- Gmailで新着メールが見つからないというとき、「スレッド表示」が原因であることが多いです。
- 意識せずに同じ件名のメールがまとめられるので、新しいメールが目立ちにくい。
- 実はGmailの設定から「スレッド表示」をオフにすると、見慣れた時系列順の個別表示に戻せます。
スレッド表示は、意識して利用すると便利な機能です。しかし、一般ユーザーにとっては、受信トレイのメールを見て削除するだけで、かえってスレッド表示を煩わしく思うケースが多いのです。Gmailは、今でこそ「コモディティ(一般的な商品)」のような扱いですが、登場時はものすごく革新的で意欲的なメールサービスだったのです。検索とアーカイブを活用してこそ、Gmailの良さが引き出されるのですが。
1. スレッド表示だと未読メールを見落としやすい
「Gmailを使っていて、新しく届いたメールが思うように見つからない」という相談があります。これは、同じ件名のメールがひとまとめになって表示される「スレッド表示」に原因があり、多くのユーザーが戸惑っているようです。
スレッド表示の最大の問題は、新着メールに気づきにくいことです。
- 通常のメールソフトでは、新着メールが受信トレイの一番上に時系列で並びます。
- しかしスレッド表示では、古いスレッドの中に新しいメールが埋もれてしまうのです。
スレッド表示では、一見するとすでに読んだメールに見えても、実際には複数の重要なメッセージが隠れている場合があるのです。この変化は、従来のメールソフトに慣れた人にとって大きなストレスです1。
1.1. スレッド化の条件
スレッド表示の設定変更の条件として、
- 受信者、送信者、件名が以前のメールと同じである、
- 参照ヘッダーの ID が以前のメールと同じである、
- 以前のメールから 1 週間以内に送信されている、
という条件が満たされていると、メールがスレッド化されます2。
ビジネスメールでよくある問題が、件名の変更による混乱です。例えば、件名を変更して返信する場合です。最初は「打ち合わせのご提案」だった件名が、途中で「【○×会社】Re: お打ち合わせ日程のご相談」に変わると、本来意図していたスレッドにならない場合があります。逆に、全く関係のないメールが同じ件名というだけで、ひとつのスレッドにまとめられることもあります。これでは、メールの整理どころか混乱の原因になってしまいます。
1.2. スレッド表示を解除するには?
Gmailの設定では、デフォルトでスレッド表示はオンになっています。
しかし、スレッド表示の解除は、設定画面から簡単に行えます。
「スレッド表示の解除」は、2018年8月からスマートフォン版のGmailアプリでも可能になっています3。
- Gmailを起動して、画面上部にある[メニュー]アイコン([三]のマークアイコン)をタップし、メニュー画面を表示します。
- メニューから「設定」を選び、対象のアカウントをタップします。
- 設定画面で「スレッド表示」の項目を探し、オフに切り替えます。
ウェブ版Gmailでも同様です。
スレッド表示を解除する機能は、2010年9月29日に追加されました4。
- Gmail 画面右上の[歯車アイコン]>[すべての設定を表示]をクリックして Gmail の設定画面を表示します。
- 次に、Gmail 設定画面にて、[全般]タブ内の「スレッド表示:」セクションの[スレッド表示 OFF]にチェックを入れます。
- 最後に、画面下部の「変更を保存」ボタンをクリックすると設定完了です。
設定後、ページを更新すると、メールが一通ずつ個別に表示されるようになります。
1.3. 設定がうまくいかない場合の対処法
設定を変更しても反映されない場合があります。スマホアプリの場合は、アプリを最新版に更新することで問題が解決することもあります。また、ブラウザのキャッシュをクリアするか、一度ログアウトして再ログインを試してください。
2. Gmailのスレッド表示機能の開発背景と目的
2.1. Gmailサービス開始時の革新的な取り組み
スレッド表示機能は、Gmailの初期段階からサービスを特徴付ける機能、いわば「看板メニュー」でした。
Gmailが2004年にサービスを開始した際5、フリーメールでありながら、メールの保存容量はサービス当初は1GBで、当時としては大容量でした(現在は、Googleドライブなどと共通で15GB)6。15MBの受信トレイが一般的だった時代に、1GBという膨大なストレージを提供したGmailは、従来とは異なるメール管理の考え方を導入しました。それが、「メールを削除せずに保存し続ける」という新しいコンセプト。そのために必要だったのが、効率的な検索機能と自動整理機能だったのです。
人々はEメール管理にうんざりしていた、と当時の状況を、Gmail担当副社長のイリヤ・ブラウン氏は振り返ります。スパムメールはあちこちあり、受信トレイのストレージはわずかだった。新しいメールを保存するスペースを確保するために、常にメールを削除し続けなければならない。Gmailの開発には2001年8月から携わるようになりますが、その起源はGoogle入社前の1996年ごろに開発したウェブメールのソフトウェアでした。開発者のポール・ブックハイト氏は、自分用のメール検索エンジンから始めて、同僚のエンジニアの要望を受けながら機能を拡張していきました7。
2.2. スレッド表示の意味と役割
スレッド表示は、この問題を解決するためのアイデアでした。
同じ話題のメールをまとめることで、受信トレイをすっきりさせ、関連するやり取りを一度に確認できるようにしたのです。これは掲示板やフォーラムでの「スレッド」概念をメールに応用したものでした。
通常のメーラーとは異なり、ヘッダ内の References: 行や In-Reply-To: 行以外に、Subject: 行とFrom: 行も参照しており、同一送信者から来た同一サブジェクトの新規スレッドメールは、1つのスレッドにまとめられる。この技術的な実装により、従来のメールソフトとは全く異なる使用感が生まれたのです。
2.3. 「検索優先」とアーカイブ
Gmailでは、いずれ必要となる可能性を考え、なるべくメールを削除せずにアーカイブで残すことを推奨しています。
大容量のストレージと強力な検索機能があれば、メールを細かく整理する必要はない。必要な時に検索で見つけられれば十分だという発想で、Googleの検索技術への信頼に基づく考え方です。スレッド表示も、この「検索で解決する」という思想の一部として設計されました。
3. スマートフォン時代のGmail
しかし、その後、メールの使われ方は大きく変化しました。スレッド機能や検索によるメール管理に魅力を感じてGmailを選ぶユーザーだけでなく、Androidスマートフォンの利用がきっかけでGmailを利用するユーザーも増えました。
当初は革新的だったスレッド表示も、現在では使いにくさを感じるユーザーも多くなっています。「スレッド表示は見づらい」、「使いづらい」といった理由から、ユーザー間ではスレッド表示についての評価が分かれているのが実状です。
また、受信トレイの管理に手間がかかる電子メールそのものの利用も限定的になっています。スマートフォンのオンラインでのコミュニケーションでは、SlackやWhatsAppのようなメッセージングアプリが支配的になっているのです。
4. まとめ
Gmailのスレッド表示は、大容量ストレージと検索技術を前提とした革新的な機能として登場しました。しかし、現在の使用環境では、メールの見落としや混乱を招く原因となることが多くあります。設定画面から簡単に解除できるため、使いにくさを感じている場合は変更を検討してみてください。時系列表示により、より直感的で効率的なメール管理が可能になります。
- Outlookはリスト(個別)表示であるため、スレッド表示に慣れたGmailユーザーとOutlookユーザーでは表示方式の違いによる使いにくさを感じる – Gmailのスレッド表示の解除方法【画像付きで解説】 | 株式会社セレブリックス
- Gmailでは次の条件が満たされているとメールがスレッド化される:受信者、送信者、件名が以前のメールと同じ・参照ヘッダーのIDが同じ・1週間以内に送信されている – スレッド形式での表示を解除 | Gmailの使い方
- これまでPC版のGmailでしか設定できなかった「スレッド表示の解除」が、2018年8月にスマートフォン版のGmailアプリでも可能になった – 【Gmail新機能】スマホアプリでも「スレッド表示の解除」が可能に!(Android/iPhone) | Gmail | できるネット
- 2010年9月30日にGoogleから「Gmail でメールスレッドの解除ができるようになりました」と発表された – Google Workspace Updates JA: Gmail: スレッドの解除ができるように
- Gmailは2004年4月1日にベータ版としてサービスを開始し、エイプリルフールの発表だったため当初は冗談と思われていた – Gmail – Wikipedia
- 当時の他社フリーメールサービスは数MBから数百MBの容量だったため、1GBは文字通りケタ違いのサービスとして驚きを与えた – サービス開始から10年を迎えたGmailの開発秘話や現在、そして今後の課題など – GIGAZINE
- ポール・ブックハイトはGoogleの23番目の従業員で、Gmailの開発に2001年8月から携わり、Gmail以外にもGoogle AdSenseのプロトタイプやGoogleのモットー「Don’t be evil」も考案した – ポール・ブックハイト – Wikipedia