Zoomは会議ツールから統合業務環境へ
(Zoom WorkplaceとAI Companion)

  • ZoomはWeb会議ツールから、チャット・電話・ドキュメント・AIを統合した「Zoom Workplace」へと進化しています。
  • AI Companionが有料プランに追加料金なしで提供され、会議の要約・文字起こし・アクション項目の自動生成が使えます。
  • Google WorkspaceやMicrosoft 365を置き換えるのではなく、会議データを起点に既存ツールと併用する設計になっています。
  • 2025年以降はエージェント型AIへ進み、会議から文書・タスク・日程調整まで自律的につなぐ方向へ向かっています。

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1. Zoomミーティングに追加された機能が多い

Zoomを開くと、いつの間にかメニューが増えています。
チャット、メモ、ドキュメント、AI要約……。
「会議するだけなのに、何のために?」と思ったことがある人は多いはずです。

新しく「メモ機能が利用可能です」と表示された
新しく「メモ機能が利用可能です」と表示された

Zoomはここ数年で「会議アプリ」から「Zoom Workplace」という統合ワークスペースへ大きくシフトしています。
ただし、Google WorkspaceやMicrosoft 365と機能がかぶるものも多く、既存ツールとどう使い分けるのかよいのかを整理します。

1.1. Zoom Workplaceの使い方

Zoom Workplaceをどう使うのが現実的かというと、ミーティング会議に近い機能から試すのが無理がありません。

会議データが自然に流れていく機能は、新たにツールを覚えるコストが低く、データの保存場所についても迷いません。

機能判断理由
AI Companion(会議要約・チャット要約)会議のレコーディングデータを生成AIに読み込ませて要約できる。
ホワイトボード(Zoom Whiteboard)専用ツールなしで会議中の情報共有ができる
自分用メモ(My Notes)会議の個人メモを残すためのツール(文字起こし連携ができる)。メモアプリやWordなどでメモする代わりに使える。
ハブ(Zoom Docs)Zoomレコーディングを添付できるチャットAIツール。Google DocsやNotionを使っている場合は、議事録の下書きとして使うことが多い。
Zoom Mail / Calendar既存ツールと連携すれば、招待や予定追加がスムーズになる。
Zoom Scheduler日程調整の人数が多いときには便利。

1.2. ミーティング中に使う機能

とくに、便利なのは、AI Companionの会議要約・チャット要約・アクション項目抽出です。
有料プランでZoom会議をすでに使っているなら、そのまま使え、議事録を作る労力を大きく省いてくれます。

1.3. ミーティング外で使う機能

Zoom Whiteboardは、会議中にホワイトボードを開いて、アイデアや論点を付箋や図で書き出せます。
会議が終わってもボードは消えずに残るので、後から編集したり、チームメンバーとリンクで共有したりできます。

「ハブ(Zoom Docs)」は、Zoom会議と生成AIが連携した、文書生成の作業スペースです。
ただし、すでにGoogle DocsやNotionなどで別の方法でメモを取ったり、議事録を管理しているなら、データ保管場所として無理に使う必要はありませんが、「会議内容をAIで文書化してZoom Docsに残す」ことと、「それをGoogle Driveにエクスポートして正式ファイルにする」を組み合わせる使い方もできます。

Zoomには、メール・カレンダー・ファイルを管理する機能もありますが、既存ツールのままで十分かもしれません。
GmailやOutlookがメールやカレンダーの「原本」にすることが多く、「Zoom内でも確認できる」という補助機能が必要でなければ、あまり使わないでもかまいません。

1.4. データはどこに残すか

実態としては「会議データはZoomに集約し、文書・表計算・メールは既存ツールを使う」という併用が多いですが、「どこにデータが残すか」という問題もあります。
Zoom Docs、Google Drive、OneDrive、Notion、Confluence……クラウドストレージが増えるほど「あの議事録どこだっけ」が起きやすくなります。
ツールを増やすと、かえって情報は活用しにくくなるんですよね。

Zoomは、Microsoft 365やGoogleとの連携を前提にした設計にしています。

これは、競合するオフィススイートの基盤が強固で、Zoom Docsがどれだけ便利でも、組織の業務フローに深く組み込まれツールを置き換えるのが難しいことでもあります。
Gmail、Google Calendar、Google Drive、Word、Excel、PowerPoint、Outlookといったツールは、何年もかけてています。

2. テレワーク時代の拡張(〜2023年)

テレワーク時代の拡張(〜2023年) 2019年 Zoom Phone クラウドPBX・世界1,000万シート超 2022年 Zoom Whiteboard 会議後も残るオンラインホワイトボード 2022.11 Mail / Calendar 既存ツールとの統合表示 2024.4 Zoom Workplace 正式リリース チャット・電話・AI を統合プラットフォームへ

2.1. ウェブ会議の周辺を埋めていった機能群

テレワークが定着した2019年〜2022年ごろ、Zoomは会議に関連する機能を積み上げ始めました。

ウェブ会議が急速に普及し、「会議の前後に何が足りないか」を補う機能が追加されたのです。

  • Zoom Chatは、Slackに近い形のチームチャットです。
    継続的なチャンネル、DM、ファイル共有が会議と同じアプリ内で使えます。
    Zoom会議を日常的に使っている組織ではメインのメッセージツールになることもありますが、チャット専用のSlackやMicrosoft Teams、LINEやChatworkなどを使う方が一般的かもしれません。
  • Zoom Phone(2019年)は、会社の電話をクラウドで扱うクラウドPBXです。
    内線・外線・SMS・留守電をZoom上に集約できます。
    2025年時点で世界1,000万シートを超えており、実は会議以外のZoom機能の中では最も普及している部類です1
  • Zoom Whiteboard(2022年4月)は、会議中だけでなく後にも使えるオンラインホワイトボードです。
    付箋、図、ブレスト、共同編集に対応しています。
    MiroやFigJamなどの専用ツールもありますが、Zoomの中で完結できるのがメリットです。
    さらに、2026年にはAI CompanionからフローチャートをWhiteboardに生成する機能も加わっています2

2.2. Zoom Workplaceという再定義

会議ツールとして入ってきたZoomは、その周辺を少しずつ埋めていきました。

  • Zoom Mail / Calendar(2022年11月)は、GmailやMicrosoft 365のメール・カレンダーをZoomアプリ内で統合表示する機能です。
    Zoom独自のメールサービスも用意されましたが、普及は限定的で GmailやOutlookのメールやカレンダーと連携して「Zoom内でも確認できる補助機能」という位置づけに近いです。
    なくても不便はないですが、ミーティングの日程をカレンダーに自動登録したいなら、連携する価値もあります。
  • Zoom Scheduler(2023年6月)は、予約リンクを作って相手に空き時間を選んでもらう日程調整ツールです。
    CalendlyやMicrosoft Bookingsに近い機能で、外部との商談・面談・相談予約に使います。
  • Zoom Notes(2023年8月)は、会議の事前アジェンダ、会議中のメモ、終了後の共有で使う共同ノートですが、現在は後述のZoom Docsに統合される方向になっています。

2024年4月、Zoomはこれらの機能をまとめて「Zoom Workplace」として正式リリースしました3
ウェブ会議だけでなく、チャット、電話、メール、カレンダー、ホワイトボード、ドキュメント、AIをひとつのプラットフォームに統合するというコンセプトです。

この再定義は、Zoomが狙っているポジションをわかりやすく示しています。
Microsoft TeamsやGoogle Meetとの競合だけでなく、Slack、Notion、Calendlyといった周辺ツールの領域にも手を伸ばす。

ただし、Microsoft 365やGoogle Workspaceを正面から置き換えるというより、「会議と会話から仕事を進めるための層」として重なる設計です。
Microsoft 365 ExchangeやGoogleのカレンダー・メールをZoom Workplaceに同期できる設計にしています。

3. 生成AI以降の変化(2023年〜)

生成AI以降の変化(2023年〜) 会議・通話 録画・文字起こし チャットログ STEP 1 AI Companion 要約・決定事項 アクション抽出 STEP 2 Zoom Docs 議事録・Wiki 知識ベース化 STEP 3 STEP 4 エージェント 型AI タスク登録 日程調整 フォロー 会話から完了へ フェデレーテッドAI(OpenAI / Anthropic / Meta)を組み合わせて処理

3.1. AI Companionが変えたこと

2023年9月、Zoomは「AI Companion」を有料プランの追加料金なしで提供し始めました。
これは、今のZoomの有料プランの目玉機能の一つと言えます(会議時間の延長と合わせて)4

AI Companionの機能が解決しようとしているのは、「会議で話したことが消えていく」という問題です。

会議が終わると、決定事項やアクション項目は誰かがメモして、どこかに書いて、チャットで共有して……という手作業が発生していました。
AI Companionはこの流れを自動化します。

機能内容
会議要約会議終了後に議題・決定事項・アクション項目を自動生成
チャット要約長いチャットスレッドを要約して確認
メール・チャット文面作成文脈に合わせた返信案を生成
質問への回答会議・チャット・ドキュメントの内容に対して質問できる
ホワイトボード支援アイデアのフローチャート化、整理

3.2. 知識ベースを作る(Zoom Docs)

AI Companionと並行して登場したのがZoom Docs(2024年8月)です5

AI付きの文書・Wiki・作業管理ワークスペースという位置づけで、会議の文字起こしや要約から議事録、表、チェックリスト、プロジェクト文書を作る用途が中心です。

Zoomは「会議内容を実行可能な文書や知識ベースに変える」ツールとして説明しています。
Google DocsやNotionの代替というより、会議から直接文書を生成する専用の入口です。

3.3. AI Companionの使える機能

AI Companionを有効にすると、Zoomミーティングにおいて、会議要約、文字起こし、録画、メモは会議後の資産として関連づけて扱えるようになります。

会議中のチャット(in-meeting chat)は、会議後に録画・要約と同じ場所にまとめて残ります。
リンクや補足情報をチャットに流した場合、後から参照しやすいです。

録画はクラウドまたはローカルに保存され、会議の映像と音声をそのまま残します。
文字起こしはその音声をテキスト化したものです。

AI Companionはこの文字起こしを読んで、議題・決定事項・アクション項目を構造化した要約を自動生成します。
録画を見返さなくても、要約を読めば何が決まったかがわかる状態になります。

  • 議事録を書く手間が省けるのはもちろんですが、より大きな変化は「会議の内容が構造化されたデータとして残る」点です。
  • 要約されたアクション項目は次のステップへ渡せますし、後から「あの会議でどう決まったか」を検索できる状態になります。

My Notes機能では、AI Companion 3.0から登場し、手動メモとAI文字起こしをAIが統合して一本のノートにまとめてくれるようになっています。
ZoomミーティングだけでなくGoogle MeetやTeams、対面会議でも同じ流れで使えます。

3.4. AI Companionは別の会議ツールにも「招待」できる

競合はMicrosoft CopilotやGoogle Gemini for Workspace、あるいはOtter.aiやFireflies.aiといった専用の会議AIサービスです。
Zoom AI CompanionがZoom会議と完全に統合されているのに対し、Otter.aiなどは他社の会議にも参加できる独立型のサービスです。

ZoomのAI Companionも、2025年11月以降はGoogle MeetやMicrosoft Teamsの会議に参加できる方向に拡張されており、Zoom以外でも使えるようになっています6

4. エージェント型AI

2025年以降、Zoomはエージェント型AIの方向に進んでいます。

エージェント型AIとは、質問に答えるだけでなく、複数のステップを自律的に進めるAIのことです。
会議の要約からアクション項目を抽出し、タスクとして登録し、関係者へのフォローアップを提案し、日程調整まで行う、といった流れを自動でつなぐ仕組みです。

Zoomはこの方向性を「会話から完了へ(From conversation to completion)」というフレーズで説明しています。
AI Companion 3.0では、過去の会議を踏まえた議題案の作成や、会議後のフォローアップ文書の自動生成なども進んでいます7

この方向性はMicrosoft CopilotやGoogle Geminiとも競合しますが、出発点が異なります。
CopilotはWord・Excel・PowerPoint・Outlookという文書基盤から入り、GeminiはGmail・Drive・Docs・Calendarから入る。
一方、Zoom AI Companionは会議・通話・チャットから入る。

どれも「会話と文書をAIでつなぐ」ことを目指していますが、Zoomの強みは会議データとの直結にあります。
なお、Zoom AI Companionの処理には、OpenAI、Anthropic、Metaのモデルを組み合わせたフェデレーテッドAI(federated AI)アプローチが採用されており、単一のAIモデルに依存しない設計になっています8

4.1. Zoomはどこへ向かうのか

Zoomが目指しているのは「会話から作業完了まで」という流れです。

会議で話したことをAIが構造化し、文書・タスク・日程・フォローアップへ自動的に流す。
この流れが実現すると、「会議が終わってから本当の仕事が始まる」という感覚が変わります。

ただし、MicrosoftはCopilotをOfficeスイート全体に埋め込み、GoogleはGeminiをWorkspace全体に組み込むなど、どのプラットフォームも、AIによって会話と文書と作業をつなぐという同じ方向へ進んでいます。

Zoomの差別化は、「会議データへの直結」にあります。
録画、文字起こし、要約、参加者、チャットログ——これらのデータがすでにZoom上にあり、AIがそこから直接作業を始められます。
Office文書やメールから入るMicrosoftやGoogleのAIとは、出発点が異なります。

  • Zoom Workplace:ミーティングURLや録画、議事録
  • Microsoft 365:文書作成や表計算
  • Google Workspace:メールやカレンダー

業務ツールの選択が「どれかひとつ」ではなく「どう組み合わせるか」になっている今、Zoomは会議と会話から業務を動かす入口として使い、文書とファイルの基盤は既存ツールに任せる。
その割り切りが、Zoom Workplaceを実用的に活かす使い方です。

  1. Zoomは2025年10月9日、Zoom Phoneが世界で1,000万シートを突破したと発表しました。2019年の提供開始から最速クラスの成長とされています。 – Zoom Phone hits 10 million seats, transforming how businesses connect in the AI era
  2. 2026年4月のZoom Workplaceアップデートで、WhiteboardのチャットからAI Companionにプロンプトを送り、フローチャートや構造化図を生成できる機能が追加されました。 – What’s New at Zoom
  3. Zoom Workplaceは2024年4月15日に一般提供が開始されました。同日、Zoomアプリのバージョンが6.0に更新され、アプリ名も「Zoom Workplace」に変更されています。 – Zoom Workplace is now generally available
  4. 2024年10月時点で400万以上のアカウントで有効化されており、Fortune 500企業の57%が導入しているとZoomは発表しています。2024年10月のZoomtopia 2024でZoom CPOのSmita Hashimが発表。AI Companionは対象の有料プランに追加料金なしで含まれます。 – Zoom introduces AI Companion 2.0
  5. Zoom Docsは2024年8月5日に一般提供が開始されました。有料のZoom Workplaceプランに追加料金なしで含まれます。 – AI-first Zoom Docs debuts on Zoom Workplace
  6. 2025年11月から、Zoom AI CompanionをMicrosoft TeamsやGoogle Meetの会議に招待してノート取得・要約・アクション項目生成ができるようになりました。Cisco Webexへの対応も準備中とされています。 – Zoom AI Companion can now join your meetings in Teams & Google Meet
  7. AI Companion 3.0は2025年9月のZoomtopia 2025で発表され、同年12月にローンチが公式発表されました。Google DriveやMicrosoft OneDriveを横断して情報を検索するagentic retrieval機能も含まれます。 – Zoom launches AI Companion 3.0 with agentic workflows
  8. Zoomはfederated AIと呼ぶ独自の手法で、OpenAI・Anthropic・MetaのLLMおよびZoom独自のモデルをタスクに応じて動的に切り替えています。これにより品質とコスト効率を両立させるとしています。 – Zoom introduces AI Companion 2.0