OBS StudioをIntel MacBook Airで使うと、CPUが限界に達して録画ボタンが数秒間反応しなくなることがあります。映像エンコーダをx264からApple VT H264ハードウェアエンコーダに切り替えると、動画圧縮をGPUが担うためCPUの負荷が下がります。録画フォーマットをMKVにして自動再多重化を設定すると、MP4のままでは発生していたファイル管理の処理コストが減り、ボタンの反応速度が改善します。使っていないReplay Bufferをオフにするだけで、常時20%前後のCPUを節約できます。
1. MacBook AirでOBS Studioをスムーズに動かしたい
OBS Studioで画面収録をしていると、録画中に一時停止や録画終了のボタンを押しても反応が遅くなることがあります1。
やや非力な MacBook Air 2018なので仕方ない面もありますが、少し設計を変えてみました。
環境
- MacBook Air Retina 13インチ 2018(macOS Sonoma 14.8.4)
- 1.6GHz デュアルコア Intel Core i5、Intel UHD Graphics 617、メモリ:16GB
- OBS Studio 32.0.4
1.1. 問題の状態
録画中にアクティビティモニタを確認すると、次の状態でした。
- WindowServer:96%2
- OBS Studio:60%
- replayd:19%
アイドル状態が11%しかなく、CPUがほぼ限界に達していました。
録画終了や一時停止ボタンを押しても数秒間反応しないことがありました。
2. 改善した設定
2.1. 映像エンコーダをGPUに変更する
デフォルトでは「ソフトウェア(x264)」が選ばれていました。
x264はCPUで動画を圧縮する方式で、2コアのIntel MacではCPU使用率が大きく跳ね上がります3。
そこで、Apple VT H264 ハードウェアエンコーダに変更しました。
これは、VideoToolboxというAppleのGPUエンコードAPIを使う方式です4。
GPUが動画圧縮を担うため、CPUへの負荷が大幅に下がることが期待できます。
- OBS の設定から「出力」を開く
- 出力モードを「詳細」に変更する
- 録画タブを選択する
- 映像エンコーダを「Apple VT H264 ハードウェアエンコーダ」に変更する
2.2. 録画フォーマットをMKVに変更し、自動再多重化を設定する
録画フォーマットをMP4のまま使っていると、録画中はOBSがファイルの整合性を常に管理し続けます。
これも操作の応答遅延につながります。
そこで、MKVに変更し、録画終了にMP4に変換するようにしました。
MKVはMatroskaというコンテナ形式で、録画処理が軽く、OSが停止してもファイルが壊れにくい特徴があります5。
録画後に再多重化という処理を有効にすれば、かんたんにMP4に変換できます。
再多重化とは、映像や音声データを変換せずコンテナ形式だけを変える処理です6。
- OBS の設定から「出力」を開き、録画タブを選択する
- 録画フォーマットを「Matroska Video (.mkv)」に変更する
- 「詳細設定」を開く
- 「自動的に mp4 に再多重化する」にチェックを入れる
これで録画中はMKVとして保存され、録画終了後に自動でMP4に変換されます。
2.3. Replay Bufferをオフにする
Replay Buffer機能が有効になっていると、使っていない場合でもreplaydというプロセスが常時動き続けます7。
アクティビティモニタでは19〜28%のCPUを消費していました。
変更手順は次のとおりです。
- OBS の設定から「出力」を開き、「リプレイバッファ」タブを選択する
- リプレイバッファを無効にする
3. 改善後の状態
設定変更後、OBS上のCPU表示はあまり変わった印象はなかったのですが、、一時停止や録画終了ボタンへの反応はかなりよくなりました。
4. まとめ
Intel MacでOBS Studioの動作が重いと感じたときは、次の3点を確認してみてください。
- 映像エンコーダを「Apple VT H264 ハードウェアエンコーダ」に変更する
- 録画フォーマットをMKVにして、自動再多重化でMP4に変換する
- 使っていないReplay Bufferをオフにする
とくに、MKVへの変更と自動再多重化の設定は、ボタンの反応速度に直接影響しました。
MP4のままでも録画はできますが、操作の快適さが変わります8。
- OBS Studio(Open Broadcaster Software)は、録画・配信が無料で行えるオープンソースのソフトウェアです。PCへの負荷が大きく、快適に動作させるには一定のスペックが必要です。 – MacでOBSを使う設定・録画・配信方法まで徹底解説
- WindowServerはmacOSの画面描画プロセスです。画面キャプチャやブラウザの表示、Retina解像度のスケーリング処理によって負荷が上がります。OBSで画面を録画する際は、このプロセスへの負荷もCPU全体の使用率に影響します。
- x264はCPUで動作するソフトウェアエンコーダで、ハードウェアエンコーダに比べて同じビットレートでは画質が高くなる傾向があります。ただし録画用途では処理負荷が高くなるため、ハードウェアエンコーダの使用が推奨されます。 – OBSに画質を求めるのは間違っているだろうか
- Apple VT H264 ハードウェアエンコーダは配信(ライブストリーミング)では可変ビットレートになりやすく、配信サービスとの相性問題が報告されています。録画用途では通常問題なく使用できます。 – Apple Hardware encoder vs Apple Software encoder | OBS Forums
- MP4はファイルを閉じる際にインデックスを書き込む仕組みのため、OBSのクラッシュや電源断が起きるとこのインデックスが失われ、ファイル全体が使用不能になります。MKVはインデックスに依存しない構造のため、録画が途中で止まっても書き込み済みの部分は再生できます。 – Remuxing vs just downloading in MP4 | OBS Forums
- OBSの再多重化はエンコードをやり直さないため、変換後のファイルサイズや映像・音声の品質は変わりません。変換元のMKVファイルは再多重化後も残るため、不要であれば手動で削除できます。 – OBSで録画した動画を編集ソフトで読み込めない、投稿できないときの対処法
- Replay Bufferは設定した巻き戻し時間の分だけ映像をメモリに蓄積し続けます。OBS 29.0以降はPCの搭載メモリの最大75%まで使用でき、設定時間が長いほどメモリ消費が増えます。使用しない場合はオフにするとメモリとCPUの両方が軽くなります。 – OBSのリプレイバッファの設定と使い方
- OBS 30.2以降では録画フォーマットに「Hybrid MP4」が追加されています。Hybrid MP4はMP4の互換性を保ちつつ、クラッシュ時のファイル破損リスクを軽減した形式です。OBS 32.0.4を使用しているこの環境では選択可能です。 – OBSをmp4で録画する方法を徹底解説!mkvからの変換法も紹介