Zoom Workplaceを使い始めると、「HubとCanvasって何が違うの?」という疑問にぶつかります。
名前だけ見ると役割が読み取りにくいですが、設計の意図を理解すると整理しやすくなります。
1. Zoom Workplaceの設計思想
Zoom Workplaceは「会議アプリ」の進化形ではなく、会議で生まれた情報を途切れさせないことを目的に作られています。
従来の会議ツールでは、話し合いが終わると情報が散逸しがちでした。
議事録はどこかに投げられ、録画は見返されず、次の行動につながらない。
Zoom Workplaceはその断絶を解消する設計で、会議前・中・後の情報をひとつの作業環境に収め1ます。
AI Companionというzoomが組み込んだ生成AI機能が会議の要約や次のアクションを自動生成し2、それをそのまま文書化・共有・管理へ流せる構造になっています。
HubとCanvasはその流れの中で、それぞれ異なる役割を担います。
2. Zoom Hubは集約と検索の場所(Googleドライブに近い)
Zoom Hubは、Zoom内で発生したコンテンツを一か所で管理・検索するための画面です。
ミーティング録画、AI Companionが生成した会議要約、Canvas文書、ホワイトボード、ClipsなどZoom上で生まれたアセットが対象になり3ます。
Googleドライブに例えるなら「Zoom内コンテンツ専用のドライブビュー」に近いイメージです。
汎用のクラウドストレージではなく、Zoomが生成・管理するコンテンツを整理しておくための場所として機能します。
なお、Zoom HubはZoomデスクトップアプリのバージョン6.5.5以降で利用でき4ます。
使いどころとしては、たとえば次のような場面があります。
- 先週の会議録画を探したいとき
- AI Companionが作った要約を後から確認したいとき
- チームが作ったCanvas資料やホワイトボードをまとめて共有したいとき
「あの会議の資料どこだっけ」という状況を解消するのがHubの役割です。
HubのコンテンツのひとつであるZoom Clipsは、会議を開かずに画面や顔を短時間録画して非同期で共有するツールで、2023年に一般提供が始まってい5ます。
3. Zoom Canvasは作成と編集の場所(Notionに近い)
Zoom Canvasは、文書・Wiki・表・プロジェクト資料などを作り、共同編集する作業空間です。
「Zoom Docs」という名称で呼ばれることもあり、2024年8月に正式提供が始まってい6ます。
GoogleドキュメントやNotion、GeminiのCanvasに近い位置付けになります。
会議中にリアルタイムで議事録を書きながら共同編集することも、会議後にAI要約を元に企画書へ展開することも、どちらもCanvasで行います。
テキスト文書だけでなく、表やフォーム、タスク管理的な構造も作れます。
使いどころの例としては次のようなものがあります。
- AI要約を元に議事録を整形・加筆するとき
- プロジェクトの進捗ページをチームで育てるとき
- 会議のアジェンダや事前資料を用意するとき
CanvasでつくったドキュメントはHubから参照できるため、CanvasはHubに格納されるコンテンツの作成源でもあります。
4. 2つの関係を整理する
| Zoom Hub | Zoom Canvas | |
|---|---|---|
| 役割 | 集約・検索・管理 | 作成・編集・共同作業 |
| 近いプロダクト | Googleドライブ(Zoom専用) | Googleドキュメント、Notion |
| 主な対象 | 録画・要約・文書・ホワイトボード | テキスト・表・Wiki・フォーム |
| 典型的な操作 | 探す・共有する・整理する | 書く・編集する・コラボする |
情報の流れで捉えると、ミーティングの内容をAIが要約し、Canvasで文書化して、Hubで管理・共有するという順序になります。
HubとCanvasは対立する機能ではなく、ひとつの情報フローの中で役割を分担する設計です。
5. 実務での使い方のポイント
会議直後にAI要約を確認する
会議終了後にAI Companionが要約と次のアクションを生成します。
要約はホストにメールで届き、共有範囲もホストが設定でき7ます。
これをHubで見つけ、Canvasに貼り付けて加筆するというルーティンが、最もスムーズな使い方になります。
CanvasをチームのWikiとして育てる
Canvasは一度作って終わりではなく、継続的に編集・更新できます。
プロジェクトごとにCanvasを1枚立ち上げ、議事録や決定事項を積み重ねていくとナレッジベースとして機能し始め8ます。
Hubをチームの共有棚として使う
録画やCanvasをHubで整理しておくと、メンバーが後から追いつくコストが下がります。
「会議に出られなかったけど内容を知りたい」という場面でHubが役立ちます。
6. まとめ
HubとCanvasは似て非なる機能です。
Canvasで作ったものをHubで管理・共有し、その情報を次の会議やCanvas文書に流す。
会議を起点にしながらも、会議の外でも情報が動き続ける設計になっています。
両方を使いこなすことで、Zoomが単なる通話ツールから仕事が流れていく場所に変わります。
- Zoom Workplaceは2024年4月15日に正式提供開始。会議・チャット・スペースにわたる新機能を含むAIコラボレーションプラットフォームとして発表された。 – Zoom Workplace is now generally available
- AI Companionの会議要約はホストまたは共同ホストが「Start Summary」を押した時点から記録が始まる。それ以前の発言は要約に含まれない。 – Using Meeting Summary with AI Companion
- Zoom Hub公式ページでは「探す時間を減らして仕事を進めるための、Zoomコンテンツと会話に特化したファイル共有アプリ」と説明されている。フォルダで整理し、最近のコンテンツや共有ファイルでフィルタリングも可能。 – Secure file sharing: Docs, Whiteboards, Clips, and more | Zoom
- Zoom Hubが利用可能になるのはデスクトップアプリのバージョン6.5.5以降。それ以前のバージョンではHubタブが表示されない。 – Zoom Hub Availability at U-M
- Zoom Clipsは2023年11月に正式リリース。会議なしで短編動画メッセージを録画・共有し、非同期コミュニケーションを支援する。閲覧者はコメントや絵文字リアクションを残せる。 – Zoom Clips now generally available | Zoom
- Zoom Docsは2024年8月5日にZoom Workplaceのコンポーネントとして正式リリース。文書・Wiki・テーブルに対応したAI優先設計のコラボレーションドキュメントツールで、有料のZoom Workplaceプランに追加費用なしで含まれる。 – AI-first Zoom Docs debuts on Zoom Workplace
- AI Companion会議要約の共有範囲はホストが管理する。デフォルトではホスト本人のみに届き、参加者への自動共有は設定によって変更できる。 – Zoom AI Companion Meeting Summaries – Emerson College
- Zoom公式ブログでは、CanvasでWikiを構築するとき、メインページを目次として立ち上げ、トピックごとにサブページをネストして作っていく方法を推奨している。 – Your guide to getting started with Zoom Docs | Zoom