「フリーWi-Fi」と
「FREESPOT」
(公衆Wi-Fiの仕組み)

ある日、公共施設でWi-Fiを使おうとして、ふと疑問に思いました。
「このフリーWi-Fiって、家のWi-Fiと何が違うんだろう?」
「FREESPOTって書いてあるけど、普通の無料Wi-Fiと同じなのかな?」

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1. スマートフォンとWi-Fi

自宅やオフィスのパソコンは、インターネットにつなぐ場合に、主に光回線を使います。
ケーブルを通してインターネットの入口となるサーバーに接続します。

ただし、最近はパソコンから光回線までは無線ルーターを使うことも多いです。
Wi-Fiは、家庭や職場など、その場所の無線^

2. 公共インフラ?集客ツール?

フリーWi-Fiは、全部まとめて同じものだと思っていたけど、実は目的も仕組みも全然違います。
フリーWi-Fiは「便利なオマケ」ではなく、目的別に設計されたインフラです。

公衆Wi-Fiは、その対象利用者と設置主体から、概ね4つに分けられます。

利便性による誘客防災・通信インフラの補完
キャリア系Wi-Fi契約促進通信の分散
店舗Wi-Fi来客促進・滞在
自治体Wi-Fi観光振興・住民サービス防災

「キャリア系Wi-Fi」は、携帯電話会社が提供しているWi-Fiです。
スマホ契約者向けのサービスで、SIMカードやキャリアIDで自動認証されます。
通信は安定していますが、「契約者向け」が前提です。

「店舗Wi-Fi」は、カフェやショッピングモールのWi-Fiですね。
来店者向けサービス」で、イオンやスターバックスのWi-Fiがこれに当たります。

「観光Wi-Fi」は、旅行者・とくに訪日外国人向けに整備されたWi-Fiです。
多言語対応や、アプリを使った横断利用が特徴です。

「自治体Wi-Fi」は、市役所や図書館、避難所などで提供されるWi-Fiです。
主に住民が使う前提で、「公共インフラ」として情報アクセスや防災も強く意識されています。
災害時の住民への情報発信のために、地方自治体が自らインターネット網を用意するのは大変です。
そこで、既存施設の余剰のインターネット回線を活用できるように後押ししているのです。
ここでよく使われている仕組みのひとつが FREESPOT です。

2.1. 総務省の「公衆無線LAN環境整備支援事業」

2.1. 総務省の「公衆無線LAN環境整備支援事業」

それにともなって、無線LANビジネス推進連絡会(WiBiz)(2013年、2019年1)や公衆無線LAN認証管理機構(Wi-Cert)(2016年2)などの一般社団法人が発足しました。

2016年の熊本地震からは、地震や台風などの大規模災害時に、災害用統一SSID「00000JAPAN」が運用されるようになっています。

総務省は、2017年度から2020年にかけて「公衆無線LAN環境整備支援事業」を実施しました。

3. FREESPOTと認証サーバー

FREESPOTは、公衆Wi-Fiを運営するための“仕組みとルールの集合体” です。
FREESPOT協議会は、無線LAN機器メーカーのBuffaloが母体となって2002年に発足し、公共施設や一般店舗などで公衆Wi-Fiを提供する仕組みづくりを後押ししています。

家庭用Wi-Fiは、信頼できる少人数で使う前提ですが、公衆Wi-Fiは違います。
誰が使うか分からないので、公衆Wi-Fiを運営するには、悪質利用を抑止するために利用者の特定ができる認証利用記録(ログ)の保存が必要です。

FS-S1266 : フリースポット : FREESPOT | バッファロー
FS-S1266 : フリースポット : FREESPOT | バッファロー

インターネット接続時にFREESPOTの認証サーバーで利用者を確認します。
一度、メールアドレスと機器固有の文字列(MACアドレス)を登録すると6か月間有効です。

このような認証・記録システムを各施設・店舗が用意するのは大変で、これを提供するのが FREESPOT の役割なのです。
ログは協議会所有の認証サーバーで管理し、法令に基づく照会対応を行う仕組みになっています。

freespot.com
freespot.com

FREESPOTの認証基盤を提供することにはメーカーにもメリットがあります。
公共施設でのルーター導入にFS-M1266などの自社製品が採用されやすくなることが期待できるです。

3.1. お金は誰が払っているのか問題

もう一つ気になったのが、運営コストです。

「無料Wi-Fiなんだから、国とか企業が全部払ってるのでは?」
と思っていましたが、これも違いました。

基本的に、

  • 光回線やプロバイダ料金
  • 電気代
  • 機器の設置費用

これらは 設置している施設側の負担 です。

FREESPOTを運営する協議会や、機器メーカーは、

  • 認証サーバ
  • ログ管理
  • ルール整備

を担当しますが、回線費用までは持ちません。

無料で使えるけど、無料で維持されているわけじゃない

この構造は、かなり現実的だと感じました。

4. 防災で評価される理由

FREESPOTなどの公衆Wi-Fiが、総務省や自治体で推進されている理由の一つは、防災です。

災害時、携帯電話は停電、輻輳(つながりにくさ)、基地局の損壊に弱いです。
モバイルデータ通信は、集中して管理する仕組みだからです。

一方、公衆Wi-Fiは、生き残った回線、仮設回線、衛星通信など、回線の入口を柔軟に切り替えられます

FREESPOTは「回線そのもの」ではなく、「配る仕組み」なので、ここが強みになります。

ただし、FREESPOTは万能ではありません。

通信速度は家庭用ほど安定しないので、動画視聴や大容量通信にはあまり向いていません。

  1. 無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)は、総務省の研究会での提言を受けて、2013年1月31日に発足しました。2019年9月1日には一般社団法人に移行しています。00000JAPAN(災害時無料Wi-Fi)の運用など、無線LANの普及とビジネス推進に取り組んでいます。
  2. 一般社団法人公衆無線LAN認証管理機構(略称:Wi-Cert)は、2016年(平成28年)9月30日に設立されました。総務省による「訪日外国人に対する無料公衆無線LANサービスの利用開始手続きの簡素化・一元化に係る取組み方針」を受け、その技術仕様の普及と事業者間の円滑な連携の仕組みを整備・支援するために発足しました