Claude 4時代のIntegrationsと
Research:AIの使い分けが
変える作業スタイル

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1. Claude 4で強化された2つの新機能

2025年5月、Anthropic社のClaude 4と共に登場したIntegrationsとResearch機能。これらは単なる新機能ではありません。AIとの付き合い方そのものを変える可能性を秘めています。

実際に仕様を調べてみると、従来の対話型AIとは異なる設計思想が見えてきました。その違いを理解すると、AIをより効果的に活用できそうです。

1.1. 2025年のリリーススケジュール

これらの機能は段階的にリリースされています。

  • 2025年2月にClaude 3.7 Sonnetが推論時間を調整できるハイブリッドモデルとして登場。
  • 5月2日にIntegrations機能が発表され、
  • 5月22日にClaude 4が正式リリース。
  • 6月3日にはProプランでも利用可能になりました1

Claude 4の特徴は、コーディング能力の大幅な向上です。世界最高レベルのコーディング性能を実現し2、数千ステップの長期タスクを7時間継続して実行できるようになりました。世界最高レベルのコーディング性能を実現し、数千ステップの長期タスクを7時間継続して実行できるようになりました。

2. Integrations:外部サービスとの連携

Integrations機能は、Claudeを他のWebサービスやアプリケーションと接続する仕組みです。これまでローカル環境に限定されていたMCP(Model Context Protocol)が、インターネット経由でリモートサーバーと通信できるようになりました。

MCPとは、AI アプリケーションがツールやデータに接続するためのオープン標準です3。Anthropic社が開発したこの仕組みにより、開発者は簡単にClaude用の連携ツールを作成できます。

現在利用可能な連携サービスは10種類を超えます。Zapierを使えば数千のアプリと連携でき、AsanaやLinearではタスク管理が可能です。Atlassianとの連携では、JiraやConfluenceと直接やり取りできます。

2.1. 利用可能なIntegrationsサービス一覧(Pre-built Integrations)

公式に発表されている主要なIntegrationsサービスは以下の通りです:

カテゴリサービス名主な機能
プロジェクト管理・タスク管理Asanaタスクの作成、検索、割り当てが可能
Linear課題やプロジェクト、コメントの検索・作成
AtlassianJiraでの課題管理とConfluenceでの文書作成・検索
開発・技術サポートCloudflareクラウドサービスの構築、管理、デバッグ
Sentryエラーの検索、クエリ、インテリジェントなデバッグ
顧客サポート・ビジネスIntercomサポートトレンドの分析と顧客課題のトリアージ
PayPal請求書の作成・管理と売上活動の分析
Square取引、加盟店、決済データの検索・管理
データ分析・自動化Plaidメトリクス、使用状況、サポートチケットの分析
Zapier数千のアプリを横断した会話ベースのワークフロー自動化

これらのサービスは、それぞれ専用のMCPサーバーURLが提供されており、Claude.aiの設定画面から直接追加できます。設定方法は「Settings > Integrations」から「Add integration」を選択し、サービス名とURLを入力するだけです。

2.2. セキュリティと利用上の注意点(OAuth認証)

Integrations機能を使用する際は、セキュリティに注意が必要です。Claudeが外部サービスにアクセスできるようになるため、信頼できるサービスのみと連携することが重要です。

権限の設定も慎重に行う必要があります。OAuth認証を通じて適切な権限のみを付与し4、不要な権限は与えないことが推奨されています。

悪意のあるMCPサーバーは、Claudeに意図しない動作をさせる可能性があります。そうしたサーバーを発見した場合は、Anthropic社に報告することが求められています。

3. Research:長時間の自律調査

Research機能は、Claudeが最大45分間にわたって自律的に調査を行う機能です。

たとえば「市場分析レポート」を依頼した場合、Web上の最新ニュース、自社のGoogle Driveにある過去の資料、Asanaのプロジェクト情報を組み合わせて分析します。多くのレポートは5分から15分で完成しますが、複雑な調査では45分まで時間をかけます。通常の対話とは根本的に異なる動作をするわけです。

3.1. Research機能の動作メカニズム

  • Research機能を有効にすると、Claudeは質問を自動的に小さな部分に分解します。
  • そして各部分について独立して深く調査し、最終的に包括的なレポートにまとめます。
  • この過程では、検索結果を見ながら次に調べるべき内容を自動判定します5。まるで熟練した調査員が「この情報が見つかったから、今度はあの角度から調べてみよう」と考えながら作業を進めるような動作です。

さらに、Research機能には「Advanced Research」モードも用意されています。このモードでは、より詳細で多角的な分析が可能になり、数百の内部・外部情報源を横断して調査します。

3.2. 出典管理と著作権への対応

Research機能は複数の情報源を並行して活用します。Web検索はもちろん、Google WorkspaceやGmail、Google Calendarからの情報収集も可能です。さらに、接続されたIntegrationsサービスからもデータを取得できます。

調査結果には明確な出典が記載されます。各情報がどの文書や記事から得られたかが分かるため、後から検証も可能です。この透明性により、ビジネス用途でも安心して活用できます。

Research機能では、情報の引用も適切に処理されます。著作権を尊重し、15語以下の短い引用のみを使用し6、必ず引用符で囲んで出典を明記します。

4. 一般解と特殊解:AIの使い分けという新しい視点

これらの機能を詳しく調べていくと、Research機能は「一般解」に適しており、対話型の調査は「特殊解」に向いている気がしました。

というもの、どちらの機能を選ぶかは、求める答えの性質によって決まります。

  • 誰が聞いても同じような答えで十分な場合は、Research機能が適しています。
  • 自分だけの答えが必要な場合は、対話型が適しています。

もちろん、実際の作業では、両方を組み合わせることも多くなりそうです。
まずResearch機能で全体像を把握し、その後対話型で特定の部分を深掘りするという流れです。

4.1. Research機能が得意な一般解

Research機能は、広範囲の情報収集に優れています。「AI業界の投資動向を調査して」「競合他社の技術戦略を分析して」といった、網羅的な調査に適しています。

この機能は、調査の方向性が最初から明確でない場合に威力を発揮します。複数の専門分野にまたがる情報を横断的に収集し、全体像を把握するのに適しています。たとえば、コンサルティング業界でよく使われる「とりあえず業界全体を把握したい」という需要にも応えられます。45分待てば詳細なレポートが完成するため、時間効率も良好です。

4.2. 対話型が得意な特殊解

一方、対話型の調査は特定の文脈に特化した情報収集に向いています。「この技術について教えて」から始まって「もう少し詳しく」「実装例は?」と段階的に深掘りしていく方式です。

専門知識を持つ人が、自分の状況に合わせて調査を進められます。「うちの会社の技術スタックだと、この新技術をどう導入すべき?」といった、個別性の高い質問に適しています。SVGやHTMLの生成、JavaScriptの開発などでは、細かい要件調整が必要になります。こうした作業では対話型の方が圧倒的に効率的です。

4.3. AIとの付き合い方の変化

従来は「AIに質問して答えをもらう」という単純な関係でした。しかし、「一般的な情報収集はAIに任せ、特殊な問題解決では人間が主導権を握る」という使い分けが可能になると、その判断力が、AI活用の効果を大きく左右しそうです。

Claude 4のIntegrationsとResearch機能は、AI活用における「一般解」と「特殊解」の使い分けという新しい概念を提示しています。適切に使い分けることで、より効率的で質の高い作業が可能になります。


  1. Claude can now connect to your world – Anthropic – Integrations機能とResearch機能の公式発表資料
  2. Introducing Claude 4 – Anthropic – Claude 4の技術仕様とコーディング能力の詳細
  3. About Custom Integrations Using Remote MCP – Anthropic Help Center – Integrations機能の技術的な仕組みと使用方法
  4. Using Research on Claude.ai – Anthropic Help Center – Research機能の具体的な使用手順と制限事項
  5. Pre-built Integrations Using Remote MCP – Anthropic Help Center – 利用可能なIntegrationsサービスの一覧と設定方法
  6. Security & Privacy with Custom Integrations – Anthropic Help Center – Integrations使用時のセキュリティガイドライン
  7. Anthropic’s new Claude 4 AI models can reason over many steps – TechCrunch – Claude 4の技術的特徴と業界での位置づけ
  8. Amazon-backed Anthropic debuts Claude 4 Opus and Sonnet AI models – CNBC – Claude 4のビジネス活用事例と市場への影響
  9. Claude (language model) – Wikipedia – Claudeモデルの開発経緯と技術的背景

  1. 当初はMax、Team、Enterpriseプランのみでしたが、2025年6月3日のアップデートでProプランにも機能が拡張されました – Claude can now connect to your world – Anthropic
  2. Claude Opus 4はSWE-benchで72.5%、Terminal-benchで43.2%のスコアを記録し、これは2025年5月時点で最高水準です – Introducing Claude 4 – Anthropic
  3. MCPは2024年11月にAnthropic社が発表したオープンソースプロトコルで、AIアプリケーションと外部ツール間の標準化された通信を可能にします – Model Context Protocol – Anthropic
  4. OAuthは、パスワードを共有せずに第三者アプリケーションに限定的なアクセス権限を与える業界標準の認証プロトコルです – Security & Privacy with Custom Integrations – Anthropic Help Center
  5. Research機能は複数の検索クエリを段階的に実行し、各結果を分析して次のアクションを決定するエージェント的な動作をします – Using Research on Claude.ai – Anthropic Help Center
  6. Anthropic社は著作権保護のため、検索結果からの引用を15語以下に制限し、必ず引用符と出典を明記する方針を採用しています – About Custom Integrations Using Remote MCP – Anthropic Help Center