iPhoneの共有とGoogleアプリへの共有機能

共有ボタンへの不安

iPhoneでウェブサイトを見ているとき、うっかり共有ボタンを押してしまって焦った、という相談がありました。

ウェブサイトで共有ボタンを押してしまいました。共有ボタンを押すといろんなアプリのアイコンが並んでいる画面が出てきました。その中のGoogleのアイコンを押すと2つのボタンが出てきました。このボタンを押すと、別の画面に進みました。

最初の共有ボタンを押しただけでは、誰に共有するか指定していないので、共有はされていないと思ってよろしいでしょうか?
また、Googleのどこかに共有されていることはありえないとおもってよろしいでしょうか。どこかで全世界に公開されているか不安です。

デジタルでは目に見えない処理が行われるため、何が起こっているかわからず不安になるかもしれません。とくに「Googleアイコンを押してしまったら、検索結果に表示されるのではないか」と、心配をする人も少なくありません。しかし、このGoogleアプリの共有機能は、検索結果に乗せる機能ではありません。

共有ボタンと共有が発生するタイミング

まず、iPhoneで共有ボタンを押すと表示されるのは「共有メニュー」です。さまざまなアプリのアイコンが並びますが、これらの「選択肢」はタップするまでは何の動作も実行されません。

実際にページが共有されるのは、具体的な共有先を選んで、最終的な送信操作を完了したときです。

  • 例えば、LINEアイコンをタップし、送信先の友達を選んで、送信ボタンを押したときに初めて共有が実行されます。
  • また、メールアプリを例に取ると、メールアイコンをタップしただけでは、メールの作成画面が開くだけです。宛先を入力し、必要に応じてメッセージを編集し、送信ボタンを押して初めてメールが送信されます。

iOSでは、誤操作による意図しない共有を防ぐために、複数のステップを経るようになっています。ユーザーが何をどこに共有したいか確認しながら進んでいくのです。

Googleアイコンを押した場合の動作

Googleアプリへの共有では、データはどこに行くのでしょう?

Googleのアイコンをタップして出てくる画面では、「このページについて」と「コレクションに保存する」という2つの選択肢が現れます。

  • このページについて」は、そのウェブサイトの安全性や信頼性を確認する機能です。
    Googleが持つ情報データベースを使って、サイトの詳細を表示します。これは情報を閲覧するだけの機能で、何かを公開する機能ではありません。
  • コレクションに保存する」は、Google内の個人用のページ保存機能です。
    選択したページを、自分のGoogleアカウント内のプライベートな領域に保存します。

Googleコレクション機能の詳細

Googleの「コレクションに保存する」機能について、もう少し詳しく説明しましょう。

この機能は、個人用のクラウドストレージにページ情報を保存するものです。

Googleアプリの右上にあるプロフィールから「保存したページとコレクション」を確認できます。
ページだけでなく、Googleマップで保存した場所なども記録されています。

「保存済み」のページは、Googleアプリの「タブ」を選んで、上部の切り替えでもを読むことができます。

保存されたページは、同じGoogleアカウントでログインした他のデバイスからもアクセスできます。しかし、これは個人のプライベートな領域での話です。他のユーザーには一切公開されません。この仕組みは、プライベートな日記帳と似ています。日記帳に何を書いても、鍵をかけておけば他の人に読まれることはありません。Googleコレクションも同様で、パスワードで保護された個人領域に保存されるのです。

iOSのセキュリティの仕組みとデータフロー

iOS共有機能には、複数の安全メカニズムが組み込まれています。まず、アプリ間のデータ受け渡しは「URL scheme」や「App Extensions」という標準化された方法で行われます。

  • URL schemeは、アプリ間でデータをやり取りするための決まりごとです。
    この決まりごとに従わないと、データのやり取りはできません。また、iOSシステムが常に監視しているため、不正な動作は検出されます。
  • App Extensionsは、アプリの機能を他のアプリに安全に提供するための仕組みです。
    共有メニューに表示されるアプリの多くは、この仕組みを使っています。Extensionは制限された環境で動作するため、勝手にデータを外部に送信することはできません。

Safariの共有ボタンを押してからGoogleアイコンをタップするまでの、実際のデータの流れを追ってみましょう。

  1. 共有ボタンをタップすると、iOSシステムがページのURL(ウェブアドレス)とタイトル情報を取得します。この情報は、一時的にメモリに保存されるだけで、外部には送信されません。
  2. Googleアイコンをタップすると、先ほど取得した情報がGoogleアプリ拡張に渡されます。この時点でも、情報はiPhone内部で処理されているだけです。
  3. 「このページについて」や「コレクションに保存する」を選択して初めて、Googleのサーバーとの通信が始まります。ただし、これらの機能を使っても、ページが公開されることはありません。

まとめ

共有ボタンを押しただけでは、何も共有されません。Googleアイコンをタップしても、情報を確認したり個人用に保存したりするだけで、他のユーザーには公開されません。実際の共有は、明確な意図を持って最終的な送信操作を完了したときにのみ実行されます。

iOSの共有システムは、サンドボックス技術、App Extensions、URL schemeなどの安全メカニズムによって保護されており、ユーザーの意図しない情報公開を防ぐよう設計されています。