1. 終了処理に時間がかかっていた
Claude Desktopを閉じようとしたとき、こんな通知が出ていました。

終了処理中… Coworkは正常に終了しています。最大1分程度かかる場合があります。
チャットを終わらせるだけなのに、なぜ1分もかかるのか。
調べてみると、Claude DesktopにはCoworkという機能が搭載されていて、ファイル操作やコード実行をClaudeが代わりにこなすエージェント機能とのことでした1。そしてその裏では、Ubuntu 22.04のLinux仮想マシンが丸ごと動いていました2。
終了処理に時間がかかっていたのは、そのVMをシャットダウンしていたからです。
1.1. claudevm.bundle とは何か
仮想マシンのディスクイメージは ~/Library/Application Support/Claude/vm_bundles/claudevm.bundle に保存されています3。
これはOSごと丸ごと入っているためで、展開すると10GB前後になります。
ただし rootfs.img はスパースファイルという形式で保存されていて、見かけ上のサイズと実際のディスク占有量が異なります4。
2. Claudeのコード実行環境は3種類ある
Claudeがコードを実行する仕組みを整理すると、大きく3つに分かれます。
| 実行場所 | ローカルファイル へのアクセス | ホストOSへの影響 | |
|---|---|---|---|
| Code Interpreter | Anthropicサーバー | 不可 | なし |
| Claude Code | ホストOS直接 | 可 | あり |
| Cowork | Mac内のUbuntu VM | 可 | 基本なし |
2.1. Code Interpreter(claude.aiのチャット)
claude.aiのチャット画面でPythonコードを実行できる機能です5。ファイルをアップロードして処理させることができます。
実行場所はAnthropicのサーバー上のサンドボックスで、ローカルのMacには何も影響しません。自分のMacのファイルシステムには触れられないため、できることはアップロードしたファイルの範囲に限られます。
2.2. Claude Code
ターミナルで動くエージェントです6。ユーザーのmacOS上で直接シェルコマンドを実行します。~/.zshrc を編集したり git commit を走らせたりと、実環境をそのまま操作します。
サンドボックスはなく、Claudeが誤ったコマンドを実行すれば本物のファイルが消えます。権限はターミナルを起動したユーザーそのものです。速くて柔軟な反面、操作には注意が必要です。
2.3. Claude Desktop のCowork
macOSに直接触れず、Ubuntu 22.04の仮想マシンを起動してその中で作業します。claudevm.bundle はそのVMのディスクイメージです。
VM内にはさらにbubblewrapサンドボックス7とseccompフィルタ8が重ねてあり、ネットワークもpypiやnpmなど許可済みのパッケージレジストリとAnthropicのAPIにしか接続できません。Coworkが暴走しても被害はVM内に留まります。
CoworkはClaude Codeとは異なり「ローカルにアクセスできる、でもホストOSは守られる」という構成になっています。安全性と利便性のバランスをVMで取っているわけです。その分、ディスクイメージという形でストレージを消費します。
3. Coworkを使わないなら
Claude Desktopには現時点でCoworkを完全に無効化する設定がありません。
再作成を防ぎたい場合は、フォルダを読み取り専用にする方法があります。
rm -rf ~/Library/Application\ Support/Claude/vm_bundles
mkdir ~/Library/Application\ Support/Claude/vm_bundles
chmod 444 ~/Library/Application\ Support/Claude/vm_bundles
Code language: JavaScript (javascript)
これでアプリがVMイメージを書き込めなくなります9。Coworkを使おうとしたときにエラーになりますが、ストレージを消費することもなくなります。
- Coworkは2026年1月12日にClaude Max加入者向けのリサーチプレビューとしてmacOS版Claude Desktopに登場しました。その後1月16日にPro、1月23日にTeam・Enterpriseプランへも順次拡大されています。 – Introducing Cowork | Claude
- CoworkのVMはAppleのVirtualization Framework(VZVirtualMachine)を使って起動されています。開発者のSimon Willisonが、Claude Codeを使ってClaudeアプリをリバースエンジニアリングして確認しました。 – First impressions of Claude Cowork
- この現象はClaude for Mac 1.1.3963で確認されています。バージョンは「Claude」メニュー → 「Claudeについて」から確認できます。
- スパースファイルは、未書き込みの領域をゼロデータとして実際にディスクに書き込まず、メタデータだけで表現することでストレージを節約するファイル形式です。VMイメージや大容量のデータベースファイルによく使われます。macOSのAPFSはスパースファイルに対応しています。 – Sparse file – Wikipedia
- Anthropicのドキュメントでは「analysis tool」と呼ばれることもあります。ファイルのアップロードに対応しており、CSVの集計やグラフ生成などが可能です。 – Claude Help Center
- Claude Codeは2025年2月にプレビュー版が登場し、同年5月に一般提供が開始されました。もともと開発者向けのコーディングツールとして設計されましたが、実際には休暇の計画、スライド作成、メール整理など多様な用途に使われていたことが、Cowork誕生のきっかけになっています。 – Claude (language model) – Wikipedia
- bubblewrapはLinuxのFlatpakでも使われている軽量なサンドボックスツールです。新しい空のマウント名前空間を作成してホストのファイルシステムから分離し、プロセス終了後に自動クリーンアップされます。root権限なしで動作する点が特徴です。 – containers/bubblewrap – GitHub
- seccompはLinuxカーネルのセキュリティ機能で、プロセスが呼び出せるシステムコールをホワイトリストで制限します。Dockerやコンテナ技術でも広く使われており、許可されていないsyscallの呼び出しはプロセスの強制終了につながります。 – seccomp – Wikipedia
chmod 444はファイル・ディレクトリのパーミッションを「所有者・グループ・その他すべてが読み取り専用」に設定するコマンドです。書き込みビットをすべて落とすため、Coworkがイメージを再生成しようとしても失敗します。元に戻すにはchmod 755 ~/Library/Application\ Support/Claude/vm_bundlesを実行してください。