OneNoteの2つのバージョンの違いと
統一される理由
(Win32とUMP)

2025年10月、「OneNote for Windows 10」がサポート終了を迎えます1
実はWindows環境ではしばらく、2つのOneNoteが併存していました。
今回はこの統一がなぜ起きたのか、Windowsのアプリの作り方の違いを見ていきます。

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1. 2つのOneNote(Win32とUWP)

OneNoteには「デスクトップ版OneNote」と「OneNote for Windows 10」という2つのバージョンがありました。
単に名前が違うだけでなく、根本的な技術基盤が異なっています。

2つのOneNoteが存在していた デスクトップ版 OneNote Win32 伝統的な技術 VS OneNote for Windows 10 UWP 新しい技術 技術基盤が根本的に異なる

デスクトップ版OneNoteは、Win32という伝統的なWindowsアプリケーション技術で作られています。
一方のOneNote for Windows 10は、UWP(Universal Windows Platform)という新しい技術で作られました2

この2つ、見た目だけでなく機能面でも結構違います。

1.1. 技術基盤の違いが生む機能差

Win32で作られたデスクトップ版は、Windowsの機能をフルに使えます。
そのため、ローカルストレージへの保存やアドインの追加、細かいカスタマイズなど、できることが多いです。

Office製品に慣れている人なら分かると思いますが、「ファイル」→「オプション」を開くとたくさんの設定項目が並んでいますよね。

技術基盤の違いが生む機能差 Win32(デスクトップ版) ローカル保存 アドイン対応 詳細カスタマイズ 64/32ビット版 機能が豊富 UWP版 クラウドのみ タッチ最適化 シンプル設計 セキュリティ重視 シンプルで安全

一方、UWPで作られたOneNote for Windows 10は、セキュリティとシンプルさを優先した設計になっています。
タッチ操作に最適化されていて、インターフェースもモダンですが、カスタマイズできる範囲は限られます。
もっとも大きな違いはクラウドストレージのみの対応で、ローカル保存はできないこと。

2. Windows 10ではUWPを推進したけれど

Windows 10が登場したとき、MicrosoftはUWPを大きく推進していました。
タッチ操作への対応、自動的なセキュリティ保護、Microsoft Store経由での配信など、現代的なアプリのあり方を示していたと言えます。

なぜUWPへの移行が進まなかったのか ! UWPの制約 ❌ ファイルシステムへの直接アクセス制限 ❌ 既存Windowsコンポーネントとの連携困難 ❌ 企業向け機能(グループポリシー等)非対応 Win32の柔軟性が必要だった

しかし実際には、多くの開発者やユーザーがWin32の柔軟性を必要としていました。
ファイルシステムへの直接アクセスや、既存のWindowsコンポーネントとの連携など、UWPの制約では実現できないことが多かったんです。

企業環境では特に顕著でした。
グループポリシーでの管理、ローカルストレージへの保存、既存システムとの統合といった要件は、UWPでは対応が難しかったからです。

2.1. 2020年に方針転換

Microsoftは2020年3月、デスクトップ版OneNoteをOfficeインストールのデフォルトに戻しました3
以前はOffice 2019からOneNoteを外していたのですが、方針を大きく転換したわけです4

2つのバージョンを並行開発し続けるのは、開発リソースの分散を招きます。
新機能を追加するにも、同じことを2回やらなければなりません。
ユーザーにとっても「どちらを使えばいいの?」という混乱がありました。

デスクトップ版に統一することで、開発を集中させ、より多くの機能改善ができるようになります。

2.2. 技術の置き換えから共存へ

この統一は、Windows開発全体の方向性を象徴している気がします。

Windows 11では、UWPへの注力が弱まりました。
Win32とのハイブリッドアプローチが採用されています5

新しい技術が必ずしも旧来の技術を完全に置き換えるわけではない。
それぞれの長所を生かしながら共存していく方向に舵を切ったと捉えています。
OneNoteの統一は、その流れの一部なのかもしれません。

  1. Microsoftの公式発表によれば、2025年10月14日にOneNote for Windows 10は読み取り専用モードに移行し、編集や同期ができなくなります。 – OneNote for Windows 10に何が起こっているか
  2. UWPはWindows 10で導入されたアプリケーションプラットフォームで、タッチ操作への最適化、自動的なセキュリティ保護、Microsoft Storeを通じた配信などが特徴です。 – What’s a Universal Windows Platform (UWP) app?
  3. 2020年3月以降、Office 2019およびMicrosoft 365をインストールすると、デスクトップ版OneNoteがWord、PowerPoint、Excelと共にデフォルトでインストールされるようになりました。それ以前はOffice 2019にOneNoteが含まれていませんでした。 – 「OneNote 2016」は終わらず
  4. Microsoftは当初、UWP版をメインとする方針でOffice 2019からデスクトップ版OneNoteを除外していましたが、2019年11月にこの方針を撤回し、デスクトップ版のサポート延長を発表しました。 – Office 2019 および Microsoft 365 の OneNote についてよく寄せられる質問
  5. MicrosoftはProject Reunion(現在のWindows App SDK)を通じて、UWPとWin32の両方の長所を統合する方向に舵を切っています。UWP単独での開発は2021年10月に新機能追加が停止されました。 – Universal Windows Platform – Wikipedia