ハードディスクが経年劣化したノートPC。修理するか、買い替えるか

  • 7年使ったノートPCが激重になって調べたら不良セクター900個でした。
  • ハードディスクが遅いのですが、SSDにしたらWindows 11なのであと数年は使えそうです。
  • こういうときに修理か買い替えか悩みますね。

はじめに

パソコンが急に遅くなったとき、修理すべきか買い替えるべきか悩むことがあります。特に長年使用したパソコンでは、この判断が難しくなります。

ハードディスクに不具合が発生していたパソコンの事例をもとに、修理費用と買い替え費用を比較検討した結果を共有します。

ハードディスクの寿命が近づいている

パソコンの動作が極端に遅くなり、起動に異常な時間がかかるようになりました。調査の結果、ハードディスクに900個の不良セクター(Bad Sector)が発生していることが判明しました。

不良セクターとは、ハードディスクの記憶領域で正常にデータの読み書きができなくなった部分のことです。今回のパソコンは、2018年製の東芝dynabook T45/GRSI。不良セクター900個という数値は、ハードディスクの寿命が近づいている状態を示しています1

ハードディスクは磁性体でデータを記録するため、物理的な損傷や磁性体の劣化により不良セクターが発生します。現代のハードディスクには予備のセクターが用意されており、不良セクターが発見されると自動的に予備セクターに置き換える機能があります2

900個という数値は、この予備セクターの多くが使い尽くされた状態を示しており、ハードディスクの寿命が尽きかけていることを意味します。

対象パソコンの詳細スペック

問題が発生したパソコンは以下の仕様でした。

  • 機種: 東芝 dynabook T45/GRSI(2018年夏モデル)
  • CPU: Intel Core i3-8130U(2.2GHz、2コア4スレッド)
  • メモリ: 4GB DDR4
  • ストレージ: 1TB HDD(不良セクター900個)
  • OS: Windows 11 Home
  • 使用期間: 約7年

このモデルは2018年当時、税込7万円から8万円台のエントリーモデルでした。Core i3-8130U搭載ノートパソコンは、初心者向けのコンフォートモデルとして位置づけられており、家庭用途に適したスペックでした。しかし、現代のWindowsやセキュリティ機能は頻繁にデータを更新するため、ストレージのHDDは動作が遅くなりやすいです。また、4GBというメモリも、最低条件に近く動作が遅くなる原因になります。

【補足】Core i3-8130Uは2018年のエントリーモデル

Core i3-8130Uは2018年第1四半期にリリースされた第8世代Intelプロセッサーです3。エントリーレベルのノートパソコン向けに設計されました。2コア4スレッド構成で、ベースクロック2.2GHz、最大ターボクロック3.4GHzの仕様を持ちます4

修理vs買い替えの選択肢分析

修理 vs 買い替え:選択肢分析 現在のPC(2018年) Core i3・4GB・1TB HDD 不良セクタ964個・使用7年 新品PC 10〜15万円 完全解決 最新性能 中古PC 7万円前後 性能大幅向上 コスパ良好 SSD交換 2.5〜3.5万円 速度改善 CPU古いまま 一時修復 1万円 根本解決せず 再発リスク 予算別推奨選択肢 予算充分(10万円以上) → 新品PC購入 適度予算(7万円前後) → 中古PC購入(推奨) 予算限定(2-3万円) → SSD交換 新品PC 5〜8倍 中古PC 3〜5倍 SSD交換 2〜3倍 緊急:不良セクタ964個 → データバックアップ最優先
  • 予算に余裕がある場合(10万円以上):
    新品パソコンの購入により、長期間安心して使用できます。
  • 適度な予算がある場合(7万円前後):
    中古パソコンへの買い替えが最もコストパフォーマンスに優れています。性能向上と信頼性の両方を得られます。
  • 予算が限られている場合(2-3万円):
    SSDへの交換が現実的です。ただし、他の部品の劣化リスクは残ります。
選択肢費用メリットデメリット
1. 新品パソコン購入10~15万円・完全解決
・最新性能
・長期保証
・Windows 11標準
・費用が高額
・データ移行が必要
2. 中古パソコン購入7万円前後・性能大幅向上
・費用を抑制
・2020-2021年モデル
・SSD標準装備
・中古品のリスク
・保証期間が短い
・データ移行が必要
3. SSDに交換+メモリ増設2.5~3.5万円・速度大幅改善
・費用が安い
・現パソコン継続使用
・CPUや他部品は古いまま
・容量が減る可能性
・技術的知識が必要
4. バックアップ+修復・アップデート1万円・費用がかからない
・データそのまま
・根本解決にならない
・作業が複雑
・再発の可能性大
・時間がかかる
5. アップデート停止無料・すぐにできる
・一時的に軽くなる
・セキュリティリスク
・問題の先送り
・5週間後に再発

選択肢1:新品パソコンへの買い替え

現在のdynabookの新品エントリーモデルの価格を調査しました。

2025年現在、dynabookの最安値モデルでも10万円以上となっており、2018年当時の7-8万円という価格帯の新品モデルは存在しません。これは、標準仕様の向上(HDD→SSD、メモリ増量、最新CPU搭載)とインフレーションの影響によるものです。この7年の間に性能向上は5倍から8倍に達します。長期間の使用を考慮すると、最も確実な選択肢です。

選択肢2:中古パソコンへの買い替え

7万円の予算で購入可能な中古dynabookを調査した結果、2020年から2021年頃のモデルが候補となることが分かりました。

想定スペック:

  • CPU: Core i5-10210U(第10世代、4コア8スレッド)
  • メモリ: 8GB
  • ストレージ: 256GB SSD
  • 画面: 15.6インチ フルHD

第10世代または第11世代のCore i5プロセッサーは、第8世代のCore i3と比較してコア数が2倍(2コア→4コア)、スレッド数も2倍(4スレッド→8スレッド)となります5。また、製造プロセスの改善により、同じ消費電力でより高い性能を実現しています。メモリは2倍、ストレージはHDDからSSDに変わることで体感速度は大幅に改善されます。

選択肢3:SSDへの交換・メモリの増設

現在のパソコンの足りない部分を補う方法です。HDDをSSDに交換し、メモリを追加します。費用は2万円から3万円程度で、不良セクターの問題は完全に解決されます。

読み書き速度は劇的に改善されますが、CPU性能は据え置きです。体感的には2倍から3倍の速度向上が期待できます。しかし、CPUやなど他の部品は7年前のままであり、全体的な性能向上は限定的です。また、ファンや電源ユニット、マザーボードなど他の部品の劣化も考慮する必要があります。

SSDの標準装備により、起動時間は1分以上から30秒以下に短縮され、アプリケーションの立ち上がりも大幅に高速化されます。

選択肢4:バックアップとソフトウェアによる修復

チェックディスク(chkdsk)コマンドやWindowsの修復機能を使用して不良セクターの修復を試みる方法です。ただし、物理的に損傷したセクターは完全には修復できません。また、Windows Updateの大型バージョンアップが動作の重さの一因となっている可能性もあるため、この完了も検討項目に含まれます。

ただし、ディスクに不具合が発生しているので、これらの大がかりなシステム変更の前には、データバックアップが必要です。また、不良セクター900個という状況は、ハードディスクの完全な故障が近いことを示しています。この状態では、いつデータが完全に失われてもおかしくありません。

選択肢5:一時的に動作を軽くするには

Windows Updateを5週間停止することで、一時的に動作を軽くする方法です。ただし、セキュリティリスクが発生し、根本的な解決にはなりません。

まとめ

不良セクター900個という深刻な状況に直面した7年使用のノートパソコンでは、買い替えが最も確実な解決策です。SSDへの交換は一時的な延命策として有効ですが、他の部品の劣化リスクも考慮する必要があります。また、ソフトウェアによる修復は、物理的な損傷には対処できないため、推奨できません。

最も重要なことは、データの安全性を最優先に考え、適切なタイミングで判断を下すことです6。不良セクターの数が数百を超えた時点で、買い替えを真剣に検討することを推奨します。

  1. Intel Core i3-8130U プロセッサー仕様 – 記事で言及したCPUの公式技術仕様とリリース情報
  2. 価格.com 中古ノートパソコン dynabook 製品一覧 – 中古dynabook価格相場の確認と市場動向分析
  3. 中古パソコン市場 東芝ノートパソコン検索 – 7万円予算での具体的な中古PC選択肢と価格情報
  4. Core i3-8130Uの性能スペック解説 – CPUの詳細性能分析と2018年当時の価格帯情報
  5. dynabook T45/G 2018夏モデル 公式仕様 – 問題発生機種の公式スペックと発売当時の位置づけ
  6. dynabook 最新製品ラインアップ – 現在のdynabook価格帯と2018年モデルとの比較参考
  7. リサイクルPC Gテック 価格帯別検索 – 1-2万円価格帯の中古PC市場状況と選択肢確認
  1. 不良セクターが数百個を超えると、ハードディスクの代替セクター(予備セクター)が不足し始め、完全な故障が近い状態となります。 – HDDの不良セクターとは?よくある症状、原因と対処法
  2. ハードディスクには代替セクター機能があり、不良セクターを検出すると自動的に正常なセクターに置き換えられますが、代替可能な予備セクターにも限りがあります。 – 不良セクタ – Wikipedia
  3. Intel公式仕様によると、Core i3-8130Uは2018年Q1にリリースされ、定価は281ドルで設定されていました。 – インテル® Core™ i3-8130U プロセッサー
  4. Core i3-8130UはCore i3シリーズとして初めてターボブースト機能を搭載したモデルです。 – Core i3-8130U(第8世代インテルCPU)のベンチマーク
  5. 第10世代Core i5は4コア8スレッド構成となり、2コア4スレッドの第8世代Core i3と比較して並列処理性能が大幅に向上しています。 – 第10世代 Intel Core プロセッサー徹底比較
  6. 不良セクターが発生したハードディスクでは、データの読み出しが不安定になるため、まず重要なデータのバックアップを最優先で実行すべきです。 – 不良セクターがあるハードディスクへの対応