僕は普段、Chrome リモートデスクトップを使って自宅のデスクトップPCに外出先からアクセスしています。
メールチェックや簡単な書類作成には十分なんですが、ちょっと動画を確認したり、画像編集をしようとすると、どうしても遅延が気になるんですよね。
文字入力でさえ、キーを押してから画面に反映されるまでのタイムラグが微妙にストレスで。
「リモートだから仕方ない、0.3秒くらいの遅延は限界なんだろう」と諦めていたんです。

そんなとき、ゲーマー向けのリモートデスクトップソフト「Parsec」というものがあると知りました3。
1. Parsecって何?
Parsecは2016年にリリースされ、2021年にUnityが買収したリモートデスクトップアプリです4。

もともとは「オフラインの協力プレイゲームを、オンラインで友達と遊べるようにする」という目的で作られたので、格闘ゲームやレースゲームのような、1フレーム単位の操作精度が求められるゲームでも快適に動かせることを目指しているんですね。6。ただし、現在のキャッチコピーは「Connect to Work or Games from Anywhere」で、ゲームだけでなく作業向けも想定されています。
1.1. ホストコンピュータにつなぐには?(アカウントベースの認証)
リモートデスクトップの仕組み自体はシンプルです。
操作される側のPC(ホスト)の画面を映像として圧縮し、ネットワーク経由で操作する側のデバイス(クライアント)に送信する。
クライアント側では、その映像を展開して表示しつつ、キーボードやマウスの操作情報をホストに送り返す。
この一連の流れです。
どうすれば、自分のコンピュータをリモート操作できる状態にできるの?
Parsecの接続は、アカウントベースの認証システムを通して行います7。

ホスト側でParsecにログインし、「Hosting Enabled」を有効化すると同じアカウントで接続できるようになります。
クライアント側で同じアカウントでログインすると、「Computers」タブに表示されるホストPCのリストから選択できます。
また、友人とのゲーム共有などでは、ホスト側が「Share」ボタンを押して共有リンク(URL)を生成します。
友人がそのURLにアクセスして接続リクエストし、ホスト側が「Accept」で承認します。
1.2. Chrome リモートデスクトップとの設計の違い
| 項目 | Parsec | Chrome リモートデスクトップ |
|---|---|---|
| 主な用途 | ゲーム、動画編集、クリエイティブ作業 | 一般的な事務作業、サポート |
| 料金 | 個人非商用:無料 / 商用:月額9.99ドル | 完全無料 |
| こんな人におすすめ | 遅延に敏感、ゲームや動画編集したい | 簡単に使いたい、事務作業メイン |
| 遅延(LAN内) | 16〜50ms(超低遅延) | 100〜200ms |
| 対応デバイス | Windows、macOS、Android、Linux | Windows、macOS、iOS、Android、Chrome OS |
| 設定の簡単さ | やや手間がかかる | 非常に簡単 |
Chrome リモートデスクトップが「メールやドキュメント作業ができればOK」という設計なのに対し、Parsecは「ゲームの微細な操作もできる」レベルを目指している。
ここが根本的な違いです。
遅延が発生する主な原因は3つあります。
映像を圧縮・展開する処理時間、
ネットワークでデータを転送する時間、
そして画質や解像度が高いほどデータ量が増えることによる影響。
Chrome リモートデスクトップでは、これらを合計すると100〜200ミリ秒、つまり0.1〜0.2秒くらいの遅延が一般的です。一方、Parsecの遅延は驚くほど小さいことがわかりました。
同一LAN内のWindows PC同士で接続した場合、60fpsの映像で1〜2フレーム程度、つまり約16〜33ミリ秒の遅延しかないという報告があります9。
実際に使ったユーザーのレビューを見ると、「全画面表示にすると、リモートで動かしていることを完全に忘れてしまう」「遅延がほぼなく、マウスポインターもサクサク」といった声が目立ちました10。
外部ネットワーク経由だとさすがに環境次第ですが、それでも50〜200ミリ秒程度に収まるケースが多いようです。ただし、回線速度が10Mbps程度だと画面が歪むという報告もあったので、ある程度の通信環境は必要ですね11。
1.3. 料金と対応環境
Parsecの料金体系は明快です。
- 個人の非商用利用なら基本無料。
ただし、デュアルディスプレイなどの一部機能に制限があります。 - 個人で商用利用する場合は月額9.99ドル、
年契約なら月額8ドル(約900円)です12。
対応環境はWindows、macOS、Android、Linuxですが、最も安定しているのはWindows同士の接続です。macOSは2021年8月からホスト機能に対応しましたが、まだベータ版扱いで不具合も報告されています13。iOSには非対応なので、iPhoneからは使えません。ブラウザ版もあるんですが、こちらはパフォーマンスが極端に落ちるため、ネイティブアプリのインストールがほぼ必須と考えた方が良さそうです14。
2. どんな用途を想定しているのか
Parsecの主な用途は、
- 1つ目は本来の目的である、オフライン協力プレイのオンライン化。
同じ部屋で2人プレイするゲームを、離れた場所の友人と遊べるようにするわけです。 - 2つ目は、モバイルゲーミング。
Android端末や古い低スペックノートPCからでも、通信環境さえ良ければ高性能PCゲームにアクセスできる可能性があります。 - 3つ目は、個人の高性能PCへのリモートアクセス。
自宅のゲーミングPCに外出先のノートPCやタブレットから接続して、重いゲームをプレイする。あるいは「寝室に持ち込む軽量ノートPCから、常時稼働の高性能デスクトップを操作する」といった使い方ですね15。
動画編集やゲーム開発、3Dデザインなど、リアルタイムプレビューが重要な作業でもストレスなく操作できるのが強みです16。
つまり、Parsecは「あなた個人が所有する高性能PC 1台を、複数の場所・デバイスから快適に使うためのツール」という位置づけです。ただし、企業の大規模リモートワーク環境や、複数人が同時に別々の作業をする共用サーバーとしては想定されていません。
2.1. 古いクライアントPCでも使えるのか?
ここで1つ疑問が湧きました。僕は古めのノートPCをクライアント側で使っているんですが、Chrome リモートデスクトップでも結構負荷が大きくて動作が重いんです。Parsecにすれば、この問題は解決するんでしょうか?
結論から言うと、根本的には解決しません。
リモートデスクトップでは、クライアント側でも映像のデコード(受信した圧縮映像を展開する処理)や画面描画が必要です。これはどのソフトを使っても避けられません。実際、低スペックのノートPCとLinuxの組み合わせでは、解像度を下げないと遅延が発生したという報告がありました17。
ただし、Parsecの方がエンコード効率が良いため、同じ画質ならデータ量が少なく、デコード処理も軽い場合があります。また、遅延が大幅に減ることで、文字入力のストレスがほぼなくなるという体感的な改善は期待できそうです。
古いPCで快適に使うコツは、解像度を下げることとフレームレートを調整すること。60fpsを30fpsにするだけで負荷は半分になります。あとは、Wi-Fiより有線LAN接続の方が安定してCPU負荷も軽減されます。
3. やってみる価値はあるか
今回調べて感じたのは、「Chrome リモートデスクトップで遅延に不満を感じているなら、Parsecは試す価値が十分にある」ということです。
- 特に、動画確認や画像編集、ちょっとしたゲームなど、リアルタイム性が求められる作業をリモートでやりたい人には向いています。文字入力のストレスも確実に減るでしょう。
- 一方で、単純な事務作業だけならChrome リモートデスクトップで十分かもしれません。
- また、複数人で同時に別々の作業をする用途には向いていないので、その場合はVDI(仮想デスクトップ基盤)やクラウドPCを検討した方が良いですね。
- Parsec support
- Parsec support
- 創好リナ ?? バーチャルイキリプログラマさん: 「@T_kenki すぐできるものだとparsecを使えば200msくらい(環境によっては100ms切るかも)でできそうです 逆にそれ以下になると結構専門的なことをコスト掛けてやらないといけない上に安定するかもギャンブル気味なのでコスパ悪そうです」 / X
- Parsecは2016年にリリースされたリモートデスクトップアプリで、2021年にUnityが買収しました – Parsecを使ってリモートデスクトップ接続してみたメモ。遅延なしで快適にゲームもできてびびったΣ(゚Д゚) | 神部まゆみのブログ
- Parsec support
- 公式の説明では「オフライン対戦ゲームをオンラインでも友達と遊べるようにしちゃおう!なソフト」として紹介されており、遅延にシビアなゲームをターゲットに開発されています – Parsecでお手軽低遅延リモートデスクトップ!
- IPアドレスを直接指定するのではなく、アカウント経由でホストを特定する仕組みです。
- Parsec support
- 実際のユーザーレビューでは「私の環境では(60fpsの場合)遅延は1フレームか2フレーム程度。リモートでコーディングなどをしている分にはストレスはほとんど感じません」と報告されています – Parsec のダウンロード・使い方 – フリーソフト100
- Windows同士の接続では「全く遅延がない。全画面表示にすると、リモートで動かしていることを完全に忘れてしまう」という体験が報告されています – リモートデスクトップのParsecがすごすぎる – 覚えられませんっ
- VRChatをリモートでプレイした際、「10Mbpsの通信速度だと画面が歪んでちょっとVRでのプレイは難しそう」という実験結果が報告されています – 【Parsec】ノートパソコンでリモートデスクトップを用いてゲームをできる環境構築(MacBook /VRChat)|河井
- 非商用の個人利用は無料で、商用利用の場合は月額9.99ドル、年契約では月額8ドルという料金体系です – Parsecでリモートワークを快適に!おすすめな理由とは?低遅延ってホント?価格やダウンロードについて | ケルべログ
- Parsecは「21年8月にプレビューモード(いわゆるβ)としてリリースがされました」とあり、macOSのホスト機能は比較的新しい機能です – Parsecでリモートワークを快適に!おすすめな理由とは?低遅延ってホント?価格やダウンロードについて | ケルべログ
- ブラウザから接続する場合、「クライアント側でネイティブアプリを起動していないと、ブラウザからホストマシンのネイティブアプリへと接続しに行くようになり、パフォーマンスが極端に落ちる」と報告されています – Parsec で超低遅延なリモートデスクトップができた – Neo’s World
- 実際のユーザーが「おうち内持ち歩き寝室便所用PCで、常時稼働のhostPCをバッチリ操作できまくる」と体験を報告しています – リモートデスクトップのParsecがすごすぎる – 覚えられませんっ
- Parsecは「低遅延であるためリモートでの動画編集、ソフトウェア開発をストレスなくすることが可能」とされています – デスクトップキャプチャアプリケーション「Parsec」とは?|やすし@パソコン大好きEngineer
- ThinkPad X1 Carbon Gen6にZorin OSをインストールして接続した際、「Zorin OS側で解像度を下げないと遅延が発生する」という経験が報告されています – リモートデスクトップのParsecがすごすぎる – 覚えられませんっ