「携帯電波なしで通話できる」
スマホとは?
(Xiaomiオフライン通信)

SNSを見ていると、「携帯電波なしで通話できる」という表現を見かけました。

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      <!-- 背景の白い角丸四角形 -->
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      <!-- 左側のスマートフォン -->
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      <!-- 右側のスマートフォン -->
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      <!-- 中央のBluetoothアイコン -->
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        <!-- Bluetooth記号 -->
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      <!-- 左側の電波 -->
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        <path d="M -8 -12 Q -12 0 -8 12" fill="none" stroke="#4CAF50" stroke-width="2.5" stroke-linecap="round" opacity="0.6"/>
        <path d="M -14 -18 Q -20 0 -14 18" fill="none" stroke="#4CAF50" stroke-width="2.5" stroke-linecap="round" opacity="0.4"/>
      </g>
      
      <!-- 右側の電波 -->
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        <path d="M 8 -12 Q 12 0 8 12" fill="none" stroke="#4CAF50" stroke-width="2.5" stroke-linecap="round" opacity="0.6" class=""/>
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      <!-- 接続を示す双方向矢印 -->
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        <!-- 左向き矢印 -->
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        <path d="M 8 -4 L 5 0 L 8 4" fill="none" stroke="#FF9800" stroke-width="3" stroke-linecap="round" stroke-linejoin="round"/>
      </g>
      
      <g transform="translate(95, 100)">
        <!-- 右向き矢印 -->
        <line x1="0" y1="0" x2="15" y2="0" stroke="#FF9800" stroke-width="3" stroke-linecap="round"/>
        <path d="M 12 -4 L 15 0 L 12 4" fill="none" stroke="#FF9800" stroke-width="3" stroke-linecap="round" stroke-linejoin="round"/>
      </g>
      

    </g>

</svg>「携帯電波なしで通話できる」<br class="chiilabo-br is-on">スマホとは?<br class="chiilabo-br is-on">(Xiaomiオフライン通信)

便利に聞こえますが、「携帯電話なしで通話」は、言葉の置き方ひとつで受け取り方が大きく変わります。

関連記事

1. 「通話」と「電話」は微妙に違う?

日常会話で「電波がない」と言うと、多くの人は「4G/5Gの基地局が圏外」を思い浮かべます。
山奥や地下、災害時に起きる、あの圏外の状態でも「電話」ができるなら、画期的です。

ところが、実は「通話」はできても、「電話」はできません。
ここで言う「電波なしで通話」とは、「携帯回線(基地局)がなくても、対応端末どうしなら、Bluetoothを使って直接つながり、音声通話に近いことができる」です。

1.1. 「Xiaomi オフライン通信」

メーカーによると、この機能は「Xiaomi オフラインコミュニケーション(オフライン通信)」といいます。

想定される用途は、「トランシーバー」のような近距離通話。
たとえば、家族でアウトドアに出かけるときに、お互いにXiaomiのスマホを使っていれば、携帯電話の届かないエリアでも通話できることです。

注意書きには、「緊急時や救命目的の通信として設計したものではない」とあり、災害時の“代替インフラ”を意図して設計されている機能ではありませんでした。

というのも、この機能を使うには条件があります。

REDMI Note 15 Pro 5G | Xiaomi 日本 | すべての仕様と機能
REDMI Note 15 Pro 5G | Xiaomi 日本 | すべての仕様と機能

Xiaomiオフライン通信を利用するには、SIMカードとXiaomiアカウントへのログインが必要です。
開けた場所など遮るもののない環境で、キロメートルレベルの音声通話に対応しています。
この機能は、Xiaomiオフライン通信に対応したデバイスでのみ使用可能です。

Xiaomi オフライン通信:利用条件 SIM 挿入 Mi ログイン Bluetooth ON 対応 端末同士 要点:BTで端末間通話
  • SIMカードが挿さっていること、
  • Xiaomiアカウントにログインしていること、
  • Bluetoothが有効になっていること
  • 対応デバイス同士でのみ使用できること

が必要だと明記されています。
ポイントは、Bluetooth接続で、対応端末・アカウント間での通話機能、ということです。

なので、今のところ、相手もXiaomiのスマートフォンでないとかけられません。
できること自体は面白いですが、前提条件も多いです。
「SNSの短い言葉で端折られると紛らわしいタイプの機能」です。

iPhoneユーザーにわかりやすく説明すると、FaceTime(Appleアカウント同士のインターネット通話)とAirDrop(Bluetooth接続)をかけ合わせたようなイメージです。

オフライン通話の設定では、あらかじめ誰からの受信するを許可のか、「全員」または「連絡先のみ」から選びます。

Xiaomi オフラインコミュニケーション 常見問題
Xiaomi オフラインコミュニケーション 常見問題

この設定は、同じくBluetoothでデータを受け取る AirDrop に似ていますね。

1.2. 距離の話を「Bluetooth側」から検証する

次に、最大距離について。
「開けた遮るもののない環境」で最大1.9kmと書かれていました。
Bluetooth接続は、基本的には近距離での通信に使われ、有効な距離は数十メートルです。

Understanding Bluetooth Range | Bluetooth® Technology Website
Understanding Bluetooth Range | Bluetooth® Technology Website

環境条件で品質が変動すると書かれており、「常にキロメートル級で安定」というわけでもなさそうですが、「1km以上」という距離は、Bluetoothにしてはかなり長いです。

実は、Bluetooth SIG(Bluetoothの業界団体)によると、Bluetoothの到達距離は「1m未満」から「1km超」まで幅がある、と書かれています。
特に、Bluetooth 5以降には、長距離を狙うための仕組みとして「LE Coded PHY」があります。
ざっくり言うと、速さを落としてでも、同じ情報を冗長に送って届きやすくする仕組みです。

ただし、ここに重要な条件があります。
見通しが良い、電波の邪魔が少ない、送受信の条件が揃っている、という前提で伸びます。

つまり、「キロメートル通話」は、Bluetoothの長距離モードを含む“条件の良いときの上振れ”としては一応は説明がつくことになります。
ただ、「開けた遮るもののない環境」というのは、実際の日本の都市生活では、なかなか難しいと思います。

2. 何ができて、何ができないのか

「キャッチコピーで誤解が生まれやすい」のは、できることとできないことの境界が消えてしまう点です。

まず、できることは「携帯回線やWi-Fiを使わずに、対応する端末どうしが直接つながって音声通話に近いことができる」です。
基地局が要らない、という意味では確かに新鮮です。

一方で、できないこともはっきりしています。
相手が対応端末でないなら、この仕組み自体が成立しません。
また、通常の電話のように電話番号へ発信して公衆電話網につなぐ話ではありません。
ここを読み違えると、「圏外からでも誰にでも電話できる」と誤解します。

距離も同じです。
最大1.9kmという数字は「開けた遮るもののない環境」という前提が付いています。
建物や地形、電波の混雑で条件は簡単に崩れます。
メーカーが「実際の通話品質は環境条件によって変動する」と書くのは、そういう理由です。

そして最も重要な線引きとして、メーカーは「緊急時や救命を目的とした通信として設計・意図したものではない」と明記しています。

3. なぜ「物は言いよう」になりやすいのか

今回の例は、嘘を言っているわけではありませんが、「誇大」に感じます。
部分的には本当の要素を拾っているものの、誤解しやすい形に再構成されているからです。

もし、この機能を紹介するなら、

「携帯回線が圏外でも、対応するXiaomi端末同士なら、Bluetoothを使って直接音声通話できる(開けた場所で最大1.9km、条件あり)」

このくらい書けば、便利さも残しつつ、誤解の余地を減らせます。
「電波なしで通話」と言い切ればインパクトはありますが、読み手に余計な想像をさせてしまいます。
SNSでは、このような端折った情報が多いので、