編集において、作成した動画を何度も確認する作業は避けて通れません。しかし、長時間の動画を等速で再生して確認するのは時間がかかります。特に細かい編集を繰り返す場面では、効率的な確認方法が求められます。
無料の動画編集ソフト「Shotcut」には、この問題を解決する優れた機能が備わっています。プレビュー再生の速度を自在に変更できる機能です。この機能を使えば、編集内容の確認作業を大幅に短縮できます。
J・K・Lキーによる再生制御の基本
Shotcutでは、キーボードの「J」「K」「L」キーを使ってプレビューの再生を制御できます。Jキーは逆再生、Kキーは停止、Lキーは順方向再生を行います。

この配置は、左手の人差し指、中指、薬指で自然に操作できるように設計されています。これらのキーは、多くのプロ向け動画編集ソフトで採用されている標準的な操作方法です。
- Shotcutで高速再生を行うには、Lキーを繰り返し押します。
1回押すと2倍速、2回押すとさらに高速になり、最大5段階まで速度を上げられます。 - 逆再生でも同様の操作が可能です。
Jキーを繰り返し押すことで、逆方向に高速再生できます。通常速度に戻したい場合は、Kキーを押して一度停止し、スペースキーまたはLキーで再開します。
ちなみに、動画素材自体の再生速度を変更することと、プレビューの再生速度を変更することは違います。
- 動画素材の速度変更は、最終的に出力される動画の再生速度を変えます。
例えば、素材を2倍速に設定すると、書き出した動画も2倍速で再生されます。これは「プロパティ」パネルの「速度」項目で調整する機能です。 - プレビュー速度の変更は、編集画面での確認作業を効率化するための機能です。
プレビューを高速再生しても、最終的な動画には影響しません。
音声の扱いとScrub Audio機能
高速再生時に気づくのは、音声が聞こえないことです。これは、通常の設定では高速再生時に音声が無効になるためです。
音声のタイミングを確認する場合は、Scrub Audioを有効にして高速再生を行います。この機能は、プレビュー画面の再生コントロール部分にあるボタンで切り替えできます。

Scrub Audioを有効にすると、高速再生時でも音声が再生されます。音声の入りや切り替わりのタイミングが分かりやすくなります。ただし、再生速度に比例して音程が高くなります。4倍速なら声が4倍の高さになるため、内容を正確に聞き取るのは困難です。
実際の編集作業での活用例
具体的な活用例を見てみましょう。
- 長時間のインタビュー動画を編集する場合、まず4倍速で全体を確認します。話者の表情や身振りの変化、音声の途切れなどを大まかに把握します。編集点の候補となる箇所にマーカーを置いていきます。
- 次に、マーカーを置いた箇所を通常速度で詳しく確認します。正確なカット位置を決定し、必要に応じてトランジション効果を追加します。
- 音楽やナレーションを重ねた動画では、Scrub Audioを有効にして高速再生を行います。音声のタイミングがずれていないか、BGMの音量バランスが適切かを効率的にチェックできます。
ShotcutのJ・K・Lキーによるプレビュー速度制御は、動画編集の効率を大幅に向上させる強力な機能です。高速再生で全体確認を行い、必要な箇所を通常速度で詳細チェックする方法により、確認作業の時間を大幅に短縮できます。Scrub Audio機能と組み合わせることで、音声タイミングの確認も効率的に行えます。これらの機能を活用することで、より快適で効率的な動画編集が実現できます。