イントラネットとインターネット
(ネットワークの歴史)

インターネットとイントラネットは、名前がよく似ています。
けれど意味は真逆です。

インターネットは世界中でつながるコンピュータ・ネットワークであるのに対して、イントラネットは組織内部でのネットワークだからです。

とはいえ、そもそも「コンピュータのネットワーク」とは何なのでしょう。
インターネットを深く知るためには、コンピュータ・ネットワークの基礎を知ることが大切です。

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1. インターネット以前の内部ネットワーク(ホストと端末)

もともと、ネットワークの主役は「人」ではなく「計算機」でした。

インターネット以前の内部ネットワーク メインフレーム 中央の大型計算機 端末 端末 端末 端末 計算資源の共同利用

1960〜70年代、大学や研究所にあったのは、メインフレームと呼ばれる大型コンピューターでした1
とにかく高価で、1つの組織に1台あるかどうか、という世界です。

数値計算、統計処理、シミュレーション。
これらを一人一人が自分の機械で行うのは現実的ではありません。
だからネットワークでつなぎ、共同で使っていました。

そこで使われていたのが、

大型コンピューター + 端末(画面とキーボードだけの装置)

という構成でした。

端末にはほとんど計算能力がありません2
計算はすべて中央の大型コンピューターが行います。
利用者は端末から命令を送り、結果を受け取るだけです。

1.1. 小型コンピューターが賢くなった(サーバー/クライアント)

初期のネットワークは「遠くの計算機を使うための仕組み」だったわけです。
今でいう「サーバー」という言葉はまだ一般的ではありませんが、

中央にある強力な計算機
それを使う側の端末

という関係は、すでにこの時点で成立しています。

その後、小型コンピューターがだんだん高性能になり、端末側でも処理ができるようになります。
ここで、役割分担が生まれました。

サーバーは、データやサービスを提供する側。
クライアントは、それを利用する側。

サーバー/クライアントモデルの誕生 従来型 ホスト 端末 進化 新型 サーバー クライアント 役割分担により柔軟な処理が可能に データ提供 ⇄ 利用

この「サーバー/クライアントモデル」が、現在まで続く基本形です3

つまり、

ホスト+端末

サーバー+クライアント

という形で、考え方が少しずつ洗練されていったわけです。

2. インターネットは何を変えたのか

次に気になったのは、「インターネット」との違いです。

インターネットは何を変えたのか 内部ネットワーク 同じ組織内 世界規模に拡大 インターネット 相互接続された 世界規模のネットワーク 距離と規模の拡張 パケット通信で接続

インターネットは、内部ネットワーク同士を相互につないだものとして始まりました。
大学や研究機関のネットワークを、パケット通信で結んだのが原型です4
「Internet(相互につながるネットワーク)」です。

構造だけを見ると、やっていることは同じです。
ただし、決定的に違う点があります。

距離と規模です。

同じ建物、同じ組織の中だったネットワークが、
都市を越え、国を越え、世界規模に広がりました。

ここで初めてという名前がしっくり来ます。

2.1. 「イントラネット」とTCP/IP

イントラネット」という用語が広く使われるようになったのは、1990年代後半からです。
インターネットに対比する形で、登場しました。

イントラネットの登場 ~1990年代前半 メーカー独自の ネットワーク技術 高コスト・互換性低 1990年代初頭 イントラネット誕生 インターネット技術を 組織内部で活用 TCP/IP採用 1990年代後半~ 広く普及 標準技術化 低コスト・柔軟性 組織内限定ネットワーク インターネット技術 外部非公開 セキュア

イントラネットは、特定の組織(企業、大学、官公庁など)の内部で使用される閉じたネットワークのことで、社内情報の共有や業務システムへのアクセスに使われます。
ただし、通信技術としては、インターネットと同じ技術(TCP/IP、Webブラウザなど)を使用します。

というのも、イントラネット登場前(1990年代半ばまで)は、各コンピューターメーカーが独自の仕様や技術で組織内ネットワークを構築していたため、特定の機種やOSに依存し、互換性や相互運用性に乏しい問題点がありました。

インターネット標準技術(TCP/IP)を採用することで多くの企業が対応製品を提供できるようになりました。

ただし、現在では「イントラネット」という呼称自体が使われる機会は減っています。
2000年前後からインターネットが一般的になると、ほとんどの組織内LANがインターネット標準技術を採用するようになり、「当たり前」になったからです。

3. クラウドサービスは昔の延長線上にある

ここまで来て、クラウドサービスの姿が重なってきました。

クラウドサービス:思想の回帰 1960年代 メインフレーム 中央の計算機を共有 回帰 現代 クラウド 遠隔の計算資源を共有 共通する本質 計算資源を所有せず 遠隔で共有する

クラウドベースのサービスは、遠隔地にある巨大な計算資源をネットワーク経由で必要な分だけ使います5

メインフレーム時代の「中央の大型計算機をみんなで使う」という発想と、かなり似ています6
もちろん、まったく同じではありません。

規模は世界全体。
用途は計算だけでなく、保存、配信、AIまで含みます。
利用者も研究者限定ではありません。

でも本質だけを見ると、
「計算資源を所有せず、遠隔で共有する」
という一点は、ずっと変わっていません。

4. まとめ

ネットワークの歴史は、人と人をつなぐ話ではなく、計算資源をどう共有するかの試行錯誤でした。

インターネットもクラウドも、内部ネットワークから始まった考え方が、距離と規模を拡張しながら、今の形になったのです。

  1. メインフレームは1960年代に大学や国の機関を中心に設置され、1964年にIBMが発表したSystem/360が汎用コンピューターの始まりとされています。 – メインフレーム – Wikipedia
  2. 当時の端末は文字の入力受付と表示を行なうのみの貧弱な処理能力しかなく、あらゆる計算はメインフレームによって集中的に処理されていました。 – クライアントサーバモデル – Wikipedia
  3. クライアントサーバモデルは、機能やサービスを提供するサーバと、それを利用するクライアントを分離し、ネットワーク通信によって接続する、コンピュータネットワークのソフトウェアモデルです。 – クライアントサーバモデル – Wikipedia
  4. インターネットの起源は、1969年に米国で開始されたARPANETです。世界で初めて運用されたパケット通信コンピュータネットワークで、大学や研究機関を接続しました。 – ARPANET – Wikipedia
  5. クラウドコンピューティングの概念は1960年代のメインフレーム時代にすでに存在していました。ネットワーク経由のコンピュータ資源利用は1950年代から行われており、基本的には新しい技術ではありません。 – クラウドコンピューティング – Wikipedia
  6. クラウドコンピューティングにおける重要な概念である「ネットワーク全体の資源を1つのコンピュータ資源として見る」という考え方は、1960年代のメインフレームの時代にすでにあったものです。 – Chapter4:クラウドの歴史