先日、Zoomのオンライン会議をしていたら、ちょっとした違和感を覚えました。
相手が話している最中に私が「なるほど」「そうですね」と相槌を打つと、なぜか相手の声のボリュームが一瞬小さくなるのです。
何度か試しても同じ現象が起こります。
実は、この現象、相手側がスピーカー出力していたことが原因でした。
Zoom会議では、音声をスピーカーではなくイヤホンやヘッドホンで聞いたほうがよいです。
それは、スピーカーからの出力音がマイクに入力してしまい、エコーしてしまうことがあるからです。Zoomアプリは自動でいろんな音を打ち消しているので、スピーカー音量が大きいと、どうしてもマイクが自動でオフになってしまうことがあります。
自分のオーディオ設定を確認する
まずは自分の環境を確認しました。


一応、Zoomの「オーディオ設定」を開き、「自動で音量を調整する」のチェックを外してみたり、「オリジナル サウンド」に切り替えたりしてテストしました。
しかし、結果は……変化なし。
やっぱり相手の声は相槌の瞬間に下がります。
この「自動で音量を調整する」は、自分の声が大きすぎたり、小さすぎたりするのを調節する機能なので、相手の声には影響しないのはもっともです。
スピーカーとエコーキャンセル
次に相手側の環境を確認すると、PCの内蔵スピーカーで音を出していました。
実は、これが重要。
私は、Zoom会議中はイヤホンを使うのですが、それは相手の音をマイクが拾わないようにするためです。
というのも、内蔵スピーカーから音を出していると、マイクが拾って干渉してしまうことがあります。
何も音声処理しなければ、「エコー」といって、自分の音声が遅れて聞こえて来たり、「ハウリング」といって、キーンという音に増幅されてしまったりします1。
ただ、Zoomアプリには「ノイズ除去」機能があり、デフォルトで「ノイズ抑制」と「エコー除去」が有効になっているからです2。


Zoomには会議中の音声が聞き取りやすいように、マイクとスピーカーの信号をリアルタイムで制御しています。エコーやハウリングにならないように、マイクの音をそのまま相手に送らずに下処理をしているのです。
Zoomの声は、一般的な音声通話よりも聞き取りやすいのですが、これは、このような音声処理のおかげです。
ただし、この「エコー除去」が動作すると、自分の声も一時的に抑えられてしまいます3。つまり、私が相槌を打つと向こう側でスピーカーが鳴り、自動的に相手のマイクが一瞬遮断されていたのです。
ちなみに、エコー除去の精度は、スピーカー音の音量やマイクとの距離、パソコンの性能によって影響を受けます4。
ノイズ除去をオフにすると?
単にノイズ除去をオフにするには、「ミュージシャン用のオリジナル サウンド」を選びます。しかし、そうすると今度は生活音の問題が発生します。
ノイズキャンセル機能では、たとえば、スーッというエアコンや冷蔵庫の音などの背景音を無音になるように打ち消しています。
そうしないと、複数人が参加するミーティングでは、ノイズだらけで聞こえにくくなってしまうからです5。
しかし、この制御は常に完璧ではありません。特にスピーカーで相手の声を再生していると、その結果、自分の声も含めて「ノイズ」や「エコー」を誤認として一時的にミュート気味にしてしまうことがあるのです6。
スピーカーからイヤホンに変えてもらう
根本的な解決方法は、スピーカーから出る音がなるべくマイクに入らないようにすることです。
たとえば、イヤホンを使ってもらえばすぐに改善。
相槌を打っても相手の声は安定して聞こえるようになります。
また、マイクとスピーカーの位置や向きを工夫することでも、改善することがあります。たとえば、指向性のあるマイクを使えば、スピーカーの音は入りにくくなります。
Zoomの「音声の自動制御」は便利ですが、Zoomの音声処理の仕組みを知らないと聞き取りにくくなってしまうことがあるのです。
オンライン会議の音が不自然に変わるときは、設定の問題だけでなく、双方のデバイス環境にも目を向けてみるといいかもしれません。
- ハウリングは、スピーカーから出た音をマイクが拾い、その音が再びスピーカーから出て、またマイクが拾うという循環が繰り返されることで発生します。 – Web会議におけるハウリング・エコーの原因とは?解決策も徹底解説!
- Zoom Meetings のプロフェッショナルなオーディオ設定
- エコーキャンセルは、適応フィルタを用いてスピーカー出力をリアルタイムで分析し、マイク入力から差し引くことでエコーを除去します。デジタルシグナルプロセッサ(DSP)または汎用プロセッサ上のソフトウェアで実装されます。 – エコー除去 – Wikipedia
- Zoomの公式サポートページでも、スピーカーから出た音がマイクに入ることでエコーが発生することが説明されており、エコー除去設定を「強度」にすることが推奨されています。 – ミーティング中のオーディオエコーを管理する
- Zoomのノイズキャンセル機能は、キーボードの入力音や生活音などの背景雑音を最小限に抑え、話し手の声を最適な音量に自動調整します。 – 【ZOOM基本のき】オーディオの設定項目で音を改善できます
- エコーキャンセルは有効ですが完璧ではありません。大音量の音声やスピーカーとマイクの位置関係によっては、エコーが残ることがあるため、ヘッドセットやイヤホンマイクの使用が推奨されます。 – エコーキャンセラーとは?エコーキャンセルの仕組みを解説します