MiracastとMiraScreenの意味合いの違い
(キャスト中にWi-Fiでインターネットに
つながるか)

スマートフォンの画面をテレビに映したいと思い、Miracast対応と書かれた安価なドングル(MiraScreen)を購入しました。広告には「スマホ画面をそのままTVへ」とあり、深く考えずに使えると思っていたのですが、実際に触ってみると挙動が想像と違いました。

MiracastとMiraScreenの違い スマホ Wi-Fi Direct or ルーター経由 テレビ キャスト中にインターネットは使える? 接続方式によって挙動が変わる Miracast = 専有 / Chromecast互換 = 両立可

特に戸惑ったのが、「画面を映しているときに、スマートフォンがインターネットにつながらなくなることがある」という点です。なぜそんなことが起きるのか。調べ、設定を変え、実際に操作しながら確認しました。本記事では、その過程を時系列で整理します。

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1. そもそも何が知りたかったのか

知りたかったのは、とても単純なことです。

「スマートフォンの画面をテレビに映しながら、同時にWi-Fiでインターネットを使えるのか?」

YouTubeをテレビで再生しつつ、スマートフォンで別の調べ物をしたい。この程度の使い方です。しかし、MiracastとMiraScreenという言葉が混ざり合い、仕組みが見えにくくなっていました。

2. 「Miracast」だとインターネットが切れた

まずはAndroid端末の「画面キャスト」機能から、テレビ(正確にはMiraScreen経由)に接続しました。
これはMiracastという方式です1

Miracast接続時の挙動 Wi-Fi Direct = 1対1の直接通信 家庭用ルーターを使わない Wi-Fi Direct ルーター 接続なし Web 問題:インターネットが使えない Wi-Fiがテレビとの通信に専有される

Miracastは、スマートフォンと表示機器を直接つなぐ仕組みです2。家庭用Wi-Fiルーターを使わず、2台が1対1で通信します。このとき使われるのが「Wi-Fi Direct」です。

接続すると、すぐに気づきました。スマートフォンのWi-Fi表示が変わり、インターネットに出られなくなります。ブラウザを開いてもページは読み込まれません。

理由は単純でした。スマートフォンのWi-Fiは、家庭用ルーターではなく、テレビ側との直接通信に使われていたからです。Wi-Fiが1本しかないため、同時には使えません。

この時点で、「Miracastで画面を映す=インターネットは使えない」という印象を持ちました3

3. MiraScreenはMiracast専用ではない

次に、MiraScreenの初期画面をよく見ると、Miracast以外の表示があることに気づきました。AirPlay、DLNA、そしてChromecastの文字です。

MiraScreenは機器名(複数方式対応) MiraScreen ドングル機器 Miracast Wi-Fi Direct Chromecast 互換 AirPlay DLNA 設定で方式を切り替え可能 Miracast専用機器ではない

ここで初めて、「MiraScreenはMiracastそのものではない」と理解しました。
MiraScreenは、複数の方式を切り替えて使える表示機器です。

3.1. ルーター経由モード(STAモード)を設定する

設定画面から、MiraScreenを家庭用Wi-Fiルーターに接続しました。
スマートフォンも同じWi-Fiに接続します。

この状態でYouTubeアプリを開き、キャストボタンを押しました。

4. Chromecast互換での挙動

YouTubeの映像は問題なくテレビに表示されました。
ここまではMiracastと同じように見えます。
しかし、スマートフォンの挙動が明らかに違いました。

Chromecast互換モード(ルーター経由) スマホ リモコン役 ルーター MiraScreen 再生機器 Web URL送信 指示伝達 動画取得 スマホのWi-Fiは専有されない インターネットとキャストを同時利用可能

スマートフォンはインターネットにつながったままです4
画面を消しても、動画はテレビで再生され続けます。

この時点で、「スマホ画面を飛ばしているわけではない」と気づきました。

この方式では、スマートフォンは動画のURLと再生指示を送っているだけです5
実際に動画を取得し、再生しているのはMiraScreen本体です。

例えるなら、スマートフォンはリモコンで、テレビ側がプレイヤーです。
Miracastとは役割分担がまったく違います。

5. 「スマホ画面を飛ばせる」という広告表現の正体

ここまで試して、広告の意味が分かりました。

「スマホ画面を飛ばせる」という表現は、技術的に正確な説明ではありません。
利用者の体感を優先した言い方です。

接続方式の比較 Miracast 接続方式 Wi-Fi Direct(1対1) 送信内容 画面データ全体 インターネット ✗ 使えない 適した用途 画面全体を共有 Chromecast互換 接続方式 ルーター経由 送信内容 URL・再生指示のみ インターネット ◯ 使える 適した用途 動画アプリ再生 VS

動画アプリではChromecast互換が使われ、
画面全体を共有したいときだけMiracastが使われます。
多くの人が動画を見る用途で使うため、実はChromecast互換の利用が中心になっています。

6. MiracastとMiraScreenの違いを整理する

Miracastは、スマートフォンの画面そのものをリアルタイムで送る方式です6
その代わり、Wi-Fiを専有しやすく、インターネットと両立しにくいという制約があります。

一方、MiraScreenは機器の名前であり、中身は複数方式の集合体です。
特にルーター経由で使うChromecast互換では、キャスト中もスマートフォンは普通にインターネットを使えます。

7. 実際に使って分かった限界

すべてが便利というわけではありません。
MiraScreenのChromecast互換は、公式Chromecastほど対応アプリが多くありません。
YouTubeは問題ありませんが、アプリによってはキャストボタンが出ないこともありました。

また、画面全体を見せたい用途では、結局Miracastに戻る必要があります。
その場合、インターネットが切れるという制約も残ります。

8. まとめとしての結論

私の理解では、現在の実用の中心はMiracastではありません。
多くの場面で使われているのは、ルーター経由のChromecast互換です。

「キャスト中にインターネットが使えない」と感じた場合、それはMiracastで接続している可能性が高いです。
設定と方式を切り替えると、挙動は大きく変わります。

  1. Android OS 4.2以降でMiracastが標準対応となり、多くのAndroid端末で画面キャスト機能として実装されています。ただし、Android 4.2以降でも端末によっては非対応の場合があります。 – [ケータイ用語の基礎知識]第596回:Miracastとは
  2. Wi-Fi Directは、Wi-Fi Allianceが策定した1対1の無線LAN技術で、アクセスポイントやルーターを介さずにデバイス同士が直接ピアツーピア通信を行います。Miracastはこの技術を利用して、ホストの表示データをストリーミング送信する仕組みです。 – Miracast – Wikipedia
  3. Miracastは、Wi-Fi Directの技術を利用しているため、スマートフォンからMiracast対応機器に接続すると、通常の無線LAN接続は無効化されます。このため、インターネット上のコンテンツをMiracastでテレビに表示する場合、端末側では3GやLTEといった無線LANとは別の通信方式での接続が必要となります。 – [ケータイ用語の基礎知識]第596回:Miracastとは
  4. Chromecastではスマートフォンが動画のURLと再生指示を送るだけで、実際の動画ダウンロードと再生はChromecast本体がWi-Fi経由で直接インターネットから取得して行います。そのため、スマートフォンは動画のダウンロードそのものには関与せず、長時間の動画再生でも電力消費を心配する必要がありません。 – Googleが日本のテレビに放つ刺客! 「Chromecast」の仕組みや可能性を解説
  5. Chromecast互換モードでは、スマートフォンとChromecast(またはその互換機器)が同じWi-Fiルーター経由で接続され、スマートフォンがリモコンの役割を果たします。Chromecast本体が直接インターネットから動画を取得・再生するため、スマートフォンは通常通りインターネットを利用できます。 – Chromecast を使って画像や動画をテレビやモニターで楽しむ!
  6. Miracastは映像をH.264で圧縮して伝送し、音声はLPCM/AAC/AC3を使用します。解像度は1920×1080のフルHD(60fps)まで対応し、著作権保護技術としてHDCP2.0/2.1が採用されています。ただし、H.264による圧縮のため不可逆な劣化が生じます。 – Miracast(ミラキャスト)とは -ワイヤレスHDMI-