メールアドレスは2つの
顔を持つ
(連絡手段とID)

  • メールアドレスはかつて文章を送受信するツールだったが、LINEの普及により個人間の連絡手段としての役割は減ってきています。
  • 実態としては今のメールアドレスの主な用途はウェブサービスへの登録で、「受信できること」で本人確認する「ID」として機能しています。
  • 一方で、GmailやiCloudなど大手IT企業が無料でアドレスを提供するようになり、一人が複数のアドレスを持つことが当たり前になり、ID管理が重要です。

以前からメールを送ったり、受け取ったりしている経験があるとビックリしますが、いつの間にかメールアドレスの用途が変わって来ていることに気づきます。

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1. メールを送ったことがない?

「スマホでメールを使っている」といっても、「メールは送ったことがない」というケースが増えています。

電子メールの基本の流れ 新しいメッセージ 送 信 To: alice@example.com CC: 件名: ご連絡の件 お世話になっております。 ご確認ください。 添付ファイル 1 宛先を入力 To / CC / BCC 2 件名を入力 内容を一言で 3 本文を書く 要件・署名を記載 4 添付(任意) ファイルを追加 5 送信 確認してから押す

どういうことかというと、スマホの画面でメールアドレスを入力するのは、アプリの登録やログイン画面のID。
電子メールは今、誰かに文章を届けるためではなく、「自分を証明する」ための道具になっています。

1.1. 電子メールのもともとの使い方

電子メールの送受信数は、ビジネス用途では多いですが1、個人の話に限ると、「メールを送る」という行為の頻度は年々下がっています。

電子メールが一般に普及したのは1990年代のことです2
手紙よりも速く、電話よりも記録に残る通信手段として、長い文章を読んでもらう、添付ファイルで書類を送る、といった使い方が想定されていました。

技術的な仕組みも、その用途に合わせて設計されています。

SMTPで送信し3、IMAPやPOP3で受信する4

受信サーバーがメールをいったん保持し、ユーザーが好きなタイミングで取り出す。
「非同期」であることが前提のプロトコルです。

1.2. LINEが担い始めたもの

ただ、今のスマートフォンでの日常的な連絡は、LINEやMessengerといったメッセージングアプリが主流です5

すぐに「既読」がつき、返信が来る。
友人や家族との会話には、電子メールは少し重く、「親しい人との連絡」からは使われなくなっています6

2. 残ったのが「登録」という用途

代わりに「メールアドレスを入力する」という行為は増え続けています。
電子メールの用途のうち、LINEに置き換えられなかったのが、ウェブサービスへの登録です。

メールを送ったことがない? 昔のメール 文章を届ける手段 速く・記録に残る通信 SMTP / IMAP で送受信 今のメール 自分を証明するID サービス登録・ログイン 本人確認リンクの受信先

メールアドレスは「あなたがあなたであることを確認するための連絡先」として機能します。
確認メールが届き、リンクをクリックして本人確認が完了する。
パスワードを忘れたときも、メールアドレスにリセット用のURLが送られてきます7

メールアドレスは、インターネット上の住民票のような役割を担っています。
この仕組みでは、メールアドレスが「受信できること」を確認できればよく、「送受信によるやり取り」は必要とされません。

2.1. 自分のメールアドレスを管理する

ただし、住民票とおおきく違うのは、一人の人が複数のメールアドレスを持つことが一般的になっていることです8

  • パソコンを長く使っている人はプロバイダメール。
  • 携帯電話からのキャリアメール。
  • スマートフォン利用と結びついたGmailやiCloudメール。
  • パソコン利用で登録したOutlookメール。
  • さらに、Yahoo!メールなどのウェブメール。

個人的な連絡と企業からのお知らせを区別するために、受信箱を分けることもあります。
以前は、メールアドレスを取得するには、有料のインターネット契約が必要でした。

しかし、今はGoogleやApple, Microsoft, Yahooなど大手のIT企業が、顧客の囲い込みのために無料のメールアドレスを提供しています。
いろんなサービスを利用していて、意識せずに新しいメールアドレスを取得していることがあります。

そこで、自分がどんなメールアドレスを持っていて、サービスにどれ登録したか、という管理が大事になっています。

3. 「使っている」の意味が変わった

送受信のためのツールから、認証のためのIDへ。
電子メールの主な役割は、変わりつつあります。

ただ、「メールを使っている」という言葉が以前と違う意味を持つようになっているのかもしれません。

  1. 日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2024」によると、仕事でメールを使う人の1日平均は送信12.27通、受信47.83通です。 – ビジネスメール実態調査2024(日本ビジネスメール協会)
  2. 一般ユーザーへのインターネット普及は1990年代中頃から始まり、日本では1999年2月にNTTドコモがiモードのサービスを開始したことで爆発的に広がりました。 – 日本のインターネットの幕開けと進化(nippon.com)
  3. SMTPはSimple Mail Transfer Protocolの略で、メール送信の標準プロトコルです。1982年8月にRFC 821として標準化されました。 – Simple Mail Transfer Protocol(Wikipedia)
  4. IMAPはメールをサーバー上に残したまま複数の端末から参照できるプロトコルで、POP3はメールを端末にダウンロードして保存する方式です。スマートフォンとパソコンで同じメールを確認したい場合はIMAPが適しています。 – IMAPとPOP3の違いとは?(hostinger)
  5. LINEの国内月間アクティブユーザーは約1億人(2025年12月末時点)で、30代までの利用率は90%を超えています。 – LINEのユーザーはどんな人?(LINEヤフーマーケティングキャンパス)
  6. 総務省の調査によると、2024年時点で日本のLINE利用率は94.9%に達しており、60代でも91.1%と世代を問わず定着しています。 – 通信業界のLINE公式アカウント活用戦略(kureba.co.jp)
  7. このメール認証の仕組みは「Email Verification」と呼ばれ、ウェブサービスにおける本人確認の標準的な手法として広く採用されています。メールアドレスが受信可能な状態にある=アクセスできる本人である、という前提に基づいています。 – IMAPとは?(Cloudflare)
  8. 電子メールの歴史的な経緯として、1996年にHotmailが世界初の無料ウェブメールサービスを開始し、誰でも複数のアドレスを取得しやすくなったことがアドレスの使い分けを後押ししました。 – 電子メールの歴史(Skysnag)