macOSを使っていて、ウィンドウがたくさん開いているときの切り替えに困ったことはありませんか。Dockをクリックしたり、Command+Tabを連打したり、Mission Controlで目的のウィンドウを探したり。どの方法も一長一短なので、macOSの標準的なウィンドウ切り替え機能を整理しておきましょう。
さまざまなウィンドウ切り替え手段
macOSには複数のウィンドウ切り替え方法が用意されています。まずは、それぞれの特徴を整理してみましょう。
Dockを使った切り替え(GUI)
最も直感的な方法は、画面下部(または側面)のDockに並んだアプリアイコンをクリックすることです。クリックしたそのアプリにフォーカスが切り替わります。
ただし、キーボードで作業している最中だとマウスに持ち替え、画面の端まで移動させる必要があり、作業のリズムが途切れます
また、ドックに並んだアプリが多くなると探すのが大変で、同じアプリで複数のウィンドウを開いている場合、どのウィンドウが表示されるかは予測できません。
⌘+Tab、⌘+@で切り替える(ショートカットキー)
⌘+Tabは、macOSユーザーなら誰でも知っているショートカットでしょう。起動中のアプリを一覧表示し、Tabキーを押すたびに選択が移動します。
この方法の優れた点は、キーボードから手を離さずに操作できますが、アプリが多いと目的のアプリまで何度もTabキーを押す必要があります。たとえば、10個のアプリが起動していて、8番目のアプリに切り替えたい場合、7回Tabキーを押さなければなりません。
また、同じアプリで複数のウィンドウを開いている場合は、2段階の操作になります。⌘+Tabはアプリ単位での切り替えなので、目指すウィンドウをフォーカスするには、⌘+@(日本語配列キーボードの場合)で、そのアプリ内のウィンドウを切り替える必要があります。
Mission Controlから選ぶ(Fn+F3)
Mission Controlは、Fn+F3キー(またはF3キー)で起動します。画面上のすべてのウィンドウが縮小表示され、全体を俯瞰できます。どのアプリでどんな作業をしているか、一目で把握できる便利な機能です。
Mission Controlの最大の利点は、現在の状況を把握しやすいことです。ウィンドウが多くても、視覚的に整理されて表示されるため、混乱しません。
しかし、ウィンドウの選択はマウスクリックが前提です。キーボードでの操作も可能ですが、矢印キーでの移動は直感的ではありません。結局、目で探してマウスでクリックするのが最も効率的になります。
Spotlightを使った直接切り替え
Command+Spaceで起動するSpotlight検索は、単なる検索機能ではありません。アプリ名を入力すると、すでに起動中のアプリには直接切り替わります。
例えば、「chr」と入力してEnterを押すと、Chromeブラウザがアクティブになります。アプリの正確な名前を覚えていれば、数文字の入力で目的のアプリにたどり着けます。
ただし、日本語入力モードになっている場合は問題が発生します。「Chrome」と入力したいのに「ちろめ」になってしまい、意図した検索結果が表示されません。英数キーを押して入力モードを切り替える必要があり、手間が増えます。
デスクトップを一時表示する意味とは?(F11、⌘⌥H)
F11キーを押すと、すべてのウィンドウが一時的に隠れ、デスクトップが表示されます。デスクトップにファイルを保存している場合や、外部ドライブにアクセスしたい場合に便利です。
しかし、この機能には大きな制約があります。デスクトップ表示後に何らかのウィンドウをクリックすると、隠れていた他のウィンドウもすべて復帰します。一時的な整理効果はありますが、根本的な解決にはなりません。つまり、デスクトップを作業場所として使わない人には、この機能の恩恵は限定的です。
すべてのウィンドウを非表示するのに一番近い機能は、アプリの非表示です。
⌘+Hは、現在のアプリを非表示にしますが、⌘+⌥+H では、現在のアプリ以外をすべて非表示にできます。
不要なウィンドウはすぐに閉じる(⌘Q, ⌘W, ⌘H)
macOSの標準機能にはそれぞれ苦手な操作があります。マウス操作が必要な方法(DockやMission Control)は、キーボード作業の流れを妨げます。キーボードショートカット(⌘+Tabや⌘+@)は、ウィンドウ数が多いと操作回数が増えて煩雑になります。Spotlightは便利ですが、日本語入力環境では入力モードの切り替えが面倒です。
そこで、ウィンドウ切り替えと同じくらい重要なのが、不要なウィンドウを閉じることです。
- ⌘+Wで現在のウィンドウを閉じ、
- ⌘+Qでアプリ全体を終了できます。
ウィンドウが少なければ、どの切り替え方法でも快適に使えます。逆に、ウィンドウが多すぎると、どの方法でも限界があります。これらのショートカットを活用して、開いているウィンドウ数を適切に管理することが、どの切り替え方法を使う場合でも効率化の基本になります。
仮想デスクトップで切り替える(Control+←→)
用途別に仮想デスクトップを分ける方法があります。
Control+←→キーでデスクトップ間を移動し、各デスクトップのウィンドウ数を抑えます。例えば、ブラウジング用デスクトップ、開発用デスクトップ、メール・チャット用デスクトップという具合に分けると、個々のデスクトップでのウィンドウ切り替えが楽になります。
サードパーティ製アプリをインストールする(RaycastやWitch)
標準機能の限界を補うため、サードパーティ製のアプリという選択肢があります。
Raycastは、Spotlightの上位互換として注目されています。日本語入力モードの問題を解決し、より高機能な検索とランチャー機能を提供します。
そのほか、ウィンドウ切り替えに特化したアプリもあります。WitchやHyperSwitch、AltTabなどは、WindowsのAlt+Tab機能のように、ウィンドウ単位での切り替えを実現します。特にWitchは、ウィンドウのタイトルをテキストリストで表示し、文字による絞り込み検索ができるため、キーボード操作を重視する人には魅力的です。
まとめ
macOSのウィンドウ切り替えには、完璧な解決策は存在しません。Dock、キーボードショートカット、Mission Control、Spotlightのそれぞれに特徴と限界があります。マウス操作の必要性、操作回数の増加、日本語入力環境での制約など、様々な課題があることが分かりました。
最も現実的なアプローチは、複数の方法を使い分けながら、不要なウィンドウを積極的に閉じることです。Command+TabとCommand+@の組み合わせ、Spotlightでの直接切り替え、そしてCommand+WとCommand+Qによるウィンドウ管理。これらを状況に応じて使い分けることで、効率的な作業環境を構築できます。
さらなる効率化が必要な場合は、RaycastやWitchなどのサードパーティ製アプリの導入を検討する価値があります。ただし、設定コストと効果を慎重に比較して判断することが重要です。