イベント出店でキャッシュレス決済を導入したいけれど、クライアントがネットに詳しくない——そんな状況でシステム担当者がSquareの設定を代行する場合、本人確認はどう進めるべきか考察しました。技術担当でありながら、他社の決済環境を整える立場になったときの実践的な対応パターンをまとめています。
なぜイベント出店でキャッシュレス決済が必要か
イベント出店では、現金管理の手間やお釣りの準備、盗難リスクなどの問題があります。キャッシュレス決済を導入すれば、これらの問題を一気に解決できます。特に一時的なイベント出店では、月額費用のかからないSquareのようなサービスが人気です。
ただし、設定には本人確認や銀行口座登録など複数のステップが必要です。ネットに詳しくないクライアントのために代行する場合、どこまで代理で手続きできるのか、どのような情報が必要なのかが課題となります。
Square決済導入に必要な手続き
Squareで決済を受け付けるために必要な手続きを簡単に整理すると、以下のようになります。
- Squareアカウントの作成(無料、5分程度)
- 事業者情報・代表者情報の登録
- 本人確認書類の提出(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 事業実態の証明(開業届、登記簿謄本、または広告・名刺など)
- 入金用銀行口座の登録と認証(1円の振込による確認)
- 審査完了と決済端末の準備
これらの手続きをクライアントに代わって行う場合、どのような点に注意すべきでしょうか。
代理手続きの主な3パターン
システム担当者がクライアントの代わりにSquare設定を行う方法には、主に3つのパターンがあります。
パターン1:クライアント名義での申請・サポート型
最も一般的で推奨される方法です。クライアント会社の名義でSquareアカウントを作成し、技術担当者はその作業を「サポート」として手伝います。必要な情報や書類はすべてクライアントから提供してもらい、実際の入力作業を代行します。
これは友人のスマートフォン設定を手伝うようなものです。設定は手伝いますが、アカウントの所有者は友人のままです。
具体的な進め方:
- 必要書類のリストをクライアントに事前に渡す
- オンライン会議ツールで画面共有しながら一緒に設定する方法も効果的
- 書類はセキュアな方法(パスワード付きZIPファイルなど)で受け取る
パターン2:代理店・取次店として契約
一部の決済代行業者では、代理店やパートナープログラムを提供しています。技術会社が正式な代理店として契約し、クライアント会社のために申請・設定を代行する形です。
これは不動産仲介のようなものです。手続きの専門家として間に入り、必要な情報を集めて代行します。
注意点:
- Squareが正式な代理店制度を提供しているか確認が必要
- 最終的には実店舗運営者(クライアント)の情報が審査に必要
パターン3:サービス提供型(自社決済の提供)
技術会社が自社名義でSquareアカウントを作成し、イベント売上をいったん受け取って、後日手数料を差し引いてクライアントに送金する方法です。
これは決済代行業そのものになります。銀行のようにお金の流れを仲介する役割を担うことになります。
重大な注意点:
- 法的には決済代行業に該当する可能性があり、規制対象になることも
- 税務上の処理が複雑(売上の二重計上など)
- クライアントとの信頼関係が特に重要
現場での実際の対応例
イベント出店でのSquare設定を代行している業者の実例を見てみましょう。
小規模イベント出店の場合
多くの場合、「パターン1」の代理申請方式を採用しています。クライアントから必要書類を預かり、すべてのオンライン手続きを代行します。クライアントに必要なのは以下の情報だけです。
- 代表者の本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)
- 事業実態を示す資料(会社名刺、広告、イベント招待状など)
- 入金用銀行口座情報
法人クライアントの場合
より正式な手続きとして、書類預かりの際に簡単な委任状や同意書を用意する業者もあります。これにより「なりすまし」ではなく「委任を受けた代理申請」であることを明確にしています。
イベント主催者側が一括対応するケース
大規模イベントでは、主催者側がSquareアカウントを用意し、出店者全員の売上を一括管理した後に、各出店者に精算するモデルも見られます。この場合、出店者は本人確認などの手続きが不要になります。
実践的な対応手順
現実的に最も採用されているパターン1(クライアント名義での申請・サポート型)の具体的な進め方をまとめます。
1. 事前準備として
- 必要書類リストの作成(チェックリスト形式だとわかりやすい)
- 情報セキュリティに関する簡単な同意書の準備
- セキュアなファイル共有方法の確立
2. クライアントから必要な情報を収集
- 代表者の本人確認書類(運転免許証など)
- 事業実態の証明書類(最低でも1つ)
- 銀行口座情報(通帳の写真など)
3. 手続きの代行
- Squareアカウントの作成(クライアント会社名義で)
- 必要情報の入力と書類のアップロード
- 銀行口座の登録(1円テスト入金の説明もしておく)
4. 審査完了後の対応
- クライアントにアカウント情報を引き渡し
- パスワード変更の依頼
- 基本的な操作方法の説明資料の提供
注意すべきポイント
Squareなどの決済サービスには、いくつか重要なルールがあります。
- 実際の事業者名義での申請が必須:「なりすまし」は規約違反
- 本人確認情報は正確に:虚偽申告は審査落ちや後日アカウント停止の原因に
- 口座名義は事業者名義と一致が必要:個人口座は基本的に不可
- 代理申請は明確な同意の下で:トラブル防止のため書面で残すと安心
まとめ
イベント出店でのSquare決済導入を代行する場合、「クライアント名義でのアカウント作成・申請代行」が最も安全で一般的なアプローチです。必要な本人確認書類や口座情報はクライアントから提供してもらい、技術担当者は入力やアップロードなどの作業のみを代行します。重要なのは、すべての情報が実際の事業者(クライアント)のものであり、クライアントの同意を得て進めることです。
セキュリティやプライバシーに配慮しながら、必要最小限の情報のみを扱うことで、スムーズな代行手続きが可能になります。クライアントにとっても、面倒な手続きを任せられるメリットがあり、Win-Winの関係を構築できるでしょう。
- Square 公式ヘルプ – アカウント作成と設定方法 – Square決済の基本的な設定手順と必要書類についての公式ガイド
- Square アカウントの申込審査に関するFAQ – 審査手続きと必要書類、代理申請時の注意点に関する公式FAQ
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- 【実例】イベント出店でキャッシュレス決済を導入しました – 実際のイベント出店でのSquare導入事例と代行設定の体験談
- 【Square ガイド】イベント出店時のチェックポイントまとめ – イベント出店特有の決済導入ポイントと当日の運用に関する公式ガイド
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