はじめに
「Microsoft 365 Copilotが使えるようになったのですが、料金はかかりますか?」という相談を受けました。話を聞いてみると、OneDriveでファイル作成をしようとしたところ、パスキー設定の画面が表示され、それを必須だと思い込んで設定を試みたものの、うまくいかず困ってしまったとのことです。
その後、あれこれ試している間にMicrosoft 365の試用版をインストールしてしまい、結果的にCopilotも使えるようになってしまったのです。これは意図しない契約の典型例といえます。
パスキーとは何か
パスキーとは、パスワードの代わりに使える新しい認証方法です。指紋認証や顔認証、スマートフォンのアプリなどを使って、より安全にログインできる仕組みです。従来のパスワード入力よりもセキュリティが高く、使い方も簡単になります。
ただし、パスキーは必須ではありません。設定しなくても、通常のパスワードでログインできます。まるで家の鍵のように、従来の鍵(パスワード)でも問題なく使えるのに、新しいスマートキー(パスキー)も選択肢として用意されているという状況です。
パスキー設定でつまずく理由
パスキーの設定画面が表示されると、青い「Try again」ボタンが目立つ位置に配置されています。一方で、灰色の「Cancel」ボタンは目立たない場所にあります。この画面設計により、多くのユーザーは「設定しなければならない」と感じてしまいます。
しかし実際には、パスキーは任意の機能です。Cancelボタンを押してスキップしても何の問題もありません。
パスキーの設定には、パソコン側での準備が必要です。Windows Helloの設定(指紋認証、顔認証、PIN)やパソコン本体のロック機能が有効になっていないと、パスキーは作成できません。この準備ができていない状態で設定を試みると、エラーが発生します。
Microsoft 365 Copilotとは
Microsoft 365 Copilotは、WordやExcelなどのOfficeアプリに組み込まれたAIアシスタント機能です。文章の作成、データの分析、プレゼンテーション資料の作成などを手伝ってくれます。まるで優秀な秘書が隣に座って作業を手伝ってくれるような機能です。
この機能は有料のサービスで、個人向けのCopilot Proは月額3,200円、法人向けのMicrosoft 365 Copilotは月額4,497円の追加料金がかかります。
意図しない契約が発生する仕組み
今回のケースでは、OneDriveでのパスキー設定に困った結果、別の方法でOfficeを使おうとしてMicrosoft 365の試用版をインストールしてしまいました。この試用版には、Copilot機能も含まれていたのです。
Microsoft 365の無料試用版は、申し込み時にクレジットカード情報の入力が求められます。そして、試用期間終了後は自動的に有料契約に移行する設定になっています。この「継続請求」がオンになっていると、30日後には月額料金が請求されます。
新しいパソコンを購入した際にも、Microsoft 365の無料トライアルが自動で始まることがあります。また、Windowsの更新時に「新機能を試してみませんか?」といった画面が表示され、うっかりクリックしてしまうケースもあります。
契約状況の確認方法
意図しない契約を避けるためには、まず現在の契約状況を確認することが重要です。確認方法は次の通りです。
Microsoftアカウントのページ(account.microsoft.com)にアクセスし、「サービスとサブスクリプション」の項目を確認します。ここで、何が契約されているかが分かります。
また、Word画面の右上にあるアイコンをクリックし、「アカウント」を選択すると、使用中のライセンス情報が表示されます。
契約状況を確認する際に注目すべきは「継続請求」の設定です。これがオンになっていると、試用期間終了後に自動的に課金が開始されます。
解約方法と注意点
Microsoft 365の試用版を解約する方法は比較的簡単です。account.microsoft.comにサインインし、該当するサブスクリプションの「管理」ボタンをクリックします。その後、「キャンセル」を選択すると解約できます。
ただし、解約のタイミングには注意が必要です。試用期間中に解約すれば料金は発生しませんが、試用期間を過ぎてから解約した場合は、その月の料金が請求されます。
一度無料試用を利用したアカウントでは、再度の無料試用はできません。メールアドレスを変えて新しいアカウントを作成しても、電話番号が同じ場合は新規作成が制限される場合があります。
本来の解決方法
今回の問題の根本的な原因は、パスキー設定を必須だと誤解したことでした。OneDriveやOffice Onlineを使用する際に、パスキー設定画面が表示されても、Cancelボタンを押してスキップすれば問題なく利用できます。
パスキーは便利な機能ですが、従来のパスワードログインも引き続き使用できます。急いで新しい認証方法を設定する必要はありません。
まとめ
パスキー設定への誤解から始まり、Microsoft 365 Copilotの意図しない契約に至るケースは、現在多く発生している問題です。パスキーは任意の機能であり、設定をスキップしても通常のサービス利用に支障はありません。Microsoft 365の無料試用版は自動更新設定になっているため、不要な場合は早めに解約することが重要です。契約状況の確認と適切な対処により、意図しない課金を避けることができます。