! ノートパソコンの古いバッテリー、外すべきか付けたままか

きっかけは2011年製のSONY製ノートパソコン

「10年以上前の古いノートパソコンを、文書印刷の用途だけで使い続けたい」という相談がありました。ただし、充電ランプが点滅している状態で、内蔵バッテリーが完全に動作していないようでした。

すでにメーカーは修理や交換のサポートを終了しています。この場合、バッテリーは外した方がいいのか、それとも付けたままの方が安全なのか。バッテリーの故障による事故のリスクと、外した際に端子が剥き出しになることへの懸念を比較してみました。

バッテリーの状態を確認する

2011年製のSONY製のノートパソコンで、Windows 7からWindows 10にアップグレードしてありました。リチウムイオンバッテリーそのものには、外見上は膨らみや変形は見られません。ただし、ランプの点滅はバッテリーが正常に動作していないことを知らせるサインです。

今回は膨張していませんでしたが、油断はできません。

外すことを選んだ理由

結論として、バッテリーを外すことにしました。

ノートパソコンの場合は、ACアダプター(電源コード)を常時接続して使う環境であれば、バッテリーは必須ではありません。スマホと違って、ノートパソコンはバッテリーなしでもACアダプターからの電源供給だけで動作します1

一方、古いバッテリーを装着したままにしておくリスクは無視できません。点滅という異常信号が出ている状態で使い続けると、発熱や最悪の場合は発火の可能性もゼロではないと考えたからです。

リチウムイオンバッテリーの特性を理解する

バッテリーの形状や容量には違いがありますが、ノートPCもスマホも、リチウムイオンバッテリーという同じ技術を使っています。

  • ノートPC用バッテリーは、円筒形のセル(電池の単位)を複数組み合わせたものが多く、容量も4000mAh(ミリアンペアアワー:電池の容量を表す単位)から10000mAh以上と大きめです2
  • 一方、スマホ用バッテリーは薄型のパウチ型(袋状)セルを使い、3000〜5000mAh程度です。

リチウムイオンバッテリーは経年劣化すると、内部で化学反応が進み発熱や膨張のリスクが高まります3。これも同じです。スマホは本体とバッテリーが一体化している機種が多く、膨張すると画面が浮いてくるなど、すぐに異変に気づきます。一方、ノートPCのバッテリーは取り外し式が多く、本体から外して確認しないと膨張に気づきにくい場合があります。

高温環境での使用や保管、充電と放電の繰り返しが多い場合、そして製造から年数が経過している場合、内部でガスが発生し、バッテリーが膨らむ現象は珍しくありません4。2011年から10年以上が経過したバッテリーは、たとえ外見が正常に見えても内部の劣化は避けられません5。膨張したバッテリーは、発火のリスクが高まるため、すぐに使用を中止する必要があります。

外したバッテリーは回収へ

取り外したリチウムイオンバッテリーは、早めに処分するのが望ましいです。自治体によってリサイクルルールが異なりますが、自治体の小型家電回収の仕組みや家電量販店などの回収ボックスを利用するのが一般的です6

端子の露出は絶縁する

バッテリーを外した場合、本体側の接続端子が露出します。ただし、バッテリー接続部は内部に収まっており、通常の使用で直接触れることは少ないです。気になる場合は、乾いた柔らかい布で時々ホコリを拭き取ったり、絶縁テープで保護する方法もあります7

停電に注意

このようにバッテリーが動作してないない場合には、停電時や電源コードが抜けると即座にパソコンの電源が切れます。簡単に作業中のデータが失われる可能性があるので注意が必要です。

まとめ

古いノートパソコンのバッテリーが異常を示している場合、バッテリーを外してACアダプターのみで運用する方が安全性が高いです。リチウムイオンバッテリーは経年劣化により膨張や発火のリスクがあり、特に10年以上経過したバッテリーは要注意です。端子の露出は通常の使用環境では大きな問題にならず、古いバッテリーの発熱・発火リスクを避けることの方が重要です。取り外したバッテリーは適切な方法で早めに処分しましょう。


  1. 多くのノートパソコンはバッテリーを取り外した状態でも、ACアダプターが接続されていれば起動・動作が可能です。ただし、機種によっては動作しない、またはCPU性能が制限される場合もあります。 – ノートパソコン、実はバッテリーなしで使えます(ただし条件付きで)
  2. ノートパソコンのバッテリー容量は3000〜4500mAh程度が一般的で、18650型の円筒形セル(1本あたり約2200〜2600mAh)を複数本組み合わせて構成されています。 – ノートパソコンのバッテリーの平均容量はどれくらいですか?
  3. リチウムイオン電池は経年劣化により内部でガスが発生し、バッテリーが膨張する現象が起こります。膨張したバッテリーは発熱や発火のリスクが高まるため、使用を中止し早急に処分が必要です。 – リチウムイオン電池の寿命は何年?長持ちさせる「3つの方法」も解説
  4. リチウムイオンバッテリーは40℃を超える高温環境で急激に劣化が進行します。また、満充電状態での保管、過充電・過放電、大電流放電の繰り返しも劣化を早める要因となります。 – リチウムイオンバッテリーは何をすると劣化するのか、データで見る劣化の6つの要因
  5. ノートパソコンのバッテリーは一般的に2〜5年程度で寿命を迎え、充放電を約300〜500回繰り返すと性能が低下し始めます。10年以上経過したバッテリーは経年劣化が相当進んでいると考えられます。 – ノートパソコンはバッテリー無しで利用可能?外して使うとどうなるか解説
  6. リチウムイオン電池は一般社団法人JBRCに加盟しているメーカーの製品であれば、家電量販店などの協力店に設置されているリサイクルボックスで無料回収されます。ただし、膨張したバッテリーは回収ボックスに入れられない場合が多く、自治体やメーカーに相談が必要です。 – 【特集】膨張したリチウムイオンバッテリ、正しい処分方法は?
  7. パソコンの端子部分のホコリ対策として、乾いた柔らかい布での清掃は一般的な方法です。ただし、バッテリーを取り外した状態での本体側端子への具体的な対処法については、メーカーの公式ガイドラインが少ないため、心配な場合はメーカーサポートに相談することをお勧めします。なお、取り外したバッテリー側の端子は絶縁テープで保護することが推奨されています。 – バッテリパックの取り扱いについて教えてください