どれぐらい古い中古ノートパソコンでも
支障ないか?
(マルチスレッド性能)

最近のノートパソコンは、とても高性能です。
一方で、実際に使ってみると、ブラウザや表計算、資料作成といった日常的な作業では、数年前のパソコンでも体感がほとんど変わらないと感じることもあります。
とはいえ、ある程度より古いパソコンだと急に遅く感じたり。

中古パソコンを検討する中で、「CPUの性能は、どこを見ればよいのか」を整理すると、考え方がとてもシンプルになりました。

  • 事務作業中心 → 3〜5年落ちの中古(6〜9万円)でも十分
    → Core i7-1260P(2022)クラスで体感差なし
  • 重い処理も行う → 最新または1〜2年落ち(10万円〜)
    → マルチスレッド性能の高いモデルを選ぶ

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1. CPUのモデルと世代

中古パソコンの説明を見ると、よく「Core i7」「Ryzen 7」といった表記が目に入ります。
一見すると、数字が大きいほど速そうに見えます。

しかし、たとえば、Core i7相当の中古パソコンを調べてみると、製造年によって価格は大きく変わります。
同じ「Core i7」でも、発売された年が違うと性能は大きく変わるからです。

製造年/世代CPUスレッドSTRMTi7-1260P比適した用途中古実勢価格(円)新品想定価格
2025Core Ultra 7 265H16441834628137% / 209%高負荷(AI/創作)新品中心23〜28万円
2023–24Core Ultra 7 155U14332716205103% / 98%万能型(軽〜中)8〜11万円22〜26万円
2023–24Ryzen 7 7840U16354724524110% / 148%AI/重編集向き8〜12万円21〜26万円
2023–24Core Ultra 7 155H22344224687107% / 149%ゲーム・AI軽重作業10〜14万円22〜28万円
2023Core i7-1360P16343618518107% / 112%万能型+少重作業8〜11万円21〜26万円
2022Core i7-1260P16322316586100% / 100%万能型(一般〜編集)6〜9万円20〜25万円
2021Ryzen 7 5800U1629961806393% / 109%一般〜中負荷作業5〜7万円19〜24万円
2019Core i7-10510U82220640569% / 39%軽〜中作業3.5〜5万円19〜24万円
2017Core i7-8550U82007579762% / 35%事務・軽編集2.5〜4万円19〜23万円
2016Core i7-7500U41902363059% / 22%事務・軽作業2〜3万円18〜22万円
2015Core i7-6600U41773340755% / 21%事務・軽作業1.5〜2.5万円18〜22万円

つまり、CPUは「名前」だけで判断すると失敗しやすいのです。
では、いつごろのパソコンなら十分の性能なのでしょうか。

2. CPU性能は2つに分けて考える

CPUの性能は、大きく分けて2つあります。

CPU性能は2つに分けて考える 単一スレッド 1つの作業を どれだけ速く 処理できるか 世代差が重要 マルチスレッド 複数の作業を 同時にどれだけ 処理できるか コア数が重要
  • 1つ目は、単一スレッド性能です。
    これは「1つの作業をどれだけ速く処理できるか」という性能です。
    主に、CPUの世代差が大きく影響します。
    人で例えると、1人でどれだけ速く仕事ができるか、という力に近いです。
  • 2つ目は、マルチスレッド性能です。
    これは「複数の作業を同時にどれだけ処理できるか」という性能です。
    これは、CPUのモデルによる違いが大きいです。
    こちらは、人を何人も集めて、同時に作業を進める力だと考えるとわかりやすいです。

ただし、近年のCPUの単一スレッド性能は、そこまで向上していません。
急激に向上しているのはマルチスレッド性能。

CPU性能比較:世代別進化 マルチスレッド性能 (MT) シングルスレッド性能 (STR) 0 8k 16k 24k 32k 0 1200 2400 3600 4800 2015 2016 2017 2019 2021 2022 2023高性能 2023省電力 2025 最新世代 世代別推移 2015-17 初期 2021-22 転換 2023 二極化 2025 最新

つまり、最新の高性能パソコンを必要とするかは、このマルチスレッド性能が必要なのかが重要です。

2.1. 単一スレッド性能が効く場面

ブラウザでページを開く、文字を入力する、表計算ソフトを操作する。
こうした作業の多くは、実は1つの処理を順番に行っています。
そのため、単一スレッド性能が低いと、遅くなってしまいます。

ただし、ここが重要な点です。
ブラウザや表計算などの事務作業では、CPUに強い負荷はかかりません。
2010年台後半のCPUでもすでに「十分な水準」に達しています。
体感の差が出にくい理由は、ネットワークやストレージなどの待ち時間が支配的だからです。
そのため、最新CPUの性能は高すぎて、使い切れない状態になっています。

たとえるなら、制限速度40kmの道路を、時速100km出せる車で走っているような状態です。
それ以上速い車に乗り換えても、体感はほとんど変わりません。

2.2. マルチスレッド性能が効く場面

一方で、動画の編集、プログラムのビルド、ローカルAIの処理などは話が違います。
これらは、作業を細かく分けて同時に進められます。
このとき効いてくるのが、マルチスレッド性能です。
人手が多いほど、処理は早く終わります。

こうした用途では、CPUの世代が新しく、コアやスレッドが多いほど、待ち時間がはっきり短くなります。
最新のCPUが「ちゃんと役に立つ」場面です。

3. 中古パソコン選びで役に立つ判断軸

まず、自分の用途をはっきりさせます。
事務作業が中心なのか、重い処理をするのか。

用途別の選び方 単一スレッド性能 マルチスレッド性能 古い廉価版 テキスト入力 業務端末 3〜5年落ち Web・Office 学習・事務作業 最新〜2年落ち 一般用途+重作業 動画編集・AI処理 ビルド・仮想環境
単一スレッド性能:低単一:高
マルチスレッド性能:低かなり古い廉価版
・テキスト入力専用
・業務端末
・サーバー管理端末
やや古い高性能PC/
最新のミドルレンジ
・Web / Office の組み合わせ
・学習・事務
マルチ:高(あまりない)最新の高性能PC
・一般用途+重作業
・動画エンコード、3Dレンダリング
・プログラムビルド・仮想環境
・ゲーム+配信少々

次に、単一スレッド性能が「十分かどうか」を確認します。

中古市場を見ると、発売から3〜5年ほど経ったノートパソコンは、価格が大きく下がります。
一方で、この世代のCPUは、事務作業では最新モデルと体感差がほとんどありません。
さすがに2015年ごろのパソコンだと性能不足を感じますが、動画編集やビルドをしないなら2020年頃のハイエンドモデルなら今でも十分使えます。

3.1. CPU選びで大切なこと

中古ノートパソコン選びで重要なのは、CPUの名前ではありません。
用途に対して、単一スレッド性能が足りているか。
マルチスレッド性能を本当に使うか。

この2点を切り分けて考えると、判断は驚くほどシンプルになります。

高性能であることと、満足度が高いことは、必ずしも同じではありません。
用途に合った性能を選ぶことが、いちばんの近道でした。