Zoomで同じミーティングに複数PCから参加できなくなった?(アカウントとホスト)

「以前はできたのに」という体験の謎

Zoomを使っていて、以前は2台のパソコンから、同じZoomミーティングに参加できていたのに、最近は片方のパソコンで入室しようとすると、片方から強制的に退室してしまう、という相談がありました。

パソコンがZoomミーティング中にいきなり切れてしまわないように、同じZoomミーティングに、違うPCからも参加しておきたいと思っています。
以前はできたような気がしますが、Zoomのサブスクリプションに加入してからできなくなったように思います。なぜでしょうか?

「有料のサブスクリプションに加入したのに、かえってできなくなる」というのでは不可思議ですよね。実は、これはサブスクリプションではなく、アカウントとミーティングホストに理由があります。

パソコン2台では同時参加できない?

実際には「Zoomの有料プランになったから制限が厳しくなった」わけではありません。むしろその反対です。

まず、Zoomには、「同じ種類のデバイス(この場合はコンピュータ)には、同時に同じアカウントでサインインできる数には制限がある」という縛りがあります1

Zoomでは、デバイスを「コンピュータ」「タブレット」「スマートフォン」の3つの種類に分類しています。2023年10月時点の説明(日本語版)では、「同時に Zoom にサインインできるのは 1 台のコンピュータ、1 台のタブレット端末、1 台のスマートフォンだけです2」と書かれていました。

たしかに、無料アカウントの場合、同じZoomアカウントに別のパソコンでサインインしようとすると、他方では自動的にサインアウトになってしまいました。

サインアウト済み

アカウントが別のデバイスからサインインされているため、サインアウトされています

有料プランでは2台まで可能

一方、2025年6月の記述(英文)では、「デフォルトでは、既存のユーザーはデスクトップパソコン2台、タブレット2台、モバイルデバイス2台で同時にZoomにサインインできます。同じ種類のデバイスを3台以上(more than 2 devices)サインインした場合、最初のデバイスからは自動的にログアウトされます」となっています。

ただし、この複数デバイスでのサインインは、有料アカウントに限定されています。

実際に、Proプランのアカウントで試してみるとパソコンとスマートフォンで同時にサインインできるだけでなく、2台のパソコンで同じアカウントにサインインすることもできました。

つまり、「Zoomのサブスクリプションに加入してからできなくなった」のではなく、むしろできるようになっています。

【補足】企業向けプランでは増やせる

さらに企業向けのプランの場合は、管理者は、同じ種類のデバイスへサインイン可能な数を制御し、最大で5台のコンピューター、5台のスマートフォン、5台のタブレットにサインインすることを許可できます3

ほかの人のミーティングには同時に参加できる

同時サインインだけでなく、2台のパソコンからZoomミーティングに参加することも可能です。

片方のパソコンで入室すると、もう片方のパソコンのZoomアプリの上部には、参加中のミーティングが表示されます。

たしかに、ここで「切り替え」ボタンを押すと新しいパソコンは参加できるものの、もとのパソコンからは表示できなくなってしまいます。

しかし、「参加」からミーティングIDやパスコードを入力したり、招待リンクを開いて入室することもできます。

そうすれば、同時に同じミーティングに入ることができました。

「以前はできていた」と感じるのは?(ホスト)

では、なぜ「以前は複数のパソコンから同じミーティングに参加できていた」と思ったのでしょうか。

実は、同時参加できるのは、他の人がミーティングのホストの場合です。「ミーティングのホスト」とは、Zoomミーティングを開始したり、予約したりした人のことです。自分がミーティングの「ホスト」になっている場合には、話が異なります。

同時にサインインしている別の端末でミーティングをホストしている場合新しくミーティングを開始することはできませんでした。

現在進行中のミーティングがあります。新しいミーティングを開始するには、それを終了してください。

[その他のミーティングを終了]

これは、ミーティングIDを変えてみた場合、たとえば「スマートフォンで新規ミーティングを開始していて、パソコンで定期開催のミーティングを開始する」などの場合でも同様でした。

Zoomの有料プランに加入するのは、自分がミーティングのホストを務めるようになったからのはずです。それが、同時入室ができなくなったと感じる原因のわけです。つまり、サブスクリプションに加入する前は、意識せずに他の人のミーティングに入室していたために、複数台のパソコンからでも同じミーティングに入れていたわけです。

無意識に「ゲスト参加」していた

もう一つ、Zoomアカウントで知っておいてほしいことがあります。それは、「ゲスト参加」。

用意されたZoomミーティングに参加するだけの場合は、ZoomアプリやZoomアカウントの設定をしなくても可能です。Zoomミーティングには、ミーティングIDや招待リンクがあれば、Zoomアカウントにサインインしなくても参加できるのです4。この方法で参加していれば、複数のパソコンからでも制限なく同じミーティングに入ることができます。

いつもメールやメッセージで受け取った招待リンクを押してZoomミーティングに参加している場合、自分のZoomアカウントを意識していないということも少なくありません。いったん、Zoomアカウントの登録している場合でも、Zoomアプリでは自動的にサインアウトしていることがあります。そうすると、招待リンクを押してそのまま「ゲスト参加」になっていることがあるのです。

ちなみに、Zoomアプリではなく「ブラウザ版」のZoomは、Zoomアプリとは別のプラットフォームとして扱われることがあります。そのため、アプリでログインしながら、ブラウザでは別途参加するということが可能な場合もあります。

Zoomアカウントの切り替え

Zoomアプリでは、プロフィールアイコンのメニューから「アカウントを追加」したり、「アカウントを切り替え」ることができます。

接続するアカウントを変更すれば、同時接続数の制限は避けることができます。

どうして同時接続数の制限があるの?

Zoomがこのような制限を設けているのは、セキュリティ対策とサーバー負荷の軽減が理由だと考えられます。

  • 同一アカウントでの無制限な同時接続を許可すると、一つのアカウントが大量のデバイスで共有され、本来の利用者以外がアクセスするリスクが高まります。
  • また、サーバーへの負荷も増大します。

一方で、異なる種類のデバイス(パソコン、タブレット、スマートフォン)からの同時接続を許可しているのは、現代の働き方や学習スタイルに配慮したものだと考えられます。例えば、パソコンで資料を見ながらスマートフォンで音声参加するといった使い方を想定しています。

  1. Zoomの公式ドキュメントによると「あるデバイスでログインしている間に同じ種類の別のデバイスでサインインすると、最初のデバイスで自動的にサインアウトされます」とされている。 – 複数のデバイスで Zoom にサインイン
  2. 複数のデバイスで Zoom にサインイン – (2023-10-28 01:35:55)
  3. Zoomの企業向け設定では、管理者が同時サインイン可能なデバイス数を調整可能。デフォルトは各種類1台ずつだが、最大5台まで設定できる。 – Zoomで1人のユーザーが複数のデバイスで使用できますか?
  4. Zoomの公式サポートでは「Zoomでは、ホストが作成したミーティングに出席する場合はアカウントがなくても問題ありません」と説明されている。 – アカウントなしでも利用可能!Zoomミーティングにゲストで参加する方法