Vリーグのチケット購入で4つのアカウントが必要な理由と、その仕組みを解説

Vリーグの試合を観戦しようとチケットを買おうとしたとき、多くの人が戸惑うのが「アカウントの多さ」です。サントリーサンバーズ大阪のレッド会員として先行予約でチケットを購入する場合、実は4つのアカウントが必要になります。なぜこんなに複雑なのか、そしてどう使い分ければいいのか。実際の購入体験をもとに、その仕組みを整理してみました。

必要な4つのアカウントとその役割

チケット購入には、サントリーアカウント、サンバーズ公式LINE、VメンバーID、AXSアカウントの4つが必要です。

先行購入コード、VメンバーIDとAXSアカウントの連携 先行購入コード 入力 VメンバーID 会員認証 AXSアカウント サインイン メールアドレスで情報共有 VメンバーID側:「この人は会員です」 AXSアカウント側:会員情報を受け取る 別のメールアドレスで登録すると紐付かず 先行販売にアクセスできない

VメンバーIDは、チケット販売サイト「チケットV」でファンクラブ会員であることを認証するためのIDです。先行販売など会員限定のチケット販売にアクセスする際、このIDで「あなたは会員ですね」と確認されます。

AXSアカウントは、実際にチケットを購入・管理するためのアカウントです。座席を選んで支払いをしたり、購入後のチケットを受け取ったりする際に使います。AXSは世界的なチケット販売会社のシステムで、コンサートやスポーツイベントなど様々な場面で使用されていますAXSは世界的なチケット販売会社のシステムで、コンサートやスポーツイベントなど様々な場面で使用されています1

会員番号と先行購入コードの違い

サンバーズ公式LINEは、サントリーアカウントと連携させて使います。

サントリーアカウントは、サントリーグループ全体のサービスを利用するための基盤となるアカウントです。お酒の通販やキャンペーン応募など、スポーツ以外でも使われている既存のシステムです。ファンクラブ「サンバーズフレンズ」に入会する際、このアカウントが必須となります。

連携が完了すると、メニューから開いた「LINE会員証」には2つの番号が表示されます。

出典:2024-25 大阪ブルテオン戦のサンバーズフレンズ(ファンクラブ)会員先行販売について
  • 会員番号は数字のみ(0から始まる6桁)で、事務局からのメール通知や会場でのグッズ購入時の識別に使われます。
  • 先行購入コードはレッド会員なら「RD」で始まる英数字で、チケット先行販売の際に入力する認証キーです2

この先行購入コードこそが、先行予約でチケットを買うための鍵となります。購入時には、会員番号は入力しません3。レッド会員の場合、先行販売は一般販売より早くチケットが買えて、1枚につき100円の割引(上限2枚)があります4。先行購入コードは個人専用なので、他人に教えてはいけません。

VメンバーIDとAXSアカウントの連携の仕組み

チケットVでチケットを買うとき、VメンバーIDとAXSアカウントという2つのアカウントが同時に必要になります。この2つは必ず同じメールアドレスで作成しなければなりません。

仕組みはこうです。まず、先行購入コードを入力してチケット販売ページにアクセスします。するとVメンバーIDで認証が行われ、「この人はファンクラブ会員だ」と確認されます。次に、AXSアカウントでサインインして、実際の座席選択と支払いに進みます。

両方のシステムは裏側でメールアドレスをキーとして情報を共有しています。VメンバーID側が持つ「この人は会員です」という情報が、メールアドレスを通じてAXSアカウント側に引き継がれます。これにより、AXSアカウントで「この人は会員だから先行販売にアクセスできる」と判断される仕組みです。

もし別々のメールアドレスで登録してしまうと、2つのアカウントが紐付かず、先行販売にアクセスできなくなります。だから「必ず同じメールアドレス」という注意書きが重要なのです。

なぜこんなに複雑なのか

1つのアカウントで完結しない理由は、複数の組織と既存システムが絡み合っているからです。

3つのアカウントが必要な理由 サントリー 企業スポンサー 既存システム 何百万人が登録済 サントリーアカウント 公式LINE ファンクラブ管理 Vリーグ リーグ機構 全チーム統一 リーグ全体で共通化 チケットV VメンバーID 会員認証レイヤー AXS 外部チケット会社 専門システム 世界的に利用 AXSアカウント 決済システム 入場管理 既存システムを組み合わせてコスト削減 → 複数アカウント必要に
  • サントリーは企業スポンサーとしてチームを運営し、サンバーズフレンズというファンクラブを管理しています。
  • 一方、Vリーグはリーグ機構として全チーム共通のチケット販売システムを提供しています。
  • そして実際のチケット販売と決済には、外部のチケット会社であるAXSのシステムが使われています。

それぞれが別々のシステムを持っているため、アカウントも別々になっています。

  • サントリーアカウントは元々、お酒の通販やキャンペーン応募など、スポーツ以外でも使用されている既存システムです。すでに何百万人も登録しているこのシステムを、新しく作り直すのはコストがかかります。
  • AXSも同様で、世界的に使われている専門的な決済・入場管理システムです。
  • チケットVは、この既存のAXSシステムの上に、Vリーグ用の認証レイヤーを追加したものです。新しく1から作るより、既存システムを組み合わせた方がコストが安く済みます。

Vリーグは「リーグ全体で統一システムを使えば便利」という意図で設計されました。サンバーズだけでなく、東レアローズやパナソニックパンサーズなど、すべてのチームが同じチケットVを使っています5。しかし、各チームのファンクラブ情報を共通のチケットシステムに連携させる必要が生じ、結果的に複雑になってしまったのです。

歴史的な経緯も影響しています。

  • 最初にサントリーアカウントという企業の既存システムがあり、チーム発足時にファンクラブをそこで管理し始めました。
  • その後Vリーグが発足し、リーグ全体で統一チケットシステムを導入することになりました。
  • 既存のファンクラブ情報と新しいチケットシステムを繋ぐ必要が出たため、段階的にシステムが追加されていきました。

つまり、組織の都合とコスト削減のため、既存システムを組み合わせた結果、利用者側が複数のアカウントを作る手間を負うことになったのです。

実際の購入手順

サントリーアカウントと公式LINEの連携、チケットVのアカウント作成の準備が整ったら、実際のチケット購入に進みます。

チケット購入手順(アカウント準備済み) 1 公式LINEで先行購入コード確認 2 チケットVで試合選択 3 先行購入コード入力・認証 4 ログイン→座席選択→決済 5 スマートVアプリで受取 LINE会員証 先行購入コード: RD12345AB ※「RD」で始まる英数字 ログイン情報 チケットVと同じメールアドレス とパスワードでログイン 受取方法 モバイルIDチケット(推奨) または 紙チケット(PDF) 重要 会員番号は入力不要

まず、公式LINEで先行購入コードを確認します。LINE会員証を開くと、「先行購入コード」という項目に「RD」で始まる英数字が表示されています。このコードをメモしておきます。

チケット販売開始時刻になったら、チケットVのサイトにアクセスします。購入したい試合を選び、先行購入コードの入力画面で、先ほど確認したコードを入力します。これでファンクラブ会員として認証されます。

次に、VメンバーIDとAXSアカウントでログインします。チケットVで登録したメールアドレスとパスワードを入力すると、座席選択画面に進めます。希望する座席を選択し、受取方法を選びます。モバイルIDチケット(スマートVアプリ)か紙チケット(PDF)のどちらかです。

支払い方法を選択して決済を完了すると、登録したメールアドレスに購入完了メールが届きます。

チケットの受け取りと入場

モバイルIDチケットを選んだ場合、購入したチケットを使うには、スマートVアプリが必要です6

チケットの受け取りと入場 2つの受取方法から選択 モバイルIDチケット (推奨) QR ✓ 紛失リスクなし ✓ 即受取可能 ✓ 譲渡・リセール可 紙チケット(PDF) • 自宅で印刷 • コンビニ印刷 • アプリ不要 試合当日 アプリでQRコード表示 → 入場ゲートでスキャン → 入場

スマートVアプリは、SV.LEAGUE公式アプリという名称で、チケット機能以外に試合スケジュールの確認や選手のデジタルカード収集もできます。ログインには、チケットVで登録したメールアドレスとパスワードを使います。ログインすると、購入したチケットが自動で表示される仕組みです。

厳密には、チケットの受け取り方法は2種類あります。

  • モバイルIDチケット(スマホ受取)と
  • 紙チケット(eチケットPDF)です。

モバイルIDチケットが主流です。スマートVアプリにログインすると、購入したチケットが自動で表示されるため、当日はアプリでQRコードを見せれば入場します。紙チケットと違って紛失の心配がなく、譲渡やリセールもアプリ内で簡単にできます。

ただし、注意点として、入場時にインターネット接続が必要です。推奨環境はiPhoneならiOS 13.0以上、AndroidならOS 7.0以上です7

まとめ

Vリーグのチケット購入には、サントリーアカウント、サンバーズ公式LINE、VメンバーID、AXSアカウントの4つが必要です。VメンバーIDとAXSアカウントは同じメールアドレスで作成し、バックエンドで会員情報を連携させます。複雑な理由は、複数組織の既存システムを組み合わせたためです。チケットの受け取りと入場にはスマートVアプリを使用し、チケットVと同じ認証情報でログインします。


  1. AXSは米国を中心に世界的に展開するチケット販売・管理システムで、コンサート、スポーツイベント、演劇など多様なエンターテイメント分野で利用されています。日本国内でもVリーグやラグビーリーグワンなどのスポーツイベントで採用されています。 – AXS – Official Tickets and Your Source for Live Entertainmentチケットマスター、AXSを使いこなそう チケットの買い方
  2. サントリーサンバーズ大阪公式サイトによると、チケット先行購入コードは会員カテゴリーごとに異なり、プレミアム会員がPRから、プラチナ会員がPLから、ゴールド会員がGLから、レッド会員がRDから始まる英数字となっています。 – サンバーズフレンズの会員番号とチケット先行購入コードに関するお知らせ
  3. 公式サイトにも「チケット購入時には会員番号は不要です」と明記されています。
  4. 2025-26シーズンのサンバーズフレンズ会員特典において、レッド会員は「チケット先行販売、毎試合チケット100円(上限2枚)割引」の特典が提供されます。 – 【サンバーズフレンズ】2025-26シーズン入会のご案内
  5. チケットVは2024-25シーズンから開始されたSV.LEAGUE公式チケット販売サイトで、全チームの試合チケットを統一的に販売しています。サントリーサンバーズ大阪、NECレッドロケッツ川崎、ウルフドッグス名古屋など、各チームのホームゲームチケットはすべてチケットVで購入できます。 – 公式チケット販売サイト「チケットV 」フルオープンのお知らせチケット情報 | NECレッドロケッツ川崎公式サイト
  6. モバイルIDチケット(電子チケット)を選択した場合、SV.LEAGUE公式アプリ「スマートV」が必要です。ただし、紙チケット(eチケットPDF)を選択すれば、アプリなしでも自宅またはコンビニで印刷して入場できます。 – SV.LEAGUE公式アプリ「スマートV」ご利用ガイド| チケットV
  7. スマートVアプリの公式推奨環境は、iPhoneがiOS 14以上、AndroidがOS 7.1以上です。また入場時にはインターネット接続が必要となります。 – SV.LEAGUE公式アプリ「スマートV」SV.LEAGUE公式アプリ「スマートV」 – Google Play