パソコンの電源を入れたとき、黒い画面に白いマウスポインターだけが表示されることがあります。この現象に遭遇すると、多くの人が「故障した」と思い、すぐに強制終了してしまいます。
しかし、実際にはこの状態は故障ではなく、処理に時間がかかっているだけのことが多いのです。すぐに諦めずに、1時間程度待つことで正常に起動することが意外と多いのです。
この現象が起こる仕組み
Windowsが起動するとき、コンピューターは決まった順序で処理を進めます。まず、ハードウェアの確認を行います。次に、Windowsの基本部分の読み込みを開始します。その後、ログイン画面の準備を整え、最終的にデスクトップを表示します。
黒い画面にマウスカーソルだけが表示される状態は、「Windowsの基本部分の読み込み」が完了した後から「ログイン画面の準備」や「デスクトップの表示」までの間に発生します。この段階では、Windowsは動作していますが、まだ画面に表示する準備が整っていません。
家の建築に例えると、基礎工事は完了したものの、まだ内装工事が進行中という状態です。外から見ると何も変化がないように見えますが、内部では着実に作業が進んでいます。
起こりやすい条件と処理時間
この現象は特定の条件下で発生しやすくなります。古いパソコンでは、ハードウェアの処理速度が遅いため、各段階で時間がかかります。システムの定期的な更新の直後は、更新されたファイルの整理や設定の調整が行われるため、通常より長い時間が必要になります。
処理時間は状況によって大きく異なります。通常は数分程度で完了しますが、長い場合は数十分かかることもあります。特に、久しぶりに電源を入れた場合や、大規模なアップデートの後では、1時間近くかかることも珍しくありません。
対処の考え方
黒い画面にマウスカーソルだけが表示された場合、まず行うべきことは「待つ」ことです。焦って強制終了すると、進行中の処理が中断され、次回起動時にさらに時間がかかる可能性があります。
半日程度は辛抱強く待ちましょう。この間、パソコンは内部で複雑な処理を続けています。マウスカーソルが動くということは、システムが完全に停止していない証拠です。
待機中は、他の作業を行いながら時折画面を確認するのが良いでしょう。突然画面が変化することがあります。
1時間待っても改善しない場合
1時間待っても状況が変わらない場合は、別の問題が発生している可能性があります。この場合は、電源ボタンを長押しして強制終了し、再度起動を試みましょう。
強制終了は本来推奨されない方法ですが、長時間応答がない場合は仕方ありません。再起動後、同じ現象が繰り返される場合は、ハードウェアの問題やシステムファイルの破損が考えられます。
根本的な解決策
長期的な解決策として、記憶装置の交換が最も効果的です。従来のハードディスクドライブから、SSD(Solid State Drive)への交換を検討しましょう。SSDは半導体メモリを使用するため、物理的な可動部品がなく、データの読み書きが非常に高速です。
SSDに交換すると、起動時間が大幅に短縮されます。数分かかっていた起動が数十秒で完了するようになることも珍しくありません。また、アプリケーションの起動も速くなり、全体的な操作性が向上します。
記憶装置の影響
この現象の根本的な原因は、多くの場合、記憶装置の処理速度にあります。従来のハードディスクドライブ(HDD)は、物理的な回転部品を使ってデータを読み書きします。そのため、データの読み込みに時間がかかり、起動処理も遅くなります。