[Windows 11]「バックアップと復元(Windows 7)」がスケジュール通りに実行されない?

Windows 11で外付けHDDに定期的にシステムをバックアップするように設定しています。「バックアップと復元(Windows 7)」です。ところが、毎日自動で実行されるはずなのに、気づくとバックアップが失敗していることが多いんです。ただし、手動で実行すると時間はかかるものの成功します。

Windows標準のバックアップ機能は、やっぱりちょっと不安定で、長年の歴史がある一方で、古い設計のまま改善されていない部分もあるようです1。特に外付けHDDを使う場合、USBの接続状態やドライブの認識タイミングなど、微妙な条件で失敗しやすい。同じような症状で困っている人は多いようで、手動では成功するのにスケジュール実行では失敗する、というパターンは海外のフォーラムでも同様の報告が数多く見つかりました2

外付けドライブの接続設定

スケジュールバックアップの失敗は、複数の要因が絡み合って起こります。USB電源管理、VSSサービス、システムファイルの破損、ディスクエラー。

対処手順:優先度順に試す 1 USB電源管理を無効化 2 VSSサービス確認・再起動 3 SFC・DISM実行 4 chkdsk実行

これらを一つずつチェックして対処することで、多くの場合は改善します。

外付けHDDが低電力モードになっている?

最も多く報告されているのが、「外付けHDDが正しく認識されていない」という問題です3

USB選択的サスペンド 問題 💤 省電力モード 外付けHDD 電源OFF 対策 解決 ⚡ 常時起動 外付けHDD 電源ON デバイスマネージャー → USB Root Hub → 電源管理 → 「電源OFFを許可」を無効化

特に、Windows 11には「USB選択的サスペンド」という省電力機能があります4。これは使っていないUSB機器の電源を自動的に切る機能なんですが、この機能がバックアップ時に問題を起こすことがあるんです5

実際に確認してみることにしました。

  1. Windowsキー + Xを押して、「デバイスマネージャー」を選択します。
  2. 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」の項目を展開すると、いくつかの「USB Root Hub」や「USBハブ」といった項目が表示されます。それぞれを右クリックして「プロパティ」を開きます。
  3. 電源の管理」タブを見ると、「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」というチェックボックスがあります。このチェックを外します。すべてのUSB関連デバイスで同じ操作を繰り返しました。
  4. 設定を変更したら、パソコンを再起動します。

この手順だけで解決する場合も多いようです。

スケジュールされた時刻になると、Windowsはバックアップを開始しようとします。でも、その時に外付けHDDが省電力モードで電源が切れていたら?バックアップは失敗してしまいます。また、バックアップに時間がかかりすぎると、途中でタイムアウトしてしまうケースもあるようです。

一方、手動実行では成功するのは、タイムアウトの制限が緩いからかもしれません。私たちがパソコンの前にいてマウスやキーボードを操作しているので、外付けHDDも起きている状態で、だから成功するわけですね。

複数の外付けドライブを使っている?

ある事例では、複数の外付けHDDをローテーションで使っている環境で、「最初に設定したドライブが接続されていないと失敗する」という報告もありました6。つまり、2台目、3台目のドライブに切り替えても認識されない、ということですね。

システムの不具合や破損

Volume Shadow Copy(VSS)の問題

Windowsのバックアップ機能は、「Volume Shadow Copy Service(VSS)」という仕組みを使っています7。このVSSのサービスが正しく動いていないと、バックアップは失敗します。

Volume Shadow Copy(VSS) VSSの役割 使用中のファイルもバックアップ可能に 1 Win + R → services.msc 2 Volume Shadow Copy を検索 3 スタートアップ:手動(OK) ※エラー時はサービス再起動

Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開き、services.mscと入力してEnterを押します。

VSSは、ファイルが使用中であってもバックアップできるようにする技術です。例えば、Wordで文書を編集している最中でも、その文書をバックアップできる。これがVSSの役割なんですね。

サービスの一覧が表示されるので、「Volume Shadow Copy」を探します。このサービスの「スタートアップの種類」が「手動」になっていればデフォルトの設定で正常です8。もし、サービスがエラーで停止していたり、起動に失敗していたりすれば、サービスを右クリックして「開始」を選択してみます。

システムファイルの破損

もしVSSサービスが起動せずエラーが出る場合は、システムファイルの破損が考えられます。長く使っているパソコンでは、これもバックアップ失敗の原因になります。

システムファイルが破損していることがあります。

システムファイルの破損 ステップ1:SFC sfc /scannow 基本修復(15〜30分) ステップ2:DISM DISM /Restorehealth 深層修復(約1時間) ⚠ 管理者権限で実行 処理完了後、必ず再起動

Windowsには、システムファイルを自動で修復する機能があります。

スタートボタンを右クリックして「ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択します。

まず、基本的なシステムファイルチェックを実行します9

sfc /scannow

「破損したファイルが見つかり、正常に修復されました」と表示されれば、改善しているかもしれません。「整合性違反が見つかりませんでした」と表示されれば、ここには問題はありません。

もし修復できなかったときには、DISMというより強力なツールを使います10

DISM.exe /Online /Cleanup-image /Scanhealth

このコマンドで問題が検出されたら、次のコマンドで修復します。

DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth

この処理はかなり時間がかかります(1時間ほど)。

外付けHDD自体のエラー

あるいは、外付けHDD自体に問題がある可能性も考えられます。管理者権限でコマンドプロンプトを開いて、次のコマンドを実行します(Eは外付けHDDのドライブレター)11

chkdsk E: /f /r
Code language: JavaScript (javascript)

/fオプションはエラーを修復し、/rオプションは不良セクタを見つけて読み取り可能な情報を回復します。外付けHDDの容量にもよりますが、この処理も相当時間がかかります。

【補足】自動実行と手動実行の「権限」

ちなみに、スケジュール実行と手動実行では、実行される「権限」にも違いがあります。

実行アカウントの違い 手動実行 👤 ユーザー アカウント 通常権限 スケジュール実行 SYSTEM アカウント 特別権限(制限あり) 権限の違いがアクセスエラーの原因に
  • 手動でバックアップを実行する場合、実行しているのはログインしているユーザー自身です。
  • 一方、スケジュールで自動実行される場合は、Windowsの「SYSTEMアカウント」という特別なアカウントが実行します12

このSYSTEMアカウントは、ユーザーがログインしていなくてもバックグラウンドで動作できるように設計されていますが、その分アクセスできる範囲に制限がある場合があります。

まとめ

大切なデータを守るためには、バックアップは必須です。重要なのは、バックアップが成功しているかどうかを定期的に確認することです。「自動だから大丈夫」と思い込まず、週に一度くらいは結果をチェックする習慣をつけたいですね。

  1. Windows標準のバックアップ機能(Backup and Restore (Windows 7))は、多くのユーザーから不安定さが指摘されています。フォーラムでは、何年も前から同様の問題が報告され続けており、根本的な解決には至っていないことが確認できます。特に外付けHDDを使用する場合、接続状態やタイミングなど微妙な条件で失敗しやすい傾向があります。 – Backup Fail | Windows 11 ForumIs Windows 11/Windows 10 Backup Not Working? Fix ItScheduled Backup Fails Yet Manual Backup Succeeds
  2. Windows Server BackupやWindows標準のバックアップ機能において、スケジュール実行では失敗するが手動実行では成功するという問題は、多くのユーザーから報告されています。主な原因として、外付けHDDの認識タイミング、権限の問題、USB電源管理などが挙げられています。 – 2008R2 backup – fails every time when scheduled; works every time when run manuallyScheduled Backup Fails Yet Manual Backup SucceedsScheduled Backup Fails which manual works
  3. スケジュールバックアップ失敗の最も一般的な原因は、バックアップ実行時に外付けHDDが利用可能でないことです。USB電源管理による自動スリープ、ドライブレターの問題、複数ドライブのローテーション時の認識エラーなどが報告されています。 – [Solved] Windows Server Backup Schedule Not Running Error](https://www.ubackup.com/windows-server/windows-server-backup-schedule-not-running-4348.html) – 2008R2 backup – fails every time when scheduled; works every time when run manuallyWhy does Windows 11 keep losing my USB hard drive connection
  4. USB選択的サスペンドは、使用していないUSBデバイスを自動的に低電力モードにする機能で、特にノートPCのバッテリー節約に有効です。ただし、バックアップなど重要な処理を行うUSBデバイスでは、この機能が原因でアクセスエラーが発生することがあります。 – What is USB Selective Suspend in Windows?Enable or Disable USB Selective Suspend in Windows 11Why does Windows 11 keep losing my USB hard drive connection
  5. USB選択的サスペンドは、使用していないUSBデバイスを自動的に低電力モードにする機能で、特にノートPCのバッテリー節約に有効です。ただし、バックアップなど重要な処理を行うUSBデバイスでは、この機能が原因でアクセスエラーが発生することがあります。フォーラムでも、この機能を無効化することで問題が解決したという報告が多数あります。 – What is USB Selective Suspend in Windows?Enable or Disable USB Selective Suspend in Windows 11 – [SOLVED] – Usb ports shuts down when transfering heavy files](https://forums.tomshardware.com/threads/usb-ports-shuts-down-when-transfering-heavy-files.3739726/)
  6. Windows Server Backupで複数の外付けHDDをローテーション使用する場合、最初に設定したドライブが接続されていないとバックアップが失敗するという問題が報告されています。これは、バックアップスケジュールが特定のドライブを期待しているため、他のドライブに切り替えても認識されないことが原因です。 – 2008R2 backup – fails every time when scheduled; works every time when run manually – [Solved] Windows Server Backup Schedule Not Running Error](https://www.ubackup.com/windows-server/windows-server-backup-schedule-not-running-4348.html)
  7. Volume Shadow Copy Service(VSS)は、Windows Server 2003以降に搭載された技術で、ファイルが使用中であってもバックアップを可能にします。VSSは、バックアップアプリケーション、ライター、プロバイダーの連携により、整合性のある時点コピー(スナップショット)を作成します。 – Volume Shadow Copy Service (VSS) | Microsoft LearnHow to Use Volume Shadow Copy in Windows 10/11 for BackupVolume Shadow Copy (VSS) Information and Troubleshooting
  8. VSSサービスのデフォルトのスタートアップ種類は「手動」です。これは、バックアッププログラムなどがVSSを必要とする際に、Windowsが自動的にサービスを開始するように設計されているためです。常時起動させる必要はなく、手動設定が正常な状態です。 – Volume Shadow Copy Service (VSS) Information and TroubleshootingVolume Shadow Copy (VSS) Service Defaults in Windows 10Volume Shadow Copy – Windows 10 Service
  9. System File Checker(SFC)は、Windowsに組み込まれたユーティリティで、保護されたシステムファイルの整合性をスキャンし、破損したファイルを正しいバージョンに置き換えます。/scannowパラメータは、すべてのシステムファイルの完全なスキャンと修復を実行します。 – Running backup successfully with win11Windows backup not working, failed or did not complete successfullyWhat to Do When You Encounter the Windows 11 Backup Error?
  10. DISM(Deployment Image Servicing and Management)は、SFCよりも深いレベルでWindowsイメージの修復を行うツールです。/Restorehealthパラメータは、Windows Updateを使用して破損したシステムファイルを修復します。SFCで修復できない問題がある場合に使用します。 – Running backup successfully with win11What to Do When You Encounter the Windows 11 Backup Error?Windows backup not working, failed or did not complete successfully
  11. chkdskは、ファイルシステムとファイルシステムメタデータをチェックし、論理的および物理的エラーを修復するWindowsの組み込みユーティリティです。/fパラメータはファイルシステムエラーを修復し、/rパラメータは不良セクタを検出して読み取り可能なデータを回復します。/rは/fの機能も含むため、両方を指定する必要があります。 – chkdsk | Microsoft LearnCHKDSK Repair Command Chkdsk f or Chkdsk rHow to Use CHKDSK Commands to Scan and Repair Hard Drives
  12. Windowsのスケジュールタスクは通常、SYSTEMアカウントまたは指定されたユーザーアカウントで実行されます。バックアップタスクは多くの場合、SYSTEMアカウントで実行されるため、手動実行時のユーザー権限とは異なる権限の問題が発生する可能性があります。 – Should I be running my scheduled backups as SYSTEM or as the our domain admin?How to Schedule Windows Server BackupCustomizing Windows Server Backup Schedule