X(旧Twitter)広告の「この広告に興味がない」が消える理由?(ABテスト)

X(旧Twitter)を使っていて、広告の対処方法が変わっていることに気づいた方はいませんか。以前なら広告の右上にある「⋯」をタップすると表示されていた「この広告に興味がない」という選択肢が、最近は表示されない広告があります。

この現象について調べた結果、単なるバグや設定の問題ではなく、Xが意図的に行っている仕様変更であるのかもしれません。

【疑問】「この広告に興味がない」が表示されない?

X(旧Twitter)で広告に「この広告に興味がない」という選択肢が表示されない現象について、これが自分のアカウント設定によるものなのか、それともXの広告システムの仕様によるものなのかを知りたいです。

具体的には、「広告」ラベルは付いているにも関わらず、メニューに「この広告に興味がない」という選択肢が存在しない広告があり、この現象の原因と対処法について疑問を持っています。

具体的な症状

通常のX広告では、投稿の右上にある三点リーダー(⋯)をタップすると、以下のようなメニューが表示されます。

  • この広告に興味がない
  • この広告が表示されている理由
  • 広告を報告
  • アカウントをブロック
  • アカウントをミュート

しかし、最近では「広告」というラベルがついているにも関わらず、メニューに「この広告に興味がない」が表示されない投稿があるようです。代わりに表示されるのは、通常の投稿と同じような選択肢です。

ただし、私の環境でいくつか広告を調べましたが、すべての広告で「この広告に興味がない」がありました。ちなみに、Xの設定で、広告のパーソナライズをオフに変更しても同様でした。もしかすると、一部のユーザーにだけ表示されているのかもしれません。

X広告の2024年5月からの仕様変更

Xは2024年5月末以降、段階的に広告の回避機能を制限しています。

ただし、その変更は、広告投稿から直接アカウントをブロックやミュートできなくしたことです。従来であれば広告のメニューから簡単にブロックできましたが、現在は投稿者のプロフィールページにアクセスしなければブロックできません。

「この広告に興味がない」選択肢の削除

ただし、現在一部の広告で「この広告に興味がない」という選択肢自体が削除されているのは、それとは微妙に異なります。これは広告であることを示すラベルは残しつつ、ユーザーが広告を回避する手段をより厳しく制限する変更のようです。

なぜこのような変更が行われるのか

フリーミアム戦略と収益化戦略としての意図

これらの変更は、技術的な不具合というよりは、Xが収益を向上させるための戦略的な判断だと考えられます。

無料でサービスを利用するユーザーの広告回避手段を制限し、有料プラン(X Premium+)への移行を促すことが目的と考えられます。X Premium+では広告を非表示にできるからです。

この手法は、フリーミアム戦略と呼ばれるビジネスモデルの一例です。フリーミアム戦略とは、基本機能は無料で提供しつつ、より快適な体験を求めるユーザーには有料プランを提案するモデルです。

例えば、音楽配信サービスで広告付きは無料、広告なしは有料というのと同じ考え方です。Xも無料版では広告を避けにくくし、有料版では広告のないスムーズな体験を提供しています。

A/Bテストによる段階的導入の可能性

ユーザーごとに異なる体験

現在、すべてのユーザーが同じ制限を受けているわけではありません。同じ広告でも、ユーザーによって「この広告に興味がない」選択肢が表示される場合と表示されない場合があるようです。

これは、A/Bテストが実施されている可能性を示しています。A/Bテストとは、ユーザーを複数のグループに分けて異なる仕様を提供し、どちらがより良い結果をもたらすかを検証する手法です。

Xは、広告回避機能をさらに制限したバージョンを一部のユーザーに提供し、その影響を測定していると考えられます。もしこの制限により有料プランの加入が増加すれば、制限は全ユーザーに適用される可能性があります。

これまでの広告ラベルの変遷

X広告の表示方法は、これまでも何度か変更されています。

当初は投稿の左下に「プロモーション」というラベルが表示されていました。その後、右上の小さな「広告」ラベルに変更され、現在ではさらに目立ちにくい表示になっています。

2023年以降、Xは一部の広告で「プロモーション」や「広告」のラベル自体を完全に削除する実験も行っています。これらの広告は、三点リーダーメニューを開いて初めて広告であることが分かります。

対処方法(ブロックとキーワードミュート)

現在、無料ユーザーが広告に対処する方法は大幅に制限されています。

  • 直接的なブロックができない場合でも、投稿者のプロフィールページにアクセスしてアカウントをブロックすることは可能です。ただし、この方法は手間がかかり、すべてのケースで有効とは限りません。
  • 特定の商品や企業名をキーワードミュートに設定すると、関連する広告の表示を減らせる場合があります。ただし、この方法も完全ではありません。

まとめ

X(旧Twitter)での「この広告に興味がない」選択肢の消失は、ユーザーの設定や操作ミスではありません。Xが収益向上のために意図的に実施している仕様変更です。

2024年5月以降、広告からのブロック・ミュート機能が制限され、現在は「この広告に興味がない」選択肢の削除もA/Bテストとして実施されています。この変更は、無料ユーザーの広告回避手段を制限し、有料プラン(X Premium+)への移行を促すフリーミアム戦略の一環です。